読書会(勉強会)カウントダウンコラム

第109回読書会は本日です/8月は7名

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読書会(勉強会)
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今月わたしは、こちらを読んでいます。今回は、白水Uブックスに収録されている久野収さんの解説「二十世紀人間の具体的人相書き」から気になったところを共有します。

「大衆の反逆」ホセ・オルテガ・イ・ガセット (著), 桑名一博 (翻訳)

ただ一つ筆者の重大な異論を言うとすれば、オルテガは「大衆」人間を一つの社会階層でないといいながら(中略)「大衆」人間の克服方法を、世襲できない貴族主義の新しい誕生と強化に求めている。しかしこの方法は(中略)歴史過程をくり返す結果に終わりはしないだろうか。(中略)主権と権利と責任の主体としての市民的人間によって乗りこえる道を選ぶほうがよいと考える。

(解説「二十世紀人間の具体的人相書き」久野収「大衆の反逆」オルテガ著 )

久野さんは、「大衆」人間も悪い面ばかりじゃないぞ、とおっしゃっていて、本田謙三「大衆人間 一つの素描」を例示されているのですが、その本にどんなことが書かれているのか分からないんで、何とも言いようがありません。

そう思って、調べてみたら、なんと国立国会図書館のデジタル本で本多謙三の本(実存哲学と唯物弁証法)が読めました。大衆人間のコマ番号は60-67です。ちょっとだけ読みました。

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吾々が社会的人間として取扱うとするのは、斯くの如き政治的形態に組織された大衆人である。吾々は、これを大衆人間と呼ぼう。(中略)このやうに、国家の中にあって、国家を死滅させつつあるもの、それに代って大衆人の體躯となるものにこそ、注意を集中せねばならぬ

「実存哲学と唯物弁証法」本多謙三(著)1931年8月

最初の方に、こういう風に書いてあったのを読んで、あれ?これは、つまり、本多さんの言う大衆と、オルテガが言う大衆って定義が異なるのではないかな、と思いました。だとすると、ちょっと比較できないのかな、と思ったりして。

オルテガの言う「大衆」とは、傲慢な精神の象徴(そのときを生きている人間のことしか考えない)であって、本多さんが書いている政治的形態に組織された大衆人、というのとは、解釈の仕方が違うんじゃないかな。

オルテガの言う「大衆」と「貴族」

オルテガは、現在の私たちがイメージする「大衆」「貴族」「リベラル」とは、少し異なる意味を与えて、持論を展開しています。

・大衆=傲慢な精神の象徴(そのときを生きている人間のことしか考えない)
・貴族=(ブルジョアのことではない)自分と異なる他者に対して、イデオロギーを振りかざして闘うのではなく、対話し、共存しようとする我慢強さや寛容さを身につけている人
・リベラル=自分とは異なる他者と共存しようとする冷静さ(寛容さ)

この定義だけで考えると、大衆は良いとこなしって感じになっちゃいますよね。
それで、オルテガは、別に大衆をやっつけたらOKって言ってるわけじゃなくて、そういう大衆が生み出されてしまう社会構造に問題があるから、それを何とかしなきゃヤバいよ、って言いたいだけなんだと思いましたよ。

本質的な問題解決のためには、そこを深堀したかったんだけど、さしあたり、この本(大衆の反逆)では、そこまで範囲を広げると手に負えなくなっちゃうんで、とりあえずは、問題提起にとどめて、次作に続く、みたいな感じで終わってます。

だから、私は、特にオルテガに反論も何もないかなぁ。彼の定義する「貴族」を知ったら、私も「大衆」じゃなくて、オルテガの定義するような「貴族」になれたらいいなと思うし。大衆が、みんな貴族みたいになっちゃったら、問題はかなり解決するんだろうな、と思うし。でも社会構造がそれを阻んでるんだよね、たぶん。そして、それが一番問題なんだってこと。

第109回ZOOMで読書会

本日AM8時~9時半(JST)に第109回ZOOMで読書会を開催いたします。
お時間になったら、事前にお知らせしたURLをクリックしミーティングルームにご入室ください。

8月のご参加は私も含めて7名です。
最初に、ご紹介本の表紙を見せていただき集合写真を撮りたいです。
お手数ですが、ご用意をお願いいたします。

参加者(7名)

  1. もんざ (主催者)「大衆の反逆」オルテガ (著)
  2. あさはらさん「こころ」夏目漱石 (著)
  3. にしやまさん「グイン・サーガ」五代ゆう(著)
  4. maru(まる)さん「世界はシステムで動く」ドネラ・H・メドウズ(著)
  5. Treeさん「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」グラント・サバティエ(著)
  6. ちかさん「コスモスCosmos」 カール・セーガン(著)
  7. Yoko3さん「最高のデスクワーク」猪俣武範(著)

共有予定の本

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こころ
明治期の文学者、夏目漱石の長編小説。「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」[1914(大正3)年]。「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の3部からなる晩年の傑作。親友Kを裏切って好きな女性と結婚した罪を負う先生の行く末には絶望と死しかない。「こ...
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