6冊目のブックカバー・チャレンジのための準備です。
人を信じること
6冊目は、森達也の「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」です。
これは2003年に発売された単行本に加筆修正が加えられて2008年に文庫化されたもの。ドキュメンタリー映画の監督である著者が、色々な雑誌や書籍に寄稿した文章を読むことができます。
著者によると「オウムを被写体にしながら社会を撮るというコンセプトがまだまだ効力を失っていない時代に書かれた本」とのこと。
私が森監督の文章に惹かれるのは、大衆から一歩離れた位置で状況を眺めて、冷静に警報を鳴らしてくれるところ。
守らねばならないとの意識はこれほどにあっさりと暴走する。正義や善意が根底にあるからだ。だから摩擦が働かない。水は零度になったからといって必ず氷になるわけではない。ところが何かのきっかけで一瞬にして氷結する。相転移だ。
森達也「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」第3章 かくも完璧な世界 ただこの事実を直視しよう
人は集団となったときにこの相転移を起こしやすい。一人称単数の主語を失うからだ。「俺」や「私」が「我々」や「国家」などの集合代名詞に置き換わるとき、人は優しいままで限りなく残虐になれるのだ。
これは共同体で生きることを選択した人類の普遍的な属性だ。だからこそ戦争や虐殺は絶えない。特に日本人はこの傾向が強い。一極集中で付和雷同、一斉傾斜であると同時に平均値を何よりも気にする国民性が、人類が持つこの負の属性を促進するのだろう。
手元におく意味
今回、選んだ本すべてに共通するのですが、自分の行動や思考を支えてくれるものとして、ときどき読み返したり、読み返さないとしても目に見えるところに置いておく必要がある、ちょっとお守りみたいな意味があったりします。
自分のなかにある負の属性を暴走させないようにするためのお守り、という意味と、あとは、著者の文章が単純に好きなんですよね。弱さと強さが不思議な感じでバランスしていて、自分のなかにも似たような部分が少しあるので共鳴するようです。
7日分のリスト
1日目 内澤旬子「身体のいいなり」
2日目 佐藤優「獄中記」
3日目 梨木果歩「不思議な羅針盤」
4日目 プラトン「ソクラテスの弁明・クリトン」
5日目 ドネラ・H・メドウズ ニコラス・A・クリスタキス「つながり」
6日目 森達也「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」
7日目 アーシュラ・K・ルグィン
6日目の本も購入したのは2011年。Amazonで買っているから、いつ購入したのか、すぐに分かるんですよね。7冊選んだうちの4冊が2011年に買ったものだって、いま初めて気づきました。
明日は、7日目の本について書きます。
個人的な覚書
**2020年3月16日にフィリピン政府からアナウンスがあって、マニラは3月17日(火)から4月12日(日)までEnhanced Community Quarantine (ECQ)を実施中だったが、4月7日(火)に4月30日(木)まで延長が決定。
4月24日(金)に発表があり、5月15日(金)まで再延長が決定した。
5月13日(水)に発表があり、検疫体制をMECQ(Modified Enhanced Community Quarantine)に変更し5月31日(日)まで行うと発表。規制が緩和される業種などがあるが、基本的な体制はECQとさほど変わらないように見受けられる。
5月17日現在MECQ3日目。のこり17日。