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森の生活ウォールデン、岩波、小学館、講談社、どれを読む?(kindle比較)

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pexels-photo-2166711.jpeg 8.1. ふとした気づき
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ソローの「森の生活」を読みたくなりました。でも、いざ読もうとしたら、翻訳版が複数あります。どれが良いの?そんなわけで、ウェブサイトで読める青空文庫と3種類のkindle本サンプルをダウンロードして比較してみました。(講談社は残念ながらKindle版がないので比較できず)

私のおすすめは小学館文庫です!上巻よりも下巻のほうが断然読みやすい!動物や自然の描写が美しいので、上巻でギブアップするともったいない。(個人的には、下巻から読んでもいいと思う)

エッセンスをちょこっとだけ味わいたい方には、無料の青空文庫でも楽しめると思います。青空文庫の最初だけ(訳者のことば)でも学ぶことは多かったです。

森の生活―ウォールデン―WALDEN, OR LIFE IN THE WOODS ソーローHenry David Thoreau 神吉三郎訳 青空文庫

森の生活 上-(ウォールデン) (岩波文庫) Kindle版 ソロー (著), 飯田 実 (著)

ウォールデン 森の生活 上 (小学館文庫) Kindle版 ヘンリーD・ソロー (著), 今泉吉晴 (翻訳)

森の生活(ウォールデン) グーテンベルク21 Kindle版 ヘンリー・D・ソロー (著), 神原栄一 (翻訳) (Kindle unlimited対象)

森の生活 (講談社学術文庫) D・ヘンリー・ソロー (著), 佐渡谷 重信 (翻訳)kindle版なし

ちなみに、もし原書で読みたいならば、こちらのサイトで全文無料公開されています。

The Project Gutenberg eBook of Walden, by Henry David Thoreau

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比較のポイント4つ

以下の4つのポイントで比較してみました。

1.金額
2.出版年(読みやすさ)
3.解説の充実度(図版)
4.kindleサンプルで読める部分

金額出版年翻訳者解説kindleサンプルで読める部分
青空文庫無料1979年神吉三郎導入部分の「訳者のことば」は読む価値ありウェブサイトで全文が無料で公開されています。
岩波858円(上巻)2012年飯田 実本文中の解説や注釈はなし。上巻は「村」まで。巻末に訳注あり第1章経済の途中「もし自分でも価値があると思われる経験にぶつかるとすれば、それは私の指導者たちが一度も教えてくれなかったものであることに、きっと思い至るだろう」まで(1/6章くらい?小学館より少ない)
小学館654円(上巻)2016年今泉吉晴各章の終わりに丁寧な解説。本文中にも多数の図版と地図。上巻は「村」まで。巻末にあとがきあり。原作と同じソロー湖のイラストも収録第1章経済の途中「おお、わが子よ、気に病むことはない。たとえお前が何もできなくても、咎めだてできる者はいないのだから」まで(1/6章くらいかな?)
グーテンベルク385円(Kindle unlimited対象)2012年神原栄一巻末にソローの生涯と訳者のあとがき。注釈は該当する語彙の直後に〔〕で表示。図版なし。私はkindle unlimitedに契約しているため全422頁読めてしまいます。サンプルでどこまで読めるかは不明です
講談社kindle版なし佐渡谷 重信kindle版なし

訳文の比較

具体的に、どのくらい翻訳が違うのか、比較してみました。原文(英語)はこちら。

But men labor under a mistake. The better part of the man is soon plowed into the soil for compost. しかし、人間は過ちのもとで労働する。人の良い部分はすぐに堆肥として土に鋤き込まれます。(DeepL無料版で日本語に翻訳しました)

The Project Gutenberg eBook of Walden, by Henry David Thoreau
翻訳者訳文比較
青空文庫神吉三郎が、人間は思いちがいをして苦しんでいるのだ。人間の肉体の大部分はそのうちに土のなかに犂きこまれ、それを肥やすだけである。
岩波飯田 実だが、人間の労苦は誤解から生まれるのだ。人体の大部分はいずれ土に鋤きこまれ、肥料にされてしまう
小学館今泉吉晴人は、誤った考えのまま働いています。人の体の良き部分は、遠くない未来に土に還って沃土になるのです。
グーテンベルク神原栄一だが、人間は誤解して苦しんでいるのだ。人体の大部分は間もなく肥料として土中にすき込まれてしまうのだ。
こうして原文と比較し、さらにほかの邦訳と比べてみると、今泉さんの訳文が、よけいに際立って見える気がするのは私だけ?

私は今泉さんの訳が気に入りましたが、あなたはどれがしっくりくるでしょうか?

出版年翻訳者Volume
青空文庫1979年神吉三郎1巻のみ
岩波2012年飯田 実上下巻(2冊)
小学館2016年今泉吉晴上下巻(2冊)
グーテンベルク2012年神原栄一1巻のみ

主観的な選び方

最初は、青空文庫で読んでいました。でも読み進めるうちに、説教くささが鼻についてきて、どんどん違和感が増してきました。だって、この作品を書いたときのソローが28~29歳くらいと知ってしまったから。

そして、別の翻訳を読み比べてみると、今泉さんの翻訳が最も私好みでした。加えて、小学館版は図版の多さが非常に魅力的でした。イラストつきで、動物や植物の解説が充実しているので、まるでソローと一緒に森のなかで、動植物を見たような気持ちを味わえました。

・地図やイラストがちょうどよい位置に入っている(場所や事物を確認しやすい⇒イメージが湧く)
・本文(節)の直後に解説がある(疑問がすぐに解消できる⇒イメージが湧く)
・文体が読みやすい(これは私の好み)

結論

そんなわけで、最終的に私は小学館文庫を購入しました。

読書会でも小学館文庫を選んでいる方が多かった気がします。

古典の良いところは、すでに色々な作品分析があり、おおむね評価も定まっていて、さまざまな解説や執筆当時の作者の置かれた状況や歴史的な背景なども学べることですね。

みなさまも、心躍るステキな書籍との出会いがありますように!

参考

ウォールデン Walden, or Life in the Woods

アメリカの思想家ソローの主著で1854年刊。《森の生活》ともいう。1845年7月4日から2年2ヵ月,マサチューセッツ州コンコード郊外の森にあるウォールデン池のほとりに小屋を建て,ひとりぐらしをしたときの記録を縦糸に,そのときどきの観察や思索を横糸として織り上げた作品。生活を営む彼の基本姿勢は〈厳しい節約,つまりスパルタ人も及ばぬ厳しい生活の単純化と目的の高揚〉だと要約できる。ソローの考えでは,人間は手段の獲得に狂奔してかんじんの目的を忘れている。そこで世間から一歩退いて一人となり,自分の思いのままに生きてみて,本当に生活だと言えるものだけに〈単純化〉したいと願ったのである。自然のさまざまな生態が硬質的な散文で活写されていることも大きな魅力である。〈野蛮で荒涼とふつう呼ばれている場面にさえ,なぜかわたしとの血縁を感じる〉というような自然に寄せる全体的な関心は,この作品をラディカルな現代文明批判にもしている。

“ウォールデン”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, , (参照 2022-07-26)
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 森の生活――ウォールデン―― WALDEN, OR LIFE IN THE WOODS
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