カエサルのガリア戦記を読みたくなりました。でも、いざ読もうとしたら、翻訳版が複数あります。どれが良いの?そんなわけで、3種類のkindle本サンプルをダウンロードして比較してみました。
- ガリア戦記 (岩波文庫) Kindle版 カエサル (著), 近山 金次 (著)
- ガリア戦記 Gaius Julius Caesar (講談社学術文庫) Kindle版 カエサル (著), 國原吉之助 (翻訳)
- ガリア戦記 (平凡社ライブラリー664) Kindle版 カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
比較のポイント4つ
以下の4つのポイントで比較してみました。
1.金額
2.出版年(読みやすさ)
3.解説の充実度(図版)
4.kindleサンプルで読める部分
金額 | 出版年 | 解説 | kindleサンプルで読める部分 | |
岩波文庫 | 946円 | 1942年 | 本文前に解説あり(専門的で難解) | 本文前の解説のみ(目次も読めない) |
講談社学術文庫 | 1001円 | 1994年 | サンプルの範囲では解説が読めない(巻末に専門語略解と地図が入っているらしい) | 目次と1巻42節まで読める |
平凡社ライブラリー | 1650円 | 2015年 | 各節の末尾、本文中の注釈あり(非常に親切) | 目次と1巻35節まで読める |
主観的な選び方
途中で投げ出したくないので、自分が、これなら最後まで読めそうだな、と思う本を選ぶことにしました。そういう基準でチェックすると、岩波は目次も含めて、本文がまったくkindleサンプルで読めないため、検討できませんでした。講談社や平凡社みたいに1巻の途中までくらい読ませてくれなてもいいのになぁ。残念ですが、この時点で購入候補から外しました。
実は、どれも同じだろうと考えて、最初は価格だけで検討していたのです。岩波を候補から外したので、次にサンプルをダウンロードしたのは、講談社でした。目次は読めるものの、解説が巻末に一括で入っているので、サンプル版では読めません。また地図などもサンプル版では確認できず。これは、ちょっと読み進められる気がしませんでした。
仕方なく、最後に最も価格が高い平凡社版のサンプルをダウンロードしました。ところが!!驚いたことに、他の2社に比べると、以下の理由のために、あきらかに読みやすくて、面白さを感じることができ、これなら最後まで読めそうと思えたのです。
・説明する地図がちょうどよい位置に入っている(読みながら、ココかぁ、と場所を確認しやすい⇒イメージが湧く)
・本文(節)の直後に解説がある(疑問がすぐに解消できる⇒イメージが湧く)
・文体が読みやすい気がする(これは私の好みかも)
結論
そんなわけで、最終的に私は平凡社ライブラリーを購入しました。
勉強がつまらない、退屈と感じる場合、たいていは先生の教え方が自分に合ってないんですよね。これって、古典読書でも当てはまりそう。私は、頑張って古典を少しずつ読んでいるところですが、ダンテの神曲は河出文庫、ドストエフスキーのカラマーゾフは光文社古典新訳文庫など、自分にとって読みやすいバージョンの翻訳を引き当てられたから、読み終えられたようなものです。
古典文学は非常に面白いのですが、どの翻訳を選ぶかによって、その面白さが堪能できない可能性もあります。そういう意味で、kindle本でサンプルをダウンロードして比較するのは大切ですね!
今回のことで学びました。面倒がらず、また安易に価格で判断しないようにします。みなさまも、心躍るステキな書籍との出会いがありますように!
追記 WIKIBOOKSという選択もあり
無料で、ちょこっとだけ読んでみたい方や、ラテン語の原文が気になる方には、WIKIBOOKSのガリア戦記がおすすめです。邦訳がすべて完了しているのは第7巻だけなのですが、地図や関連の絵画も含まれていて、とても参考になりました。私は平凡社版を買ったのですが、読んでいて「?」となっていた部分をWIKIBOOKSで確認したら、スッキリ理解できた部分があったんです。その件については、こちらでブログ記事にしました。ご参考までに。
追記 PHP研究所からも出てました
上下巻(上巻255ページ、下巻239ページ)中倉玄喜訳 各950円 2013年4月26日発行
Rentaのラインナップにありますが、電子版の購入のみ。レンタルはできないようです。(2024年2月14日現在)
追記 Kindle Unlimitedの対象でした
もしAmazonのKindle Unlimitedに加入されているなら、PHP版は上下巻とも対象になっているようです。(2024年2月14日現在)https://amzn.to/3uyeKOZ
ガリア戦記 がりあせんき De Bello Gallico
“ガリア戦記”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-03-30)
ローマの政治家カエサルの作品。紀元前58年から前50年までの、地方長官としてカエサルが遂行したガリア戦争の記録。全8巻。カエサル自身の筆は第1巻~第7巻(ウェルキンゲトリクスを破る前52年のアレシアの決戦まで)であり、第8巻は彼の部将ヒルティウスの手になる。ガリアでの戦いを客観的で冷静な筆で描くことによりローマの戦争の正当性を示し、政治家、将軍としての自らの立場、功業を明らかにしたもの。前1世紀のガリア人社会を知るための史料として重要。第一級の歴史書であるとともにラテン文学の傑作。