今月は、土地の所有者不明についての本を読んで勉強中です。なぜ「所有者」が不明になってしまうのか?制度に根本的な欠陥があるのに、それを放置してきたことが原因だと著者は言います。
「人口減少時代の土地問題」 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ (中公新書) 吉原祥子 (著)
現状を分析して対策を
土地の所有者が不明になってしまうのは、被災地などの特殊な状況だから発生するわけではありません。著者らの調査によれば、この問題は日本全国で増えており、制度を変えない限りは今後も増え続けると予測されています。
土地の「所有者不明化」問題とは、制度の根本的課題と、長年にわたる解決の先送りが、現象として明らかになったものである
(第2章 日本全土への拡大――全国888自治体への調査は何を語るか 3.行政の解決断念――費用対効果が見込めない)「人口減少時代の土地問題」 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ (中公新書) 吉原祥子 (著)
そして、この問題は自治体だけでは解決が難しい問題だから放置されてきました。吉原氏の調査によって、現状の問題点が明確になってきたからこそ、ようやく解決への糸口が見えてきたところですね。
この部分を読んで思い出したのはマグローの言葉でした。私の座右の銘ともいえる言葉で、いやなことや辛いことから目を逸らさずに行動をするためのエネルギー源です。土地の所有者不明化問題に比べたら、個人の問題は、まだ取り組みやすいほうかもなぁ、なんて。
問題がひとりでに解決することは絶対にないと言っていい。そのまま放って置いて状況が良くなることはない。
(「史上最強の人生戦略マニュアル」フィリップ・マグロー (著) https://amzn.to/3zl9XN1 )
この本のもくじ
第1章 「誰の土地かわからない」――なぜいま土地問題なのか
1 空き家問題の根源――森林・農村から都市へ
2 なぜ管理を、権利を放置するのか
3 法の死角――あいまいな管轄、面倒な手続き
4 下落する土地の価値――少子・高齢化、相続の増加
第2章 日本全土への拡大――全国888自治体への調査は何を語るか
1 死亡者課税による“回避”――災害とは無関係の現実
2 相続未登記、相続放棄の増加――土地に対する意識の変化
3 行政の解決断念――費用対効果が見込めない ←今ここ
第3章 なぜ「所有者不明化」が起きるのか
1 地籍調査、不動産登記制度の限界
2 強い所有権と「土地神話」の呪縛――人口増時代の“遺物”
3 先進諸外国から遅れた現実――仏、独、韓国、台湾との比較
第4章 解決の糸口はあるのか――人口減少時代の土地のあり方
1 相続時の拡大を防げるか――難しい法改正と義務化
2 土地希望者を探せるか――管理・権利の放置対策
3 「過少利用」の見直しを――新しい土地継承のあり方