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Economistの記事 香港の国家安全法制

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ふとした気づき
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7/19に英文ニュースで世界を読む会に参加したので、備忘記録を残しておきます。(公式サイトはこちらです)

7/2付Economistの記事を読解(テーマ:香港)

8回目の参加は7/19(日)。この日は7/2付けのエコノミストからThe evening of its days A new national-security bill to intimidate Hong Kongという記事を精読しました。参加者は11名(男3女8)でした。

要約

返還記念日7月1日の前日6月30日に、中国は香港に国家安全法制を課した。

新法は分裂活動、国家転覆、テロ、外国の政治団体との連携などを犯罪の対象とする。

香港政府が2019年「カラー革命」のため、法律を定めることができなかったため、中国共産党が強硬手段に出た。

7月1日以降、公共交通機関の破壊はテロとみなされるし、2019年のデモ参加者が行った議会に侵入し卵を投げるなどは、国家転覆にあたり、香港の独立を要求することは、分裂活動の罪に問われ、中国に制裁を科すように外国に助けを求めることは共謀の罪に問われる可能性がある。

この4つの犯罪における処罰は禁固刑だ。
国家安全法制の施行にともない、中国本土の民間治安部隊(普通の警察よりも権力がある)が香港に投入される。

新法に関する裁判は、中国政府が厳選した裁判官が行う。
法務長官は陪審員を省略し、事件を秘密裏に裁く可能性がある。
林鄭月娥行政長官は、新法の影響は大きくないというが、多くの香港人は微罪逮捕と中国本土での処刑の可能性を恐れている。

新法は、さまざまな自由に影響を与える可能性があり、学校、大学、社会組織、メディア、インターネットを強力に規制する。

また適用範囲は香港人のみならず、香港を訪れる外国人にも適用される。

7月1日、数千人が新法施行の抗議デモに参加したが昨年よりも人数は少なくなっており、警察は370人を逮捕した。

中国は香港経済、特に株式市場の回復を目指しており、実際に、新法施行の発表後、7月2日には、株価指数は2.8%上昇している。

しかし香港の政治的未来は多難だ。
中国はサウジアラビアのイメージ戦略で実績のあるコンサルティング会社コンスラムConsulumと契約し「香港の再起動」キャンペーンに629万ドル(約6億7千万円)を費やした。

単語帳

national-security bill 国家安全法制(日本語訳は統一されているのか不明)
the handover’s anniversary 返還記念日
the territory’s chief executive, Carrie Lam 林鄭月娥行政長官
rubber-stamp parliament 形式的(簡易的)議会
secession 分裂活動
subversion 国家転覆
collusion 共謀
dispense with juries 陪審員を省く
undermining 弱体化
construed 解釈される
mulling 検討する
“Yellow” cafés 香港の民主化を支持するカフェ
not least 特に
should they if と同じような意味で使われていた
have its work cut out 難しい仕事を任される

参照

1996年1月公式の返還準備機関である香港特別行政区準備委員会が発足。同委員会の組織した推薦委員会は同年12月に親中派の実業家・董建華(とうけんか)を返還後の初代行政長官に選び、また60人の臨時立法会議員も選出した。中国はこのように返還手続きを進めながら、一方で香港の集会・結社の自由を定めた法律の改廃を決めるなど強圧的姿勢を示した。こうして1997年7月1日に返還が実現「一国二制度(一国両制)」のもとで、香港は中国の特別行政区として高い自治と返還前の社会・経済制度の維持を保つことになった。しかし返還後も中央政府の指導による中国化が進められ、民主勢力からの批判を受けている。また株価の下落、通貨危機などの経済的不安もおこっている。

“香港返還”,日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-19)

中国で採用されている統治方式。一つの国のなかに社会主義と資本主義の二つの制度が共存していることをさす。(中略)1997年にはイギリスから返還された香港(ホンコン)で一国二制度が初めて導入され、返還後の50年間にわたり香港に外交と防衛を除く「高度な自治」など特別な地位が保証された。

“一国二制度”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-19)

香港特区政府経済顧問弁公室は2月末、昨年6月から続いている逃亡犯条例の改正反対デモによる経済損失のリポートをまとめた。
 2019年第2四半期(4~6月)と第3四半期(7~9月)を比較し、第3四半期は小売業総販売量が15%減、飲食業総収益が11%減、ホテル業収益が18%減と算出。さらに、旅行者数が前年同期比26%減だったことなどから、第3四半期の経済損失は約150億香港ドル(約2080億円)と推計した。

“WORLD・WATCH 香港 デモの経済損失2000億円=江藤和輝”, 週刊エコノミスト 2019-2020, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-19)

具体的な法案は全人代常務委員会が香港に諮らずに決定し、8月末にも施行される見通しだ。香港基本法の付属文書として効力を持つ。国家転覆や分裂活動、動乱の扇動、国家機密の窃取、外国の政治団体との連携、テロなどが対象となる。林鄭月娥行政長官は全人代による国家安全法制制定に支持を表明し、「香港住民の権利や自由には影響しない」と説明している。しかし、中国の治安部門の出先機関も香港に設置されるとみられ、市民の不満は高まっている。

2020年06月16日号  第98巻 第23号 通巻4654号
“論壇・論調 香港に「国家安全法制」 米中対立激化の恐れも=坂東賢治”, 週刊エコノミスト 2019-2020, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-19)

2000年ごろから中・東欧や中央アジアの旧ソ連邦国家、中東諸国で起きた民主化運動による一連の政権交代を総称する用語。民衆の非暴力的な抵抗で独裁政権を打倒したことを象徴して、色や花の名前が付けられたことが由来。色の革命、花革命(flower revolution)とも呼ばれる。02年グルジア(ジョージア)のバラ革命、04年ウクライナのオレンジ革命、05年キルギスのチューリップ革命などが代表的。中東では10年チュニジアのジャスミン革命が「アラブの春」の先駆けとなった。これらの政変は国際社会の支持を得たが、ロシアや中国などでは、欧米諸国による体制転覆の企てとして警戒する見方が根強い。

“カラー革命[世界政治]”, 現代用語の基礎知識 2019, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-07-19)

関連動画

2019年に「逃亡犯条例」改正案に反対するデモで香港がマヒ状態に陥ったわけですが、そのきっかけとなった事件を解説する動画や、香港のレストランやカフェが青(共産党寄り)と黄(民主化寄り)で色分けされ(地図アプリでチェックできる)、青の店が落書きされ、多くの人が黄の店に行く動画など、CNNとVOXのものを見ました。

雑談

個人的には、マスメディアだって商売でやっているわけだから、彼らに中正公立を求めても仕方がないと思っています。情報収集する側がメディアリテラシーを身につけて、必要であれば、文化圏と言語が異なる媒体をチェックすることで、ようやく全体を俯瞰する視点が手に入るのではないでしょうか。

そんなわけで、あんまり一つの媒体に肩入れはしない方がよい気がしています。

とはいっても、基本的にニュースは悪い情報を煽情的に報じるものだから、そんなのばっかり見てたら鬱になっちゃう。だから、まぁ、ほどほどに。

面白いと思ったのは、今回の香港での国家安全法制が施行された件でニューヨークタイムズの香港支社がソウルに移転すること。決断はやいな。

New York Times to relocate part of Hong Kong office to Seoul @AJENews

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