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MECQあけまで10日 ペストのグラン

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やってみよう
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なんで毎日ブログが書けるようになったの、と友人に質問されて、ふと、先日読んだペストに登場するジョゼフ・グランを思い出しました。

グランは、アルジェリアのオラン市の非常勤職員として長年勤めている、もう老人といってよいほどの年齢の男性で(上の歯がすっかり無くなっている)、ひっそりでも熱心に毎晩、小説を書いているらしいのです。

ただわかったことは、問題の作品はすでにおびただしいページ数に達しているが、しかしそれを完璧なものに仕上げるために作者の注いだ労苦は彼にとってまことに苦しいものだったということであった。「幾晩もすっかりつぶしちまうことがありますからね、言葉一つのために……。」

アルベール・カミュ「ペスト」, 宮崎嶺雄 (翻訳) 第2章

ところが、実のところ、グランは、物語の始まり部分を延々と推敲し続けていて、ほんの数行しか書き上げてはいません。それでも、彼は、自分の頭のなかにあるイメージを完璧な文章として、書き残したいという欲求から、執筆に取り組みます。

おそらく、グランの作品が完成することはないでしょう。でも彼は、市役所の仕事が終わったあとに執筆することを「自分の仕事」であり、「やらなければいけないこと」だと感じていて、それが彼の生活と精神を支えています。

彼はどこにでもいるような小市民で、これと言った特徴もなく、あまりのうだつの上がらなさに妻にも見捨てられるようなありさまです。でも、作者は、グランを不幸にみえるように描いていません。

ペストの蔓延でロックダウンされたオラン市で、グランは市役所の仕事、医師タルーのサポートをしつつ、彼は本当の自分の仕事だと思えることを続けていきます。

この物語の中で、私が最も共感した人物はグランでした。

例えば書くことのように孤独な作業は、誰かに認めてもらわなければ、続けられない、という人もいます。でも継続するための報酬は、他者からの承認に限らないと思うんですよね。

私が、誰も見ていないとしても、ブログを毎日書くようになったのは、自分を承認する作業だからでしょう。今日も「書く」ノルマを達成できて良かったな、って自分を褒めてるだけ。でも、いまのところ、それが私にとって立派な報酬になり、自己肯定感を高めるために役立っています。

幸福とは自己に満足する人のものである

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個人的な覚書

**2020年3月16日にフィリピン政府からアナウンスがあって、マニラは3月17日(火)から4月12日(日)までEnhanced Community Quarantine (ECQ)を実施中だったが、4月7日(火)に4月30日(木)まで延長が決定。4月24日(金)に発表があり、5月15日(金)まで再延長が決定。5月13日(水)に発表があり、検疫体制をMECQ(Modified Enhanced Community Quarantine)に変更し5月31日(日)まで行うと発表。5月16日(土)規制が緩和されショッピングモールの営業が開始。5月22日現在MECQ8日目。のこり10日。5/21(木)ショッピングモール内の地元のコーヒー豆屋さんが開いてたので250g買って挽いてもらった。美味しいことを祈る。

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