7冊目のブックカバー・チャレンジのための準備です。
ジレンマを自覚する
7冊目は、ル・グゥインの「風の十二方位」です。
ルグィンの作品に最初に出会ったのは、小学校の図書室。もう30年以上のお付き合いになります。でも、なぜ自分がそんなに彼女の作品に惹かれてしまうのか、いまだにちゃんと言葉にできません。
むりやり言葉にしてみると、私を一瞬で現実世界から、別世界へ連れて行ってくれる力を持っていて、記憶の中に見たこともない景色をイメージさせてくれるから、という感じになるかなぁ。
幾百万もの人びとが永久の幸福をたもちうる世界が、ただ一つの前提、この世界の遠いはずれにいるひとりの迷える魂が、孤独な苦しみの生涯を送らなくてはならないという、ただそれだけの条件でわれわれの前にさし出されたとしよう。そこでわれわれがただちに味わう、この特殊で自主的な感情は、いったいなんだろうか?(中略)アメリカの良心のジレンマが、かつてこれ以上に巧みに表現されたことはない。(中略)もちろん、わたしは、ジェイムズを読んで、さあこれからあの”失われた魂”についての物語を書こうと、すぐに机に向かったわけではない。
アーシュラ・K・ルグィン「風の十二方位」「オメラスから歩み去る人々」のまえがき
手元におく意味
「オメラスから歩み去る人々」の物語は、最初に読んだときから、もうずっと、いつも常に自分の心のどこかに潜んでいます。
私は、自分もオメラスの都の住人なのではないか、と思っているからです。自分の幸福は、他人か、あるいは他の生物の犠牲のうえに存在しています。
でも、私はオメラスから歩み去る勇気もなければ、犠牲者を助ける勇気もなく、ただ日常を続けるだけ。そのジレンマを自覚しておくために、この本を手元に置いています。
7日分のリスト
1日目 内澤旬子「身体のいいなり」
2日目 佐藤優「獄中記」
3日目 梨木果歩「不思議な羅針盤」
4日目 プラトン「ソクラテスの弁明・クリトン」
5日目 ドネラ・H・メドウズ ニコラス・A・クリスタキス「つながり」
6日目 森達也「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」
7日目 アーシュラ・K・ルグィン「風の十二方位」
2日目までの選書をみた友人から「あなたらしい本を選んでる」と言われて、ちょっと恥ずかしかったのは、なぜでしょうね。
1週間分が終了したので明日は、総まとめにします。
個人的な覚書
**2020年3月16日にフィリピン政府からアナウンスがあって、マニラは3月17日(火)から4月12日(日)までEnhanced Community Quarantine (ECQ)を実施中だったが、4月7日(火)に4月30日(木)まで延長が決定。
4月24日(金)に発表があり、5月15日(金)まで再延長が決定した。
5月13日(水)に発表があり、検疫体制をMECQ(Modified Enhanced Community Quarantine)に変更し5月31日(日)まで行うと発表。規制が緩和される業種などがあるが、基本的な体制はECQとさほど変わらないように見受けられる。
5月18日現在MECQ4日目。のこり16日。