これは、調査する国によって、結果がまったく違ってくるだろうな、と思ったもんざです。
とある資料で、 2030年に必要とされるスキルが引用されていたので、へぇーと思って出典を見たら、オックスフォード大学が2017年に公表した調査結果でした。
日本語で書かれた一覧表をみて、ちょっと良く分からない言葉もあったので、翻訳の問題もあるだろうと考え、とりあえず原典にあたってみなきゃな、と探してみました。
その結果、私が見ていた資料で引用されていた表はアメリカでの調査結果だけで、しかも調査国によって結果が異なる点には触れられていませんでした。原典を読むと、イギリスでの調査結果は、アメリカの結果とずいぶん異なっていたので、できればそこまで書いて欲しかったな、と思っちゃったんですよね。
とにかく、せっかく原典にあたってみたので、備忘記録として残しておきます。これ、日本で調査したら、全然ちがう結果がでるんだろうな。
ちなみに、わたしが個人的に一番身につけたいスキルは、「高度な問題解決力 Complex Problem Solving」です。これさえできれば、そうとう生きやすくなるだろうし、その他もろもろのスキルも、この中にだいたい含まるんじゃないかって気がする。。。
2030年に必要とされるスキル20(US/UKの比較)
左側がUSで調査した結果で、右側がUKで調査した結果です。一番左の数字が順位(ランキング)です。 両者を比較しやすいように、UKの項目の前にUSのランキングを入れてます。
こうすると、アメリカとイギリスで、ずいぶん違うってことが、よく分かりました。
アメリカで1位の戦略的学習能力は、イギリスでは4位。イギリスで1位の判断力・意思決定力はアメリカでは20位です。とはいえ、10位までのランキングで4項目は重なっていますね。(戦略的学習能力、独創性、発想の豊かさ、アクティブラーニング)
しかし、独創性と発想の豊かさは分かるけど、戦略的学習能力とアクティブラーニングって、どう違うんだろう? 英単語だけ見ていても、意味が分かりません。
もっとちゃんと調査内容を読んだら、分かるのかも。。。 あ、各スキルの定義については、別サイトを見ろって書いてありました。
(A Glossary of Skills laying out the precise definitions of all 120 O*NET skills, knowledge areas and abilities can be accessed at futureskills.pearson.com. )
気になるので、この二つのスキルの定義だけ、別サイトを確認して、文末に追記しますね。
1位~10位 (US/UK)
順位 | USの順位 | 順位 | UK |
1 | 戦略的学習能力 Learning Strategies | 20 | 判断力・意思決定力 Judgment and Decision-making |
2 | 心理学 Psychology | 9 | 発想の豊かさ Fluency of Ideas |
3 | 指導力 Instructing | 10 | アクティブラーニング Active Learning |
4 | 社会的洞察力 Social Perceptiveness | 1 | 戦略的学習能力 Learning Strategies |
5 | 社会学・人類学 Sociology and Anthropology | 8 | 独創性 Originality Abilities |
6 | 教育学 Education and Training | 26 | システム評価 Systems Evaluation |
7 | 協調性 Coordination | 23 | 演繹的推理力 Deductive Reasoning |
8 | 独創性 Originality | 16 | 高度な問題解決力 Complex Problem Solving |
9 | 発想の豊かさ Fluency of Ideas | 34 | システム分析 Systems Analysis |
10 | アクティブラーニング Active Learning | 22 | モニタリング Monitoring |
11位~20位 (US/UK)
順位 | US | 順位 | UK |
11 | 心理療法・カウンセリング Therapy and Counseling | 25 | 批判的思考Critical Thinking |
12 | 哲学・神学 Philosophy and Theology | 3 | 指導力 Instructing |
13 | 伝達力 Speaking | 6 | 教育学 Education and Training |
14 | サービス志向 Service Orientation | 33 | 人事管理 Management of Personnel Resources |
15 | 傾聴力 Active Listening | 7 | 協調性 Coordination |
16 | 高度な問題解決力 Complex Problem Solving | 28 | 帰納的推理力Inductive Reasoning |
17 | オーラルエクスプレッション Oral Expression | 35 | 問題察知力Problem Sensitivity |
18 | コミュニケーション学・メディア学 Communications and Media | 50 | 情報整理Information Ordering |
19 | 滑舌 Speech Clarity | 15 | 傾聴力 Active Listening |
20 | 判断力・意思決定力 Judgment and Decision-making | 38 | 運営管理Administration and Management |
The Future of Skills: Employment in 2030 University of Oxford
参照引用
(アメリカでの調査結果)
6.3.1. US table 14: A ranking, by Pearson correlation, of the importance of O*NET variables to future demand for US occupations
(イギリスでの調査結果)
6.3.2. UK Table 15: A ranking, by Pearson correlation, of the importance of O*NET variables to future demand for UK occupations
ちゃんと裏をとる
外国で調査されたものを、要点だけ抜粋して日本語に翻訳したものは、特に注意が必要だなって改めて思いました。統計の結果だけをみて、分かった気になると落とし穴があるかもしれません。
自分にとって都合のよい結論だけを引用する人もいるので、可能な限り、原典を探して読んでみる努力は必要だと思いましたよ。ちょっとめんどくさい気もしますが、それよりも、日本のインターネット元年といわれる1995年頃と比較すれば、2020年の現在では、誰でも簡単にインターネットで原典を探して読むことができることに、いまだに感動します。
これからも、ちゃんと裏を取っていくように頑張ろう。英語の勉強にもなるし。
でもどうやって?
- 1.引用元が明示されていない(論外:信頼できない資料だってすぐ分かる)→別の資料を探す(裏がとれないから)
- 2.引用元と情報が異なる(とりあえず引用元にあたって読まなきゃ分からない)→別の資料を探す(どこまで信頼できるのかを見極める)
- 3.引用元から恣意的に抜粋されている(これが最も危険。引用元にあたって、ちょっと読んだくらいだと分からないかも)→原典を確かめて、信頼度を見極める
SKILL DEFINITION (スキルの定義)
LEARNING STRATEGIES(学習戦略)
Selecting and using training/instructional methods and procedures appropriate for the situation when learning or teaching new things.
https://futureskills.pearson.com/research/#/findings/top-skills
新しいことを学んだり教えたりするときに、状況に適したトレーニング/指導方法と手順を選択して使用する
ACTIVE LEARNING (能動的学習)
Understanding the implications of new information for both current and future problem-solving and decision-making.
https://futureskills.pearson.com/research/#/findings/top-skills
現在および将来の問題解決と意思決定の両方に対する新しい情報の意味を理解する