ふりかえりTrial&Error驚Surprise

映画「Planktonium プランクトニウム」(2021)ミクロの世界に15分間もぐってみる

当記事には広告が含まれている場合があります
当記事には広告が含まれている場合があります
ふりかえり
この記事は約5分で読めます。

2021年11月は、心が震える作品に2つも出会いました。ひとつは、書籍でカルロ・ロヴェッリ「時間は存在しない」。もうひとつは、短編ドキュメンタリー映画でヤンファンエイケン(Jan van IJken)監督「プランクトニウム」。この短編映画は、vimeo(ビメオ)で作品をレンタルしたり、購入することも可能です。42秒のショートバージョンは無料で公開されており、観た瞬間に別世界にトリップできる映像美です。カルロの本を読んで、プランクトニウムを観たら、時間の存在を忘れます。

あらすじ

ツボワムシは長さ250~440μm(マイクロメートル)(1㎛は0.001㎜)のプランクトン。この世界には、微細なプランクトンの世界が存在しています。けれども、人間の肉眼では決してとらえることができません。

エイケン監督は、そんなプランクトンたちが住むマイクロメートルの世界を、顕微鏡によって超拡大して私たちに見せてくれます。微細な生物の美しさと繊細な構造が細部まで明らかになっており、まるで、エイリアンが住む秘密の宇宙を旅するかのようです。驚くほど美しく、非常に多様で多数の生物は、私たちの周りのすべての水面下をさまよっており、地球上のすべての生命にとって極めて重要です。

この作品にはナレーションや説明はありませんが、有名なノルウェーの芸術家、ヤナ・ウィンデレン (JanaWinderen) がこの映画のサウンドコンポジションを作成しています。これがプランクトンの映像と一体化して、この作品のいっそう魅力的にしていることは間違いありません。クジラの鳴き声みたいに聴こえるなぁと思っていたら、やはり音源はそのようなところにあるようですね。ウィンデレンは、水中、氷の中、または人間の耳には聞こえない周波数範囲など、物理的にも聴覚的にも、人間がアクセスするのが難しい環境での生物の音を録音しているそうです。

メッセージ

監督のウェブサイトには、以下のメッセージが掲載されていました。

植物プランクトン(小さな植物のような細胞)は、植物や樹木が陸上で行うように、光合成によって地球上のすべての酸素の半分を生成しています。動物プランクトンは、水生生物の食物連鎖の基盤を形成しています。プランクトンはまた、世界の炭素循環において重要な役割を果たしています。プランクトンは、気候変動、地球温暖化、海洋の酸性化によって脅かされています。Phytoplankton (small plant-like cells) are producing half of all oxygen on earth by photosynthesis, like plants and trees do on land. Zooplankton are forming the base of the food chain of aquatic life. Plankton are also playing an important part in the global carbon cycle. The plankton are threatened by climate change, global warming and acidification of the oceans.

vimeoで購入できます

詳細

DirectorTITLEYEARGENRETIMESCORE(IMDb)
ヤンファンエイケン (監督)
Jan van IJken (Director)   
プランクトニウム
Planktonium
2021Documentary 15min未掲載
IMDbには、これまでの作品の紹介が掲載されていました。

撮影、監督、プロデュースはエイケン、サウンドコンポジションは ヤナ・ウィンデレン (JanaWinderen)、編集はエイケンとMetjePostmaが担当。

監督情報(Director’s Bio)

ヤンファンエイケン (Jan van IJken)は、オランダの映像作家。写真家としても活躍されているようです。(こちらを参照)

ヤンファンエイケンは、オランダのライデン出身の映像作家、写真家であり、芸術と科学の接点で活動。 自然の秘密、顕微鏡学、発生学、そして人間と動物の関係などをテーマに作品を発表している。主に長期的なプロジェクトに自律的に取り組む。 写真家として活動するなかで、自然光、構図、細部に対する強靭な視点を手に入れた。
Jan van IJken is a filmmaker and photographer from Leiden, the Netherlands, working at the interface of art and science. His work is about the secrets of nature, microscopy, embryology and human-animal relationships. He is working mainly autonomously on long-term projects. As a photographer, he developed a strong eye for natural light, composition and detail.

Jan van IJken Biography

参考

マイクロメートル(μm)定義長さの単位で10のマイナス6乗m 細胞の大きさなどを表すのに用いられる.なおマイクロメートルの下にナノメートル(nm)という単位があり,10マイナス9乗mの長さである.これも細胞やウイルスなどの長さを表すときに用いる.

“マイクロメートル(μm)”, 旺文社 生物事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-12-28)

【和名:ツボワムシ】Brachionus calyciflorus 長さ250~440μmの大型種.前縁に4本の刺状突起を有す.後縁にも短い2本の後突起を有する場合もあるが,ほとんど認め得ないことが多い.全国の富栄養化した池沼に広く分布し,特に夏季に多い.

四日市大学生物学研究所 プランクトン図鑑
タイトルとURLをコピーしました