今回は、ハイエクの「貨幣発行自由化論」の第9章「発券銀行間の競争」から、気になったところのメモと学習ノートを残しておきます。
「貨幣発行自由化論 改訂版――競争通貨の理論と実行に関する分析 」フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) (著), 村井 章子 (翻訳)
(10月の読書会までに、読み終えて感想を共有する予定で準備をしています)
この章では、民間銀行が発行する貨幣が競争することによってもたらされるメリットと、いくつかの問題が示されています。
名称も単位も異なる通貨
同じ名称で交換可能な貨幣ではなく、はっきりと識別可能で、名称も単位も異なる通貨を発行する銀行同士が競争すると仮定します。すると、どうなるのか。政府が、民間発行通貨の利用に対する規制をすべて撤廃すれば、民間銀行は通貨の質を競うでしょう。また、以下の効果が現れます。
価値の維持に全力を尽くす発券銀行が人々の信頼をえる 持続的な需要が見込まれるようになる 供給量を調節し価値の安定を実現
購買力が一定に保たれるようになった通貨は、このような競争下におかれることが最善であり、さらに新聞が、発券銀行間の競争を監視して報道することで、競争に拍車がかかり、健全性が増す、とハイエクは考えていたようです。
この状況で政府がこれまで発行してきたものよりよい通貨を創造するために必要なのは、飽くなき利益追求であるように思われる
第9章「発券銀行間の競争」「貨幣発行自由化論 改訂版――競争通貨の理論と実行に関する分析 」
フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) (著), 村井 章子 (翻訳)
では何が問題になってくるのでしょうか。
検討する問題
以下の4つを検討する必要があるようです。
- 本当に通貨の価値を維持し、自らの通貨の魅力を示せるか
- 運営方針で他行をどの程度まで妨害できるか
- 実際に人々は通貨のどの利点・属性を重視するのか
- 多くの人が好む通貨は、全員にとって使いやすいか
4番目は、なぜ検討する必要があるのか、不思議ですよね。ハイエクは、大勢が特定の通貨を使うことで得られるメリットは、その通貨が全面的に使われることになった場合の混乱で打ち消されて、不利益が上回る可能性もある、と書いているのですが、ここでは具体例が示されていないため、よく分かりませんでした。
次章では、貨幣とは何かについて説明があります。え、1章じゃなくて10章で??って感じですが、ここ9章までが前置きで(繰り返しも多かったし)、10章から本格的に中身に入っていくかんじみたい。
貨幣発行自由化論 改訂版ーー競争通貨の理論と実行に関する分析 [ フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) ]