読書会(勉強会)カウントダウンコラム

読書会まで8日 第三部前置きはアンダーソン

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読書会(勉強会)
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読書会まで残り8日。前回に引き続き「パチンコ」のパート前の引用からご紹介します。

第一部:英国作家チャールズ・ディケンズ(1812年生)
第二部:韓国作家朴婉緒(パク・ワンソ)(1931年生)
第三部:米国人政治学者ベネディクト・アンダーソン(1936年生)←いまここ

第三部はベネディクト・アンダーソン

「パチンコ」第三部の前置きは、以下の言葉が引用されています。
米国人政治学者ベネディクト・アンダーソン(1936-2015)の「想像の共同体」第1章から、これだけのボリュームを引用するって、著者リーは、そうとうの思い入れがある。

I propose the following definition of the nation: it is an imagined political community–and imagined as both inherently limited and sovereign. 私は国家を次のように定義することを提案する:それは想像の共同体である。それは本質的に限定されつつ究極の力を持つと想像される。
It is imagined because the members of even the smallest nation will never know most of their fellow-members, meet them, or even hear of them, yet in the minds of each lives the image of their communion…
The nation is imagined as limited because even the largest of them, encompassing perhaps a billion living human beings, has finite, if elastic, boundaries, beyond which lie other nations…
It is imagined as sovereign because the concept was born in an age in which Enlightenment and Revolution were destroying the legitimacy of the divinely-ordained, hierarchical dynastic realm…国家は主権者であると想像する。その主権者の概念は、啓蒙主義と革命が絶対王政が神聖とされた階級社会を破壊した時代に生まれたものだから。
Finally, it is imagined as a community, because, regardless of the actual inequality and exploitation that may prevail in each, the nation is always conceived as a deep, horizontal comradeship. Ultimately it is this fraternity that makes it possible, over the past two centuries, for so many millions of people, not so much to kill, as willingly die for such limited imaginings.

Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism
Chapter1: introduction / concept and definition Benedict Anderson

でも、正直いうと、この文章だけ読んでも何だか良く分からなかったんですよね。それでアンダーソンについてジャパンナレッジで検索してみました。

ルーツのとらえかた

ニッポニカはアンダーソンの生い立ちから詳しく記載されていて、非常に分かりやすかったです。全部引用すると長すぎるので、ここでは、関連部分だけ引用しています。世界人名辞典だと概略すぎて分かんないことも、ニッポニカを読めば、なるほどってなります。

「パチンコ」はまさに、自らのルーツをどのように捉えるか、その社会的連帯を自分の力に変えるのか、それとも自分への呪いと受け取るか、という物語であり、特に第三章はクライマックス部分だから、そういう意味でもアンダーソンの言葉を持ってくるのはピッタリかも。

アンダーソンが提唱した「想像の共同体」は、多くの学問領域を横断して、国民国家、ナショナリズム、グローバリゼーション、ディアスポラ(もともとはユダヤ人の離散を示す言葉だが、1980年代以降の文化研究、社会理論、ポスト・コロニアリズムの文脈において新たな意味を獲得している。自らの起源(ルーツ)からの離脱、あるいは流浪の身にありながら、依然として自らのルーツに文化的、政治的、倫理的な強い結びつきをもち、それによって社会的連帯を志向する人々およびその概念)等を論じるうえでの重要なキーワードになっている。

“アンダーソン(Benedict Anderson)”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-12-17)

気になったので、アンダーソンの「想像の共同体」もkindle版をダウンロードしてみました。サンプルだけですが、パチンコで引用されていた第1章の部分は読めました。(でも、かなり難解なかんじで、読める気がしません。。。)

参考

アンダーソン Anderson, Benedict Richard O’Gorman
1936.8.26~2015.12.13
アメリカの政治学者.父はイギリス人,母はアイルランド人.中国の雲南昆明に生まれる.専門は比較政治および東南アジア政治.インドネシアで軍政や革命について調査し [1961-] ,9月30日事件 [65] を契機に同地の国民国家の形成過程を研究.コーネル大学で教鞭を執り,博士号取得 [67] .《想像の共同体▼:Imagined communities, 1983》では国民国家を〈想像の共同体〉と捉え,言語中心ナショナリズムやクレオール共同体でのナショナリズムを分析して議論を呼んだ.インドネシア研究の集大成《言語と権力▼:Language and power, 1990》では,ナショナリズムの成立と変質を権力,言語,意識の観点から解析した.
〖著作〗Interpreting Indonesian politics, 1982(編著).比較の亡霊:The spectre of comparisons, 1998.

“アンダーソン(Anderson, Benedict Richard O’Gorman)”, 岩波 世界人名大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-12-17)

Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism (English Edition) Kindle版英語版  Benedict Anderson  (著) 

参加者(3名)

  1. もんざ (主催者) 「パチンコ 」ミン・ジン・リー (著), 池田 真紀子 (翻訳)   (文春e-book)
  2. 兼松さん「星の王子さま」サン=テグジュペリ(著) 新潮文庫
  3. maru(まる)さん「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」ニコラス・A・クリスタキス (著) 講談社

今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。

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