9. 読書会(勉強会)カウントダウンコラム

読書会まで8日 第一部:大衆の反逆 5:統計的な一つのデータ

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9. 読書会(勉強会)
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今月、私は「大衆の反逆」にチャレンジ中。今回は、第一部:大衆の反逆 「第5章:統計的な一つのデータ」 から、気になったところについてメモしておきます。

つまり、六世紀にヨーロッパの歴史が始まって以来1800年までに(したがって12世紀の長期間にわたって)ヨーロッパの人口は一億八千万を越えることができなかった。ところが1800年から1914年までに(したがって1世紀と少しの間に)ヨーロッパんの人口は一億八千万から四億六千万へと増大したのだ!(中略)この目もくらむばかりの速さというのは、人びとに伝統的な文化を滲みこませるのが容易でないほどの急ピッチで、大量の人間を次から次へと歴史の上に吐き出したことを意味しているからである

(第一部:大衆の反逆 5:統計的な一つのデータ「大衆の反逆」オルテガ著 )

「大衆の反逆」ホセ・オルテガ・イ・ガセット (著), 桑名一博 (翻訳)

解決策を探るために大衆を理解する

オルテガは増えた数を問題にしているのではなく、増加スピードを問題視しています。というのも、人間が急激に無計画に増えすぎたので、社会のしくみが追い付いておらず、近視眼的な大衆が数の論理で社会を先導していこうとしている状態に危機感を感じているからです。

かといって、過去に通用していた原理は現代には通用しないため、「大衆とは何か」を分析して理解することが、現在生じている様々な問題を解決するためには必須だよ、と繰り返し著者は私たちに語りかけています。

科学的な知識を信じようとせず、自らの権利のみを主張して、自分が信じたいものだけを信じ、狭量な視野でしたいことだけを無理矢理にでも実行しようとする、そういう人をオルテガは「大衆」と分類しているのだと私は理解しています。

最近のニュースを見ていると、国や自治体の指導者であるにも関わらず、「大衆」のように行動している人が、世界中に見られて、悲しい気持ちになります。しかし、それを選んでいるのが「大衆」そのものなので、仕方がないことなのかもしれません。でも負の連鎖だよなぁ、これじゃ。

オルテガの哲学を理解する

オルテガの哲学は、ドイツ観念論ではない。実在論と観念論のミックス。

彼がその哲学的立場を初めて明確にした《ドン・キホーテをめぐる省察》(1914)では,ドイツ観念論から早くも脱し,〈私は私と私の環境である〉という有名な命題を発見する。これはユクスキュルが生物学(動物生理学)の領域で行った〈環境〉概念の新たな構築を,哲学の領域で企てたものと言える。実在論が〈私〉をもう一つの〈もの〉にし,観念論がすべてを〈私〉のうちに取りこんだとするなら,オルテガの主張は〈私〉と〈もの(環境)〉の真の共存である。つまり真の意味で実在するのは,先の命題の第1の〈私〉すなわち〈私の生〉なのだ。そしてあらゆる実在はただ遠近法的にのみ存在する,つまりパースペクティブが実在の構成要素であるという(パースペクティビズム)。

“オルテガ・イ・ガセット(José Ortega y Gasset)”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, , (参照 2020-08-13)

ユクスキュルの環境世界論には、カントの認識論と、ゲーテの思索が投影されている。

ユクスキュルJakob Johann (Baron von)Uexküll 1864-1944 : 動物行動学の先駆的研究家,理論生物学者。由緒ある貴族の末裔としてエストニアのグート・ケブラスで生まれた。ユクスキュル:彼の生理学に対する基本的な立場は人間中心的な見方への批判であった。それは一方で,擬人主義を排して客観的に動物の行動を記述する道を開いたが,もう一方で,機械論的陥穽(かんせい)に陥っていた当時の生物学に画期的転回をもたらし,〈機能環Funktionskreise〉や〈環境世界Umwelt〉という重要な概念を生んだ。環境世界は知覚世界と作用世界からなるとされ,これらは機能環によって一体化されている。〈動物主体は同じ完全さでその環境世界に適応している〉(《動物と人間の環境世界への散歩》1934)。彼によれば,環境世界は計画性に基づいて相互に対位法的に関係し合う。部分を全体によって把握する彼の帰納的発想には,カントの認識論が通奏低音として流れており,ゲーテの〈原植物〉〈原動物〉をめぐる思索が投影している。ユクスキュルの環境世界論は,M.シェーラーおよび1920年代の哲学的人間学,さらに現象学の理論形成に大きな刺激を与え,またその機能環の概念はサイバネティックスやシステム分析による法則化を先取りしているとも評される。理論的集大成としては,《理論生物学》全2巻(1920,28)が挙げられる。

ユクスキュル(Jakob Johann (Baron von)Uexküll)”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, , (参照 2020-08-13)

遠近法主義の系譜:ライプニッツ → ニーチェ → オルテガ

パースペクティズム:遠近法に従った絵画において,描かれる風景はつねに画家の視点に相関的であるが,それと同様に世界はつねに特定の視点から特定の見方によってしか見られえないものであり,いかなる視点にも限定されない絶対的な世界認識などはありえないという考え方。〈遠近法主義〉と訳される。18世紀初頭にライプニッツが〈単子論〉を説き,すべての単子(モナド)はそれぞれの視点から,それぞれの表象能力に応じて全世界をおのれのうちに映し出すと主張した。1880年代にニーチェが,すべての存在者の根本性格を〈力への意志〉と見るその最後期の思想においてこの考えを受けつぎ,認識とはけっして客観的な真理の把握などではなく,〈力への意志〉を本質として不断に生成しつつある存在者が,その到達した現段階を確保せんがために,それぞれの力の段階に応じて遠近法的に世界を見る見方にすぎないと主張した。この考えは,20世紀スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットにも受けつがれる。彼はユクスキュルの生物学的〈環境〉概念を哲学的にとらえなおし,すべての実在はそれぞれの生に相関的なものとして遠近法的にしか存在しないと主張する。

パースペクティビズム”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, , (参照 2020-08-13)

参加者(5名)

  1. もんざ (主催者)「大衆の反逆」オルテガ (著)
  2. たろうさん 「アフターデジタル2 UXと自由」藤井 保文  (著)
  3. あさはらさん「こころ」夏目漱石 (著)
  4. にしやまさん「グイン・サーガ」五代ゆう(著)
  5. maru(まる)さん「世界はシステムで動く」ドネラ・H・メドウズ(著)

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