今月、私は「大衆の反逆」にチャレンジ中。今回は、第一部:大衆の反逆 3:時代の高さ から、気になったところについてメモしておきます。
実情は、自分の生のほうがより豊かであると信じこみ、過去に対するあらゆる尊敬、あらゆる顧慮を失っている。こうしてわれわれは歴史上初めて、すべての古典主義を排除し、いかなる過去にも模範や規範のある可能性を認めない時代に出会うのだ。(中略)芸術であろうと政治であろうと、われわれは自分たちも問題を過去の積極的な協力なしに、現在のただなかで自ら解決しなければならないのである。(中略)要するに、われわれの時代の高さとはいかなるものだろうか?(中略)すなわち他のあらゆる時代にまさりながら、自分自身には劣っている時代。非常に強いが、それと同時に自分の運命には確信がもてない時代。自分の力を自慢しているが、それと同時にその力におびえている時代。それがわれわれの時代である
(第一部:大衆の反逆 3:時代の高さ「大衆の反逆」オルテガ著 )
「大衆の反逆」ホセ・オルテガ・イ・ガセット (著), 桑名一博 (翻訳)
ホモデウスを思い出した
なぜ、この部分が私の心に響くのかを考えてみました。以前、ユヴァル・ノア・ハラリの「ホモデウス」(2016年出版)を読んだときにも、本当に人類はどこに向かっているんだろう、と不安な気持ちになったのですが、この章を読んだときも、同じ感覚を持ちました。
繰り返しになりますが、大衆の反逆は1930年にスペインの新聞に掲載されていた論説です。科学技術やテクノロジーは、超スピードで進歩しているけれど、結局のところ、人間の中身は全くその進歩に追いつけていないという実態があるのだと思います。
著者について
オルテガ・イ・ガセト Ortega y Gasset, José 1883.5.9~1955.10.18
“オルテガ・イ・ガセト(Ortega y Gasset, José)”, 岩波 世界人名大辞典, JapanKnowledge, , (参照 2020-08-11)
スペインの哲学者,思想家.著名なジャーナリストの子としてマドリードに生まれる.マドリード大学で学んだ後,ドイツに留学し [1905-07] ,マールブルク大学のH.コーエン,ナトルプ等の新カント学派や現象学,解釈学から影響を受ける.帰国後,マドリード大学形而上学教授 [10-] .啓蒙的な思想文芸雑誌《Revista de Occidente》を主宰 [23-36] .王制後のスペイン共和国 [31] で憲法制定議員となる.内乱勃発に際し,アルゼンチンに渡り,のち帰国 [48] .《現代の課題▼:El tema de nuestro tiempo, 1923》では,〈生の理性razón vital〉を重視する人間論を展開するとともに,合理的に体系化された思想を忌避し,パースペクティヴィズムを主張.講演,評論,エッセーなど多様な形式によって思想を表現した.自由主義の立場からファシズムやマルクス主義を批判した.20世紀の文明批評,大衆社会論の代表的著作《大衆の反逆▼:La rebelión de las masas, 1929》では,権利要求のみに走る大衆主義を強く批判し,その精神主義的主張により貴族主義者,保守主義者とも見なされた.〖著作〗 無脊髄のスペイン:España invertebrada, 1922.愛について:Über die Liebe, 1933.Buch des Betrachters, 1934.Stern und Unstern, 1937.Das Wesen geschichtlicher Krisen, 1943.体系としての歴史:Geschichte als System, 1943.
参加者(5名)
- もんざ (主催者)「大衆の反逆」オルテガ (著)
- たろうさん 「アフターデジタル2 UXと自由」藤井 保文 (著)
- あさはらさん「こころ」夏目漱石 (著)
- にしやまさん「グイン・サーガ」五代ゆう(著)
- maru(まる)さん「世界はシステムで動く」ドネラ・H・メドウズ(著)