第112回ZOOMで読書会で共有予定の本を読み進めています。
今回は第一篇第一章から第二章までについての気になった点と学習記録のメモです。
■社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫) ルソー (著), 中山 元 (翻訳)
現代社会を理解する手引き
社会契約論は、想像していた以上に面白いです。というのも、確実に現代社会の状況を理解するための手引きになりそうだから。
11月8日(日)に、英文ニュースを読む会に参加して、フランスで中学校の先生が、狂信的なイスラム教徒の若者に殺害されるという記事を精読しました。そこで、フランス革命から現代に受け継がれているフランスの理念「自由・平等・博愛」と政教分離について学んで、この思想に基づく政策が移民問題を複雑化している、ということを学んだんですよね。(世間では、これを皮肉って、平等じゃなくて、不平等って言ったりしてるらしいですが。。。)
自分のブログに備忘記録を書いたので記事に興味がある方はどうぞ。
■NYTの記事 フランスの移民と同化教育のゆがみ
みんな奴隷?
人は自由なものとして生まれたのに、いたるところで鎖につながれている。自分が他人の主人であると思い込んでいる人も、じつはその人々よりもさらに奴隷なのである。
第一篇第一章 第一篇の主題 「社会契約論/ジュネーヴ草稿」 (光文社古典新訳文庫) ルソー (著), 中山 元 (翻訳)
最初の一文から、ドキッとさせられますよね。ルソーは、どうしてこのような事態になったのかは分からないけれど、こうなったことが、いつの間にか正当化されてしまった理由を説明できる、と言います。それが、第一篇でのテーマになっています。
先人批判
258年前に、この本はキリスト教の教えを破壊して社会秩序を乱す、という理由で発禁処分、ルソーにも逮捕状が出たんですけど、自由とか平等の理念って、宗教や王権など権力とは相性が良くありません。そりゃ、そうですよね。
先人の意見に対する反論から、自由や平等はすべての人間が生まれ持つのだとルソーは主張します。
著書によるとどうもグロティウスは、人類が百人ばかりの人に従属していると考えているようである。ホッブズも同じ考えだった。そうだとすると、人間という種は、家畜のように群れに分かれて暮らしており、それぞれの群れに主人がいて、主人は貪り食うために家畜を守っているのだということになる。
(中略)アリストテレスはこれらの誰よりも早い時期に、人間の本性はまったく平等ではなく、奴隷として生まれる者と、支配する者として生まれる者がいると主張したのだった。
(中略)最初に奴隷を作りだしたのは暴力であり、奴隷たちはそのあと無気力になって、奴隷でありつづけたのである。
第一篇第二章 最初の社会 「社会契約論/ジュネーヴ草稿」 (光文社古典新訳文庫) ルソー (著), 中山 元 (翻訳)
次の第三章では、暴力が権利を作れるのか、という点についてルソーの意見が述べられています。
参考
Hugo Grotius(1583-1645)オランダの法学者。オランダ名はフロートHuig de Groot。
“グロティウス(Hugo Grotius)”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-11-14)
彼の研究は法律,政治,宗教,歴史,文学,自然科学の多方面にわたるが,その中で後世に大きな影響を残したのは法学の分野においてであり,しばしば〈近代自然法学の父〉〈国際法の祖〉とうたわれている。もっとも,個々の論点については,彼の主張の多くは先人のそれの継承であり,彼の非独創性を指摘する人も少なくない。彼の功績は,おそらく,彼が国際法,公法,私法,教会法等およそ法の全分野にわたって自然法的基礎づけを与えたという点にあるであろう。かくて彼以後は,国際社会にせよ国内社会にせよ,または異宗派相互間の関係にせよ,およそ人間の社会関係にして法的規律に服さないものはないという思想が,はっきりと確立された。彼のこのような活動をささえたものは,人間の理性的本性に対する誠実な信頼であった。理性的・社会的なかつ自由,平等な人間相互間の基本的社会秩序,これが〈自然法〉にほかならない。彼が異宗派相互間の宗教的寛容を熱心に説いたのも,かかる思想の現れにほかならないのである。さらにこのような彼の立場は,自由なかつ世俗化された社会科学の発展を促進した。
[1588~1679]英国の哲学者・政治思想家。自然主義・唯物論・唯名論の立場に立つ。政治論では、社会の自然状態を「万人の万人に対する戦い」ととらえ、人間は、相互に契約を結んで一つの意志に服従する必要があり、ここに国家と主権が成立するとし、絶対君主制を擁護した。著「リバイアサン」「哲学原論」など。
“ホッブズ【Thomas Hobbes】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-11-14)
[前384~前322]古代ギリシャの哲学者。プラトンの弟子。プラトンがイデアを超越的実在と説いたのに対し、それを現実在に形相として内在するものとした。アテネに学校リュケイオンを開いてペリパトス学派(逍遥学派)の祖となる。「オルガノン」(論理学書の総称)「自然学」「動物誌」「形而上学」「ニコマコス倫理学」「政治学」「詩学」などを著し、古代で最大の学問体系を樹立した。
“アリストテレス【Aristotelēs】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-11-14)