宗教と踊りや音楽の関連性や起源がしりたいなぁと思って少し調べています。ところが日本語で検索しても、あんまり情報が見つからない。百科事典の「舞踊」の項目は少し参考になりましたが、もっと詳しく知りたいんですよね。この項目を執筆された蘆原英了さんの本が読めないかな、と調べてみたのですが、舞踊に関連するものは、なかなか入手困難な感じでした。
原始民族と舞踏
雨乞いや病気回復の祈祷、婚礼、葬儀などの場合に、踊ることを通じて神に祈る、という姿勢が舞踏の発端のようですね。
舞踊は原始民族にあっては,宗教上きわめて重要なものであった。舞踊することは,同時に礼拝することであり,祈禱することであった。いっさいの厳粛な人事,婚礼,葬儀,種まき,収穫,戦争,平和などには,それぞれ適応した舞踊があった。今日においても雨乞いや,友人の病気回復のために祈っている人々を見るが,彼らの祖先もまたこれらのことを欲した。けれども彼らは祈禱する代りに,伝統が彼らにのこし,首長あるいは魔術師によって指揮された,それに適応する舞踊を踊った。あたかも星が天空で踊るように神自身が踊ったと彼らは考えた。したがって踊ることは神々を模倣することであり,神々と共働することであり,われわれ自身の欲望の線にそって神々が働いてくれることを神々に説得することである。〈われらに恵みを与え給え〉というのが,あらゆる宗教的舞踊においてくり返された歌詞である。太陽神礼拝の諸国では,あたかも星が太陽の周囲を踊り回るように,祭壇の周囲を踊り回るのが普通である。ヨーロッパにおいてさえ,復活祭には太陽が踊るという一般的信仰はまだ消え去っていないようである。
“舞踊”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-10-17)[蘆原 英了]
雅楽
そういえば日本には雅楽があったんだ、とふと思い出して調べてみました。もともとは、中国から伝来したもので、紀元前8~5世紀頃に孔子が儒教と結びつけたのが発端だとか。
中国の雅楽
“雅楽”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-10-17)
雅楽の起源は太古の祭祀と結びついた歌舞にあるが,雅楽という観念は,春秋時代(前8~前5世紀)に孔子が雅声(雅正の楽)と鄭声(娯楽的で人の耳をよろこばす鄭国や衛国の楽)を区別し,儒教の礼楽として雅声を尊重したことに始まる。戦国時代(前5~前3世紀)には祖先をまつる廟祭楽,天地山川の神をまつる郊祀楽,儀礼宴饗の宴饗楽があり,文武の舞が行われた。
雅楽は1200年以上の歴史を持ち、日本の古典音楽として、また世界の古典音楽として外国でも非常に高く評価されてきています。
日本雅楽会 雅楽の歴史
雅楽は、日本古来の儀式音楽や舞踊などと、仏教伝来の飛鳥時代から平安時代初めにかけての400年間あまりの間に、中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽や舞、そして平安時代に日本独自の様式に整えられた音楽などです。
奈良時代・平安時代から、雅楽の演奏は宮廷は勿論、寺院や神社において盛んに演奏されました。そして1000年以上、京都・奈良・大阪の専門の演奏家によって伝承され続けました。明治時代に宮内庁式部職楽部が創設され雅楽を伝承しています。最近は、民間の雅楽の演奏団体も増えてきています。
日本には上代から神楽かぐら歌・大和歌・久米くめ歌などがあり,これに伴う簡素な舞もありましたが,5世紀頃から古代アジア大陸諸国の音楽と舞が仏教文化の渡来と前後して中国や朝鮮半島から日本に伝わってきました。雅楽は,これらが融合してできた芸術で,ほぼ10世紀に完成し,皇室の保護の下に伝承されて来たものです。その和声と音組織は,高度な芸術的構成をなし,現代音楽の創造・進展に対して直接間接に寄与するばかりでなく,雅楽それ自体としても世界的芸術として発展する要素を多く含んでいます。
宮内庁 雅楽
宗教と神話のダンス
英語で検索して見つけたのはDance Factsというサイトです。「宗教と神話のダンス」という項目に、9000年前のインド、エジプト、ギリシャ・ローマに関する記述もあり充実しています。キリスト教にもダンス要素があった、という点は新たな発見でした。(禁止している宗派もあるけど)
私はブラジルの伝統武芸カポエイラを長年習っていましたが、キリスト教とアフロブラジル文化が融合したもので、楽器を弾きながら歌う曲の歌詞には、アベマリアとか入ってました。
Dance is also incorporated in Christianity and Judaism. Mentions of dance are present in all of their holy books that date from 2000 years ago, and the followers of these religions continue to preserve dance and incorporate it into daily rituals. Brazilian martial art and dance Capoeira is often performed with lyrics that praise God. Even though several independent congregations of Christian churches forbid the use of dance in religion, majority of Christian support dancing and Christian themed music is today preformed across variety of music genres. Jews have also incorporated dance into many of their rituals, most notably weddings.
2021 – Dance Facts Dance in Religion and Mythology
ブリタニカの「神話と芸術」の項目でも、ダンスは、神話のテーマを表現するための媒体だったと書かれています。目的は、安産・多産、狩猟の成功、疾病平癒、シャーマニズムのトランス状態を達成することなどでした。現代においては、そうした儀式的なダンスは失われていく傾向です。
Dance has been a medium for the expression of mythological themes throughout the world and in all periods for which there is evidence. Especially common are dances aimed at ensuring the continuity of fertility or the success of hunting, at curing the sick, or at achieving shamanistic trance states. An aspect of the decay of ritual in the modern West is the tendency for dance to lose its close and direct connection with the life of the community. A further consequence is that the role of dance in embodying and exploring a community’s myths has often been overlooked, and dance may have become further removed from myth than any other form of art in the Western world. There are important and significant exceptions, however. One of the most notable is the work of the American choreographer Martha Graham, who frequently used mythical themes—often drawn from Greek antiquity—as the inspiration for her ballets.
Britannica Myth and the arts
https://www.britannica.com/topic/myth/Myth-and-the-arts
あとはアフリカの情報が欲しいなぁ。マサイ族とか踊ってたような気がするんだけど。ブラジルのカポエイラを作ったのは、アフリカから奴隷として連れてこられたヨルバ族だったと思うし、そこも調べよう。とりあえず、今回はここまで。