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「反知性主義」とマッカーシズム

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読書感想
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今回は、「はじめに」の部分から、森本さんがこの本を書くきっかけになった本についての話を共有します。(9月の読書会までに、この本を読み終えて感想を共有する予定で準備をしています)

「反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―」(新潮選書)森本 あんり (著)

知的伝統の裏と表

マッカーシズムは、マッカーシーという上院議員が、米国内が不景気なのは共産主義者のせいだ、と仮想敵を作って、過剰に国民の不安と恐怖を煽ることで、国民の支持を集め、その結果として、市民の自由が抑圧されていき、米国内外に悪影響を及ぼしました。

政治家が仮想敵を作って、国民の不安と恐怖を煽るっていう手段は、めちゃくちゃ効果的なんですよね。特に大衆は、知性よりも感情を基本的に優先するのでコロッと騙されちゃう。。。このあたりは、ドキュメンタリー映画13thを見ると非常によく分かります。(この映画は、アメリカが国家戦略として、移民や黒人を仮想敵として設定し、刑務所をたくさん作って経済活性化を図ろうとしたことを告発する内容です。私がこの映画をみたきっかけと、見た感想、その①その②も、ブログにまとめています)

大衆が知性よりも感情を優先する、というのは、キリスト教の伝道師も政治家と同様に熟知していて、だからこそ、派手なパフォーマンスをして耳目を集めたり、エンタテインメント性を重要視します。民主主義では大多数の意見を集めるものが力を持つのですから。

でも、多くの大衆は、自分たちが「恐怖や娯楽性」で釣りあげられているっていう自覚はないんですよね。政治家や宗教家は、彼らの意図するように大衆を操作することができるわけです。大衆に知性さえなければ。

反知性主義(anti-intellectualism)という言葉には、特定の名付け親がある。それは、『アメリカの反知性主義』を著したリチャード・ホフスタッターである。1963年に出版されたこの本は、マッカーシズムの嵐が吹き荒れたアメリカの知的伝統を表と裏の両面から辿ったもので、ただちに大好評を博して翌年のピューリッツァー賞を受賞した。日本語訳がみすず書房から出たのは四十年後の2003年であるが、今日でもその面白さは失われていない

(はじめに 「反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―」森本 あんり  (著)   )

そんなに面白い本なのに、なぜ40年も邦訳が出なかったのか。
日本人には理解しにくいアメリカのキリスト教史を背景にしているためでした。

森本さんの本を読んで、予備知識を手に入れたので、次は『アメリカの反知性主義』にチャレンジしてみようかな、と思ったのですが、kindle本がない!そしてお値段も5千円以上。。。
英語版ならkindle版で千円($9.55)と5分の1なので、また惹かれてしまいました。

■アメリカの反知性主義
リチャード・ホーフスタッター (著), Richard Hofstadter (原著), 田村 哲夫 (翻訳)

■Anti-Intellectualism in American Life by Richard Hofstadter  (Author) 

死ぬまでに読みたい本リストのほうに追加して気長に読めるタイミングを待つことにします(笑)

参考

Mc・Car・thy・ism
1 〔米史〕 マッカーシズム:1950年代前半の米国で,J.R.McCarthy 上院議員を中心とする保守勢力によるヒステリックな反共・赤狩り運動とその思想.
2 マッカーシズム:(特に反体制的,政治的批判を抑えるための)不公正な申し立て,取り調べの方法.

“Mc・Car・thy・ism”, 小学館 ランダムハウス英和大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-09-18)
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アメリカの反知性主義
知識人とは何か、知識人は民主主義の実現に貢献する力になれるのかと問いつづけ、アメリカの知的伝統とは何かを問う、感動のノンフィクションであり、アメリカ史の古典。 1952年、マッカーシー旋風の吹き荒れるなかで行なわれた大統領選挙は、「知性」と...
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