さて、今月わたしは、こちらを読んでいます。「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳) 前回、WIKIBOOKSのガリア戦記が充実してる、と書きました。全巻すべてが翻訳されているわけではないのですが、第7巻だけは100%完了してます。関連地図、地名、絵画、銅像など、めちゃくちゃ充実してるので、本と一緒に読むとイメージが膨らんで楽しさが倍増しました。
平凡社版とWIKIBOOKSの比較
日本語として自然は翻訳になっていて読みやすいのは平凡社版です。一方でWIKIBOOKSは原文に忠実なので直訳っぽく、そのせいで意味が伝わりにくい部分もあります。
ちなみに、以下に引用した「自分ではどうにもできないものというのは人の心を激しくかき乱すものなのだ」という平凡社版の翻訳を読んで、私は非常に納得し、名言だな、と感じたわけですが、これがWIKIBOOKSだと「なぜなら(そこに)不在であるものすべてはたいてい、人間の心を激しく混乱させるものであったからである」となっているので、文意をスッとストレートに理解するのは難しかったと思います。
戦っていると背後で喊声があがるので大いにうろたえた(自分が危険にさらされるかどうかは他人が身を守れるかどうかにかかっているように思ってしまったのである。自分ではどうにもできないものというのは人の心を激しくかき乱すものなのだ)。
「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳) (第七巻7-84)
Multum ad terrendos nostros valet clamor qui post tergum pugnantibus exstitit,
WIKIBOOKS ガリア戦記)(第七巻7-84)
戦っている者たちの背後で生じた雄叫びは、我が方(ローマ勢)を怖れさせるために大いに力があった。
quod suum periculum in aliena vident virtute[272] constare;
というのは、自分たち(ローマ勢)の危険が他人(ガリア勢)の武勇に依拠していると思ったから。
omnia enim plerumque, quae absunt, vehementius hominum mentes perturbant.
なぜなら(そこに)不在であるものすべてはたいてい、人間の心を激しく混乱させるものであったからである。
でも、その前の一文「自分が危険にさらされるかどうかは他人が身を守れるかどうかにかかっているように思ってしまった」(平凡社)は分かりづらいですよねぇ。どういう意味なんだ?って思いますが、「自分たち(ローマ勢)の危険が他人(ガリア勢)の武勇に依拠していると思ったから」(WIKIBOOKS)を読むと、なるほど!って理解できます。
でも、平凡社版は難しい漢字が多用されていて(喊声:かんせい=大勢で突撃するときなどにあげる叫び声)「?」となることも多かったですね。その点、WIKIBOOKSは平易な表現を選択し、代名詞が指すものも具体的に表示してくれるという親切さがあります。(「喊声」ではなく、「雄叫び」を使用。他人(ガリア勢)のように明示)
あ!あとWIKIBOOKSは各節に番号だけじゃなくて、小見出しもついています。例えば今回引用した7巻-84節は、平凡社版だと7・84という数字だけですが、WIKIBOOKSは「7章84節 ウェルキンゲトリクスらアレスィア籠城軍も善戦する」となっています。
どちらの翻訳も一長一短ですけど、無料で読めるWIKIBOOKSの充実ぶりは寄付したくなるくらい素晴らしいと思いませんか。私の場合は、メインで平凡社版を読み、「?」となったところをWIKIBOOKSでチェックしてました。ただし、最初にも書きましたがWIKIBOOKSは全巻翻訳されておりませんので、その点ご注意くださいね(つづく)
もくじと構成
目次
目次「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
第一巻
第二巻
第三巻
第四巻
第五巻
第六巻
第七巻←今ココ
第八巻
訳者あとがき
解説–『ガリア戦記』の歴史的背景 青柳正規
索引
参考
Wikipediaに記載されていた目次です。
第1巻(紀元前58年) – ヘルウェティイ族との戦闘、アリオウィストゥス率いるゲルマニア人との戦い
ガリア戦記 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第2巻(紀元前57年) – ガリア北東部(ベルガエ人たちの居住地)への遠征
第3巻(紀元前56年) – 大西洋岸諸部族との戦争
第4巻(紀元前55年) – 第一次ゲルマニア遠征、第一次ブリタンニア遠征
第5巻(紀元前54年) – 第二次ブリタンニア遠征、ガリア遠征初の大敗
第6巻(紀元前53年) – 第二次ゲルマニア遠征
第7巻(紀元前52年) – ウェルキンゲトリクス率いるガリア人の大反攻、アレシアの戦い
第8巻(紀元前51年) – 戦後処理。本巻のみアウルス・ヒルティウスの著
WIKIBOOKSに記載されていたガリア戦記の目次です。(Wikipediaよりも詳しくて分かりやすい)
進捗状況はラテン語の対訳作業です。100%は第7巻のみ。2~6巻が75%、1巻が25%、8巻は掲載未定。
ガリア戦記 第1巻(54節):ヘルウェティイ族との戦役。アリオウィストゥスとの戦役。 進捗状況: 25% (2009-07-28) (2009-07-28) (作成途上)
(WIKIBOOKS ガリア戦記)
ガリア戦記 第2巻(35節):ベルガエ人同盟軍との戦役、大西洋岸の征服。 進捗状況: 75% (2011-01-10) (2011-01-10)
ガリア戦記 第3巻(29節):アルプスでの戦い、大西洋岸およびアクィタニアの平定。 進捗状況: 75% (2010-02-21) (2010-02-21)
ガリア戦記 第4巻(38節):ゲルマニア人との戦役。ブリタンニアへの初めての遠征。 進捗状況: 75% (2009-10-03) (2009-10-03)
ガリア戦記 第5巻(58節):ブリタンニアへの再遠征。エブロネス族ら諸部族の蜂起。 進捗状況: 75% (2010-12-18) (2010-12-18)
ガリア戦記 第6巻(44節):ガリアとゲルマニアの社会と風習。エブロネス族らの平定。 進捗状況: 75% (2010-01-23) (2010-01-23)
ガリア戦記 第7巻(90節):ウェルキンゲトリクスらが率いるガリア同盟軍との戦役。 進捗状況: 100% (2011-04-16) (2011-04-16)
ガリア戦記 第8巻(55節):(掲載未定)
参加者が共有する予定の本
現在の参加予定は、私も含めて6名です。
- もんざ「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
- じょあんなさん 「朝が来る」辻村深月(著)文藝春秋
- にしやまさん「好きのパワーは無限大」ハラミちゃん(著)KADOKAWA
- Yoko3さん「人生の短さについて」 (光文社古典新訳文庫) セネカ (著), 中澤 務 (翻訳)
- Yokoyokoさん「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書) 宮口幸治 (著)
- Treeさん「PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間」ロバート・チャルディーニ (著), 安藤 清志 (翻訳), 曽根 寛樹 (翻訳)誠信書房