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ECQあけまで16日 火葬は広まるか

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読書感想
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日経ビジネスオンラインで、この記事(新型コロナ爆発のNY、医療の次に来た「葬儀崩壊」)を読んだ。
ちょうど今、カミュの「ペスト」を読んでいるのだが、そのなかにも、葬儀や埋葬の事情が事細かに描写されているため、現実と小説の世界が記憶の中で入り混じって変な感覚になっている。

八月にはいって以来、事実上ペストが頂上に達した状態を持続している期間において、犠牲者の累増は、この町のささやかな墓地が提供しうる可能性をはるかに超えてしまった。(中略)県知事布告が出て、永代墓地の占有者の権利が収用され、発掘された遺体はすべて焼き場へまわされた。間もなく、ペストの死亡者たちまでも火葬に向けなければならなくなった。ところで、そうなると、市の東の、市門の外にある昔の火葬場を利用しなければならなかった。

ペスト(新潮文庫) カミュ (著), 宮崎嶺雄 (翻訳)

キリスト教やイスラム教的な価値観では、大罪を犯した人は地獄の炎に焼かれて罰されるイメージがあるため、土葬が一般的なのだ。日本も古来から土葬が主流ではあったが、、仏教の伝来と共に火葬も一般的に認められるようになったらしい。

ただ実務面で、火葬の場合は、土葬よりもコストがかかるため、一般市民まで普及するには時間がかかった。明治政府が宗教的な視点を排して、公衆衛生的な観点から火葬を推進したことから、日本の火葬件数は増え始め、現在は100%に近くなっている。

日本の火葬の歴史や諸外国の火葬率など、詳細は特定非営利活動法人日本環境斎苑協会のサイトに非常に詳しく信頼できそうなデータがある。

いま、ダン・ハースの最新作「アップストリーム」を読みながら、問題を発生する前に防ぐ方法を考える方法を学んでいるところなのだが、土葬ではなく火葬を推進することも、アップストリームにあたるのではないかと思う。

現在、世界はウイルスのパンデミックで混乱しているが、今回の件が収束したとしても、また必ず同様の問題は発生するだろう。しかも、世界レベルで感染率や致死率が高いウイルスのパンデミックが発生すると考えた場合に、明らかに土葬では対応しきれないだろう。

繊細な問題だが、科学的に考えて対処しておくべきことだと思う。日本は火葬率100%を達成している国として世界に提供できるデータがある。例えば、その都市に必要な火葬炉の数を算出するには、将来死亡者数の推定なども必要になってくるらしいし、火葬場の建設や維持についても専門的な知識が必要だ。

火葬率が低い国や地域は、そこにも予算を設ける必要があることを認識しなければならないだろう。

2020年は、葬儀について、世界中が宗教的な観点よりも公衆衛生的な観点を優先する転換点になる。

火葬場数火葬率
日本143799.97%
台湾 3896.76%
韓国 5984.64%
デンマーク 2083.07%
スイス2982.08%
シンガポール 480.54%
イギリス29978.19%
ドイツ16467.00%
アメリカ303453%
アイスランド141.66%
フランス 18536.79%
イタリア 7923.90%
中国 1,745N/A
ブラジル 43N/A
参照:諸外国の火葬数、火葬率2017・2018年 特定非営利活動法人日本環境斎苑協会

**2020年3月16日にフィリピン政府からアナウンスがあって、マニラは3月17日(火)から4月12日(日)までEnhanced Community Quarantine (ECQ)を実施中だったが、4月7日(火)に4月30日(木)まで延長が決定。
マニラのECQあけまで、のこり16日。

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