携帯電話だけは手放さないようにしなくちゃ、と心に誓ったもんざです。
先日、マニラにある日本大使館にパスポートの代理申請の手続きに行きました。
フィリピン人の同僚と一緒に、会社の車で行ったのですが、彼女が大使館の中には携帯電話を持って入れないから、車の中にスマホを置いていったほうがいい、というアドバイスをくれました。
会社の専属ドライバーさんは車で待っていてくれるので、問題ないだろうと判断して、彼女に倣って私も社内に不要な荷物とスマホを置き、大使館へ行きました。
大使館での手続きは、書類の不備を指摘され、出直すことになり、あっという間に終わったのですが、大使館を出て、会社の車を探しても、まったく見当たらないのです。
そこで、私たち二人は大きな失敗をしたことにようやく気づいたのです。
スマホを持っていれば、運転手さんに「手続きが終わったから戻ってきて」と電話で連絡をすることができますが、私たちには連絡する手段がないのです。
「わたし、スマホを車に置いていくよ、って彼に言ったよね?」と同僚は私に同意を求めました。
「あなたは確かに言った。でも、そういえば彼の「わかった」という返事を聞いていないかも」
ここで、ようやく、私は以前、イミグレーションに行かなければいけないのに、大使館に連れてこられたのも、同じ運転手さんだったことに気づきます。
午後の南国の太陽がギラギラと照り付けるなか、呆然としていた私たちですが、彼女が機転を利かせて近くの人の携帯を借りてくれて、なんとか連絡を取ることができました。
自分の頭でしっかりと考えるクセと危機管理をもっと徹底しなきゃなぁと改めて感じた出来事でした。
さて、課題です。私は「ファクトフルネス」を読んでいます。第9章は「Blame Instinct」です。
この章も著者ハンスさんの皮肉な風味が効いていて、面白いんですよ。「おばあちゃんをなぐれ」っていう逸話は、いかに私たちが目先のことしか考えずに犯人捜しをするかを楽しく考えさせてくれます。
巨大な製薬会社はマラリアにしろ、そのほかの病気についても最も貧しい人たちに影響するものを調査することが難しい状況であることを著者が学生に説明したときの話です。
一人の学生が「そいつらの顔を殴ってやればいい」というのです。そこからハンスさんのソクラテスのような問答が学生とのあいだに始まるんですよね。
最後は「製薬会社の株式配当で金儲けをした君のおばあちゃんから、旅行代をもらって、それを使ってしまった君自身の顔を殴るべきじゃないか?」というオチなのです。
世の中の出来事は複雑に絡み合っていて、何が予期しない出来事が起こったとしても原因を特定することは容易ではありません。
犯人さがしをしたり、犯人が見つからない場合は、いけにえ(スケープゴート)を作っても気持ちの整理をつけたくなったりするのが人間の本能です。
私も、会社の専属ドライバーさんを責めるのではなく、自分の顔にパンチするべきなんだなーーと、この章を読んで考えています。
誰かを責めるのは簡単ですが、それで将来のトラブルを防いだり、問題を解決できるようになるわけではありません。
ただ、怒りに翻弄されると、論理的な思考ができなくなっちゃったりするから、難しいところですよね。
今日も読んでくださってありがとうございます。
また明日もよろしくお願いします。