さて、今月わたしは、こちらを読んでいます。「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳) 今回は巻末付録にある「解説 ガリア戦記の歴史的背景」から、一部をご紹介しますね。
ローマ軍が弱体化した原因
ローマは紀元前201年に第二次ポエニ戦争を終結させ、隆盛と繁栄を誇っていました。当時、ローマ軍は地中海の各地を支配下におさめ向かうところ敵なし!でも実際、その兵士たちは、プロの戦士じゃありません。
ほんとは小規模の土地を所有する農民たち。遠方へ出兵している間、彼らは畑仕事ができません。領地を拡大するってことは、出兵期間も長期化するんです。兵士にかかる負担も大きくなるわけ。
その結果、軍を支える自作農民は土地を失って無産市民に没落します。無産市民は兵士になるための資格を持ちません。
そんなわけで兵士確保が困難になり、やがてローマ軍は弱体化します。それを知ったケルト人はガリアの各地で蜂起しローマを恐怖に陥れます。
弱体化したローマ軍を再建するため、即効性のある解決策を実施した人がいます。それがカエサルの叔母ユリアの夫であるガイウス・マリウス(紀元前157-86年)でした。
ここまでが、カエサルの生まれた頃の社会状況ですね。ローマの社会矛盾が拡大し、内乱が常態化している時代。この事実を理解できると「ガリア戦記」を読む前の第一ステップは完了です。(つづく)
ローマがきわめて深刻な状況にあったとき、救世主として彗星のごとく登場したのがガイウス・マリウス(157ころ-86年)である。弱体化したローマ軍を再建するにあたり、貧民を志願兵として兵籍に加えるという即効性のある方法をとった。
訳者あとがき 「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
もくじと構成
目次
目次「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
第一巻
第二巻
第三巻
第四巻
第五巻
第六巻
第七巻
第八巻
訳者あとがき
解説–『ガリア戦記』の歴史的背景 青柳正規 ←いまココ
索引
第1巻(紀元前58年) – ヘルウェティイ族との戦闘、アリオウィストゥス率いるゲルマニア人との戦い
ガリア戦記 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第2巻(紀元前57年) – ガリア北東部(ベルガエ人たちの居住地)への遠征
第3巻(紀元前56年) – 大西洋岸諸部族との戦争
第4巻(紀元前55年) – 第一次ゲルマニア遠征、第一次ブリタンニア遠征
第5巻(紀元前54年) – 第二次ブリタンニア遠征、ガリア遠征初の大敗
第6巻(紀元前53年) – 第二次ゲルマニア遠征
第7巻(紀元前52年) – ウェルキンゲトリクス率いるガリア人の大反攻、アレシアの戦い
第8巻(紀元前51年) – 戦後処理。本巻のみアウルス・ヒルティウスの著
参考
古代ローマが西地中海世界の強国であったカルタゴをしだいに撃破し、ついに滅ぼした3回に及ぶ戦争。ポエニPoeniとはフェニキア人を意味し、カルタゴがフェニキア人の植民都市国家として興ったことによるもの。
“ポエニ戦争”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-14)
Gaius Marius(前157?-前86)
“マリウス(Gaius Marius)”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-14)
古代ローマの将軍,政治家。イタリア中部,アルピヌム(現,アルピーノ)近辺在住のローマ騎士の子。前119年に護民官となり,民会投票者への門閥貴族の圧力を排除する〈投票法〉を成立させた。前112年にユグルタ戦争が起こると,前109年にコンスル(執政官),メテルスの副官となり,前107年には彼自身コンスルとなってメテルスに代わる軍司令官になったが,出陣の際兵制改革を行った。すなわち,従来ローマでは一定基準以上の財産をもつ中小農民が軍隊の基幹をなしていたが,時とともにこの社会層が没落し,兵士になる財産資格もしだいに下げられた。マリウスは今やこの財産制限にとらわれず,無産市民の志願兵を採用した。しかも彼らは将軍と私的な恩義関係で結ばれ,ここにローマ共和政時代末政治史の重要要素である私兵が成立した。
参加者が共有する予定の本
現在の参加予定は、私も含めて4名です。
- もんざ「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
- じょあんなさん 「朝が来る」辻村深月(著)文藝春秋
- にしやまさん「好きのパワーは無限大」ハラミちゃん(著)KADOKAWA
- Yoko3さん「人生の短さについて」 (光文社古典新訳文庫) セネカ (著), 中澤 務 (翻訳)