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怪談牡丹灯篭 連続公演第5話(関口屋強請)

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8.2. ふりかえり Retrospective
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2021年5月に初めてみたオンライン落語での柳家喬太郎師匠の怪談牡丹灯籠。8月11日第5話が最終回。今回は、18章関口屋強請と20章の一部が演じられました。このパートは、めったに演じられることがない部分だと最後の質問コーナーで喬太郎師匠が解説されていました。お化けも出てくるし、人間の強欲さ、ずる賢さが描かれているので、第4話に引き続き、ドキドキハラハラする内容です。

文春落語オンライン 柳家喬太郎独演会Vol.18 怪談牡丹灯籠 連続口演第5話

三遊亭円朝(初代)さんゆうてい-えんちょう1839−1900:幕末-明治時代の落語家。
天保(てんぽう)10年4月1日生まれ。初代橘家円太郎の子。7歳で小円太を名のり,のち2代三遊亭円生門下となる。一時廃業して浮世絵をまなぶが,三遊派の再興をめざして円朝とあらため,復帰して真打となる。怪談噺(ばなし),芝居噺を得意とし,派手な高座と創作噺で人気をえた。明治33年8月11日死去。62歳。江戸出身。本名は出淵(いずぶち)次郎吉。作品に「怪談牡丹灯籠(ぼたんどうろう)」「塩原多助一代記」など。
【格言など】家奴(かかあ)があると銭の事ばかり云って仕事の邪魔になっていけませんから持たないんです(「名人長二」)

“さんゆうてい-えんちょう【三遊亭円朝(初代)】”, 日本人名大辞典, JapanKnowledge, (参照 2021-08-15)

8月11日(水)演題

演題
1.お露新三郎と伴蔵おみね
(前回までのおさらい)
仲入り(10分)
1.関口屋強請
1.質問コーナー

今回は最終話なので、前座で1~4話(4月~7月)のおさらいをする段取りになっていました。私は5月から聞き始めたので、第1話の内容をキャッチアップできたのは嬉しかったですね。とはいえ、笑える内容じゃないので、前座からズシンと重い空気感なのは、息苦しくて少し辛かった。。。

関口屋強請(せきぐちやゆすり)

「関口屋強請」は三遊亭圓生の原作でいうと、18章と20章にあたる部分です。

圓朝の「怪談牡丹灯籠」の速記本は22個の章に分かれている。各章の概要は以下のとおり。

15.飯島平左衞門は深手を負いながらも、宮邊源次郎を殺しに行くが、反対に殺されてしまう。源次郎とお国は飯島家の金品を盗んで逃走する。黒川孝助はお徳と祝言をあげるが、亡き主人・平左衞門の仇を討つため源次郎とお国を追う。
16.萩原新三郎の葬儀を済ませたのち、伴蔵と妻のお峰は悪事がばれるのを恐れて、伴蔵の故郷・栗橋に引っ越す。
17.伴蔵は幽霊にもらった百両を元手に荒物屋「関口屋」を開き、成功し、料理屋の酌婦と懇ろになる。酌婦は、飯島平左衞門の元妾のお国だった。伴蔵は、お国との仲を咎めた妻のお峰を騙して殺す。(「栗橋宿/お峰殺し」) 
18.死んだお峰が伴蔵の使用人たちに乗り移り、伴蔵の悪事をうわ言のように喋り出したので、医者を呼んだところ、その医者は山本志丈だった。事の次第を知った山本は伴蔵にお国の身の上を暴露する。お国の情夫宮邊源次郎が金をゆすりに来るが、逆に伴蔵に追い返される。伴蔵は栗橋を引き払い、山本と江戸に帰る。(「関口屋」)
19.仇が見つからず、孝助はいったん江戸へ戻り、主人が眠る新幡随院を参り、良石和尚に会う。婿入り先の相川家に戻ると、お徳との間に息子・孝太郎が生まれていたことを知る。
20.伴蔵は悪事の発覚を恐れて山本志丈を殺すが、捕えられる。孝助は良石和尚の予言に従い、人相見の白翁堂勇齋を訪ね、そこで偶然、4歳のときに別れた母親おりえと再会する。すると、孝助が探していたお国が、母親の再婚相手の連れ子であり、源次郎とともに宇都宮に隠れていることを知る。
21.母おりえがお国と源次郎の隠れ場所に手引きしてくれるというので孝助は宇都宮に出向くが、おりえは、夫に義理立ててお国と源次郎に事の次第を話し、2人を逃す。
22.母おりえは孝助に事の次第を話し、自害する。孝助は二人を追い、本懐を遂げる。

牡丹灯籠 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

落語では、 江戸で山本志丈も殺害した伴蔵がその場でお縄になってハッピーエンドという締めくくりだったのですが、唐突すぎて「ん???」となりました。調べてみると、今回の連続口演では語られていなかった、もう一人の主人公である孝助が登場して活躍することが分かり、なるほど、と納得。 落語地名の紹介サイト「はなしの名どころ」さんの記述は分かりやすくて理解が深まりました。

8月3日,孝助,帰京/伴蔵,埋めておいた仏像を掘りだした後,山本志丈を殺す.そこへ孝助が通りかかり,伴蔵は捕縛される-神田旅籠町の白翁堂の所で偶然,母のりえに出会う-6日,宇都宮のりえの許に匿われている源次郎らを討ちに出立-9日,りえ,源次郎を見殺しにできず,彼らを逃がして自害-孝助,十郎ヶ峰まで追いかけ,源次郎とお国を討つ

怪談牡丹燈籠あらすじ 「宇都宮の大団円「はなしの名どころ」(落語地名の紹介サイト)

8月11日が最終回の理由

2021年4月から始まり、8月11日まで毎月1回行われた怪談牡丹灯籠連続口演ですが、なぜ8月11日を最終回にしたかったのか、という理由が質問コーナーで語られました。

怪談牡丹灯籠の物語は寛宝3年4月11日から始まります。そして近代落語の祖と言われる圓朝師匠の命日が8月11日。連続口演も4月から8月なので、これは8月11日に最終回を設定するしかない、という流れだそうです。

谷中の全生庵では毎年8月11日に圓朝忌として、落語家さんたちにより供養の会も行われ、喬太郎師匠も日中に参加され、19時から文春寄席の収録にいらっしゃったと。

圓朝師匠は1900(明治33年)年8月11日に62歳で亡くなっているので、今年2021年は121周忌になりますね。圓朝師匠は海外作品の翻案も得意だったそうで、プッチーニ「トスカ」を翻案した「錦の舞衣」や、モーパッサン「親殺し」を翻案した「名人長二」が有名だとか。いつか落語で聴いてみたいものです。

参考

(青空文庫)「怪談牡丹灯籠」三遊亭圓朝・著 鈴木行三校訂・編纂

「文春落語」(2020年1月から文藝春秋がはじめた月例落語会)

“牡丹灯籠(ぼだんどうろう)” 三遊亭円朝 (えんちょう) 作の人情噺 (ばなし) 。怪談噺の代表作で、正称は『怪談牡丹灯籠』。1861年(文久1)から64年(元治1)、円朝23歳から26歳ごろの作。84年(明治17)速記本刊行。

“牡丹灯籠”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-05-01)

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