さて、今月わたしは、こちらを読んでいます。「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳) 今回も巻末付録にある「解説 ガリア戦記の歴史的背景」から、一部をご紹介しますね。
三頭政治
カエサルの叔父マリウスが軍政改革を行ったことで、ローマは軍事力を回復します。(貧民を志願兵に加え武具を支給し給与も支払ったから)
でも、これは単なる応急処置で、むしろ社会の矛盾は拡大しました。というのも、将軍がこのような私兵を抱えたことにより政治抗争が劇化。ローマの共和制は、元老院(門閥派)と民会(民衆派)で激しく対立します。
マリウスは民衆派、マリウスの部下スラは門閥派でした。しかし部下のスラが前82年、無期限の独裁官に就任(でも4年で死亡)。スラの死後、同じく門閥派のポンペイウスが権力を握るのですが、彼はやがて民衆派に心変わり。
それが民衆派の叔父を持つカエサルの好機となります。娘ユリアをポンペイウスに嫁がせ、また大富豪クラッススの財力も得てローマの執政官に当選。前59年カエサルは1年の任期で自分の政治基盤を強化します。
ここまでが「ガリア戦記」を読む前の第二ステップってかんじかな。それにしてもマリウスの奥さん(カエサルの叔母)もユリアって名前じゃなかったっけ?紛らわしいなぁ。(つづく)
ポンペイウスの名声と、クラッススの財力と、カエサルの才知とを合体させた政治体制であり
訳者あとがき 「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
三者のなかでその恩恵をもっとも得たのが最年少のカエサルだったのである。
もくじと構成
目次
目次「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
第一巻
第二巻
第三巻
第四巻
第五巻
第六巻
第七巻
第八巻
訳者あとがき
解説–『ガリア戦記』の歴史的背景 青柳正規 ←いまココ
索引
第1巻(紀元前58年) – ヘルウェティイ族との戦闘、アリオウィストゥス率いるゲルマニア人との戦い
ガリア戦記 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第2巻(紀元前57年) – ガリア北東部(ベルガエ人たちの居住地)への遠征
第3巻(紀元前56年) – 大西洋岸諸部族との戦争
第4巻(紀元前55年) – 第一次ゲルマニア遠征、第一次ブリタンニア遠征
第5巻(紀元前54年) – 第二次ブリタンニア遠征、ガリア遠征初の大敗
第6巻(紀元前53年) – 第二次ゲルマニア遠征
第7巻(紀元前52年) – ウェルキンゲトリクス率いるガリア人の大反攻、アレシアの戦い
第8巻(紀元前51年) – 戦後処理。本巻のみアウルス・ヒルティウスの著
参考
Gnaeus Pompeius Magnus[前106―前48]ポンペイウス
“ポンペイウス”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-14)
古代ローマ、共和政末期の政治家、将軍。いわゆる第1回三頭政治を敷いた政治家の一人。父譲りのピケヌム(中部イタリアのアドリア海に面した地方)の地を軍事的、政治的、経済的地盤(クリエンテル)として政界に登場する。まず同盟市戦争で、父のもと軍人としての第一歩を踏み出したのち、紀元前83年初め、独力でピケヌムの地で大軍を招集して注目を浴び、スラのもと軍人として活躍し、とくにシチリア、アフリカでマリウス派の残党を討った(第1回の凱旋 (がいせん) 式)。スラの死後もスラ体制の護持に尽力し、イベリア半島のセルトリウスを撃破した(前77~前71)のち、その帰路にスパルタクスの反乱の息の根を止めて声望を高め、第2回の凱旋式を行い、クラッススとともに前70年のコンスル(執政官)に選ばれ、スラの裁判関係の規定を変革し護民官の権限を回復した。
Gaius Marius(前157?-前86)
“マリウス(Gaius Marius)”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-14)
古代ローマの将軍,政治家。イタリア中部,アルピヌム(現,アルピーノ)近辺在住のローマ騎士の子。前119年に護民官となり,民会投票者への門閥貴族の圧力を排除する〈投票法〉を成立させた。前112年にユグルタ戦争が起こると,前109年にコンスル(執政官),メテルスの副官となり,前107年には彼自身コンスルとなってメテルスに代わる軍司令官になったが,出陣の際兵制改革を行った。すなわち,従来ローマでは一定基準以上の財産をもつ中小農民が軍隊の基幹をなしていたが,時とともにこの社会層が没落し,兵士になる財産資格もしだいに下げられた。マリウスは今やこの財産制限にとらわれず,無産市民の志願兵を採用した。しかも彼らは将軍と私的な恩義関係で結ばれ,ここにローマ共和政時代末政治史の重要要素である私兵が成立した。
参加者が共有する予定の本
現在の参加予定は、私も含めて5名です。
- もんざ「ガリア戦記」 (平凡社ライブラリー664) カエサル (著), 石垣 憲一 (翻訳)
- じょあんなさん 「朝が来る」辻村深月(著)文藝春秋
- にしやまさん「好きのパワーは無限大」ハラミちゃん(著)KADOKAWA
- Yoko3さん「人生の短さについて」 (光文社古典新訳文庫) セネカ (著), 中澤 務 (翻訳)
- Yokoyokoさん「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書) 宮口幸治 (著)