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NYTの記事 日本人が見ようとしない差別

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8.1. ふとした気づき
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7/12に英文ニュースで世界を読む会に参加したので、備忘記録を残しておきます。(公式サイトはこちらです)

7/1付NYTの記事を読解(テーマ:人種差別)

7回目の参加は7/12(日)。この日は7/1付けのニューヨークタイムズから “In Japan, the Message of Anti-Racism Protests Fails to Hit Home (日本では人種差別反対の抗議のメッセージが完全に理解されることはない)” という記事を精読しました。
参加者は11名(男3女8)でした。

要約

人種差別を他人ごとのように見てしまうことは、日本人が根強い差別問題を正しく受け止めることを妨げる。

フロイド氏が警察に殺害された事件を発端にした抗議活動が世界中に広がり、日本でもアメリカのデモに連帯を示す活動が行われた。

アフリカ系アメリカ人で東京テンプル大学で学ぶ19歳の活動家シエラ・トッドさんがインタビューに答えたYouTubeには、「アメリカの問題だ」「自分の国でやれ」というコメントが書かれた。

日本の保守派のとある派閥は、単一民族(血に基づく純潔さ)という人種差別主義の概念を支持している。

また大多数が均質的な日本人は、人種的な違いを認めたり、アメリカで広がっている人種差別問題を自国に置き換えて考えてみることが難しい。

しかし日本には少数民族に対する差別の長い歴史がある。戦時中に強制労働者として日本に連れてこられた朝鮮人、北海道に住むアイヌ民族、封建的な階級で追放者階級とされていた部落民などである。

最近、日本人とナイジェリア人の両親を持つプロ野球選手ルイス・オコエ氏が、彼の肌の色が原因でいじめを受けたことをツイッターで告白したが、それは共感をもって5万2千回リツイートされた。

その一方で、日本でデモに参加したアメリカの黒人女性のtweetに対しては「アメリカに強制送還されればよい」など批判的な意見が書き込まれた。

日本の人種差別はアメリカほど暴力的でも陰湿でもないし、警官によって黒人が殺害されることはないが、違う形で確実に存在している。

公共放送であるNHKも黒人に対するステレオタイプのイメージを放映し、差別的だと指摘されてようやく謝罪する。

日本の島国根性は無意識の差別や偏見だけでなく、外国人労働者への不信も生み出す。

2017年法務省の調査では、日本に住む外国人のうち30%が仕事や住居の取得で差別を受けたという結果が出ている。

ブラックポップカルチャーなどに魅了される日本人もいるが、あくまで表面を真似るだけにとどまり、そのほとんどは、深い思考や行動に結びついていない。

フランスやイギリスで数万人が集まったデモに比べ、東京のデモ参加者は最大3500人であり、しかも参加者の多くは外国人のルーツを持っていた。

日本国民は人種差別は海外にだけあり、日本にはないと本気で考えているのだろうか。他の社会を非難する前に、立ち止まって考えてみるべきではないか。

ハイチ系アメリカ人の父親を持つプロテニス選手のナオミ・オオサカさんは、日本のコメディアンが、自分のことを「日焼けしすぎた」ために「漂白」が必要だと言ったことについてTwitterで問題提起をした。

6月東京でBLMデモに参加した57歳の女性は「日本には根深い人種差別が潜在的にある。重要なことは、それを理解し、注意深く伝えること」と語った。

日本で難民や移民に対する差別や人権侵害が行われていることについて注意喚起と抗議活動を行っている28歳の男性は、この問題について「つねに希望と恐怖という二つの感情がせめぎ合っている」と語った。

単語帳

Hit home:hit (or strike) home 1 (of a blow or a missile) reach an intended target. 2 (of a person’s words) have the intended, often unsettling or painful, effect on their audience. 3 (of the significance or true nature of a situation) become fully realized by someone. 
3(状況の重要性または真の性質の)が誰かによって完全に認識されるようになる。

in response 対応して
backlash 反発
entrench : establish (an attitude, habit, or belief) so firmly that change is very difficult or unlikely.
endorse 支持する
homogeneous 均質的
In essence 本質的に
insidious nature 陰湿な性質
The country’s insularity 島国根性
asylum seekers 難民

参照

アイヌ差別の現状――民族への差別と民族の内なる差別
佐々木千夏 / 教育社会学

1869年(明治2)に蝦夷地が北海道と命名されて日本に組み込まれると,まず,死者が出た家の焼却,女子の入墨,男子の耳輪など〈日本人〉とは異なる民族的慣習を禁止され,やがて戸籍作成のために名字が付けられた。その後,イオマンテの禁止や狩猟規則の制定,河川のサケ漁禁止など,アイヌの生業や文化に対する公的な締付けが次々と行われた。北海道のアイヌ人口は幕末以来約1万7000人前後で推移し,和人移住者の激増(1898年の全道人口85万人余)はアイヌを追い詰めていった。居住地に和人によって町が形成されると強制的に移住させられたり,殖民地区画設定の影響で広範囲の地域のアイヌが各地に決められた保護地に集住させられることも起きた。日本人への同化を強制されるいっぽうで,公的に〈旧土人〉として差別され,先住権は無視され土地私有の権利もなかった。

“アイヌ”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-20)

日本政府は第二次世界大戦後、部落差別の解消を「国の責務で国民的課題」と位置づけ、1969年(昭和44)に特別法(同和対策事業特別措置法)を制定し住宅環境の改善などの財政支援に取り組んできた。しかし民間運動団体の行き過ぎや、報道機関の表現の自己規制など行き過ぎた動きもあり、特別法は2002年に失効している。

“部落差別解消法”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-20)

関連動画・記事

「現代の価値観で過去を裁くな」論のおかしさ〜BLM運動の「銅像破壊」を巡って

こちらの現代ビジネス(オンライン)の記事から、私たちは歴史をどのように認識すべきかについて考えさせられました。

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