読書感想ふりかえりTrial&Error

Min Jin Lee ”Pachinko”/A読書会用の質問①~②(歴史、愛)

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読書感想
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ミン・ジン・リー「パチンコ」を読みました。これまで、このような題材の物語を読んだことがなかったので、新鮮で読み応えがありました。最後まで飽きさせず読者を引っ張っていく刺激がちりばめられているので、新聞の連載小説に似ているかも。

5点満点中3.5点

完全に個人的な好みでの評価になるのですが、キャラクター造形とかストーリー展開でひっかかる点があったので5点満点中3.5点くらい。作者の意図は何となく分かるんですけど、いろいろなテーマを無理やり詰め込みすぎて、ご都合主義的な展開になり、全体としてこなれてない感じ。それが私が感じる違和感の原因かなぁ。

この本と同時にミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」英語版で読んでいて、そちらの文学的な完成度が非常に高くて圧倒されちゃったので、無意識のうちに文体とか表現を引き比べて、パチンコの評価が下がっちゃった気もします。

私は英語版を読んでいたのですが、巻末に読書グループガイドとして内容に関して読者の思考を促す19個の質問リスト、著者との対話も収録されており、それもお得感がありました。(国語の教科書みたいだから、好みは分かれると思いますけどね)

以下、自分の備忘記録と思考整理のために、質問リストに自分の考えを回答していきます。
ネタバレもありますので、ご了承ください。今回は①と②(歴史、愛)について考えてみました。

読書ガイドのもくじ

A質問①~②(歴史、愛)←いまここ
B質問③~⑦(勇気、父、家、結婚、性)
C質問⑧~⑫(生、血縁、女、美、伝統)
D質問⑬~⑯(恥、民族、繁栄、環境)
E質問⑰~⑲(親子、死、題名)

読書ガイド①~②

①【歴史】”History has failed us, but no matter.” How does the opening line reflect the rest of the book–and do you agree?
「歴史は私たちを陥れた。でもそんなこと関係ない」冒頭の引用は、物語にどのように反映されていたか?あなたは同意するか?

貧しさ、戦争、愛した人の裏切りと死、我が子の失踪など、さまざまな困難にあっても、耐えられず、乗り越えられないことはなかったのが主人公サンジャ。彼女の生き方は、冒頭の引用を体現している。個人的には、歴史に飲み込まれて死ぬか、生き残れるかは運だと思うので、同意する。

②【愛】In a way, Sunja’s relationship with Isak progresses in reverse, as her pregnancy by another man brings them together and prompts Isak to propose marriage. How does Lee redefine intimacy and love with these two characters? 
サンジャは妊娠したが相手は既婚者だった。イサクは彼女を助けるために結婚を申し込む決意をした。作者はこの2人の登場人物の親密さと愛をどのように再定義するか?

イサクは4つの動機からサンジャとの結婚を考える。最初は、キリスト教的な博愛精神、2つめは病気の彼を看病してくれた一家への恩返し、3つめは夫そして親になりたいという気持ち、最後は一緒に大阪へ行ってくれる心強い仲間を手に入れられること、である。一方、サンジャには、イサクと結婚する以外の選択肢は残されていない。未婚の女が田舎で、相手を明かさず妊娠出産するのは世間が許さない。お互いの利害関係が一致したうえでの共同体形成がスタート地点だ。しかし、この夫婦は、お互いの人間性を認め評価し、信頼関係を築き、そこに愛を見出す。作者はその部分を丁寧に描いている。

長くなったので、とりあえず今回はここまで。
次回はB質問③~⑦(勇気、父、家、結婚、性)について考えてみます。つづく。

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