読書会まで残り10日。「パチンコ」は三部に分かれているのですが、それぞれのパートの前に格言のような引用があります。
実は本文を読んでいたときは、筋書きを追うのに必死で全く意識していませんでした。でも、内容を問う19個の質問の答えを考えるために小説を読み直していたら、この三つの引用もすんごい気になってしまっています。
第一部はディケンズ
ちなみに、第一部の前には1812年生まれ英国を代表する作家チャールズ・ディケンズ、第二部の前には1931年北朝鮮生まれのベストセラー作家朴婉緒(パク・ワンソ)、第三部の前には1936年生まれのアメリカ人政治学者ベネディクト・アンダーソン。
とりあえず今回はディケンズだけご紹介します。
Home is a name, a word, it is a strong one; stronger than magician ever spoke, or spirit answered to, in strongest conjuration. —Charles Dickens
家とは名前であり言葉であり、強いもの。 それは魔術師がこれまでに唱えたものよりも、あるいは聖書で悪霊が偽祈祷師に言い返したような言葉よりも強い、最強の呪文。 チャールズ・ディケンズ
家が持つ力
第一部の舞台は韓国の貧しい漁村なのですが、物語の全体を通して最も親子愛や家族愛が強く描かれているパートです。
第二次世界大戦前、日本の植民地だった韓国では、貧困や抑圧が日常であり、国家は個人を守ってくれるものではありませんでした。だからこそ、家族の繫がりが非常に重要な力を持つことになります。
ただ、乳幼児の死亡率も高く、家父長制のしくみもあり、働き手になる男の子をたくさん生むことが女性の大切な役割のひとつと考えられていた時代。貧しい男性は家庭を持つことも難しい。現代と比べれば男女ともに息苦しい時代だったでしょう。
国家が個人を保護してくれるようになった現代では家の力は弱体化しています。たった100年弱で私たちの社会は驚くほど変化しています。
補足
ディケンズの言葉、or spirit answered to の意味が実は良く分かんなかったんです。直訳だとしっくりこないし。たぶん聖書のThe evil spirit answeredを引っかけてるのかな、と思ったので、かなり意訳ですが、こんな感じかな~とかなり意訳してみました。
ぜんぜん違ってたらごめんなさい。
悪霊は彼らに言い返した。「イエスのことは知っている。パウロのこともよく知っている。だが、いったいお前たちは何者だ。」
使徒言行録 19:15 新共同訳 Acts 19:15
The evil spirit answered, “Jesus I know, and Paul I know, but who are you?” Acts 19:15
参加者(3名)
- もんざ (主催者) 「パチンコ 」ミン・ジン・リー (著), 池田 真紀子 (翻訳) (文春e-book)
- 兼松さん「星の王子さま」サン=テグジュペリ(著) 新潮文庫
- maru(まる)さん「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」ニコラス・A・クリスタキス (著) 講談社
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。