Zoom読書会読書会(勉強会)カウントダウンコラム

教養の深さが分かるところ

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そんなことまで私に語ってよいの?と思ったもんざです。行きつけの美容院の支店が閉店したので、これまで行ったことのなかった支店に足を伸ばしてみました。すると、前の支店で私を担当してくれていたお姉さんがいました。「昨日、●支店に行ったらクローズしてたけど、どうしちゃったの?」

閉店した理由を聞くと、コロナ禍下で値下げされていたテナント賃料が、もとに戻ってしまったため、とのこと。なるほど、と納得しました。同じ理由で閉店するお店は多そう。

その話から発展して、なぜか彼女の恋愛話をじっくり聴く状況になってました。「フィリピン人の男は全員とは言わないけど、浮気性の人が多いから、あなたも気を付けて。私の彼なんて、ちょっと油断すると・・・」みたいな調子で、同棲中の彼をネタにしたマシンガントーク。

彼はもう私のことを好きじゃないみたいだけど、私はやっぱり彼が好きなのよ、彼のほかに、もう一人、真面目でいい人はいるんだけど、そっちは身体の相性がイマイチなのよね、とか、切々と語られました。

彼が浮気性っていうけど、あなたも負けてないし、どっちもどっちじゃない?とは言えず。。。それは辛いよねぇ。。。と共感を示すしかなかったんですけども。なんか久々にリアルな恋愛ゴシップを聞いて、若返った気分です(笑)

進捗報告

さて、今月みなさんと共有したいのは、こちらです。「俘虜記」(新潮文庫) 大岡 昇平  (著)

著者が文学に対して豊富な知識を持っていて、しかもそれが血肉として身についていることを示す一文を見つけて、やっぱりすごいなと唸りました。

私は無論これが熱のための幻聴であるのを知っていた。私は笑って「よせやい、お前なんかいやしねえの知ってるぞ。みんな熱のせいなんだ」と叫んだ。その途端、私はこう叱咤すること自体、相手の存在を認めるにほかならないことに気がついた。私は口をつぐんだ。同時に私はこれが「カラマゾフの兄弟」のイワンの二重人格の場合と同じであることに気がついた。この発見は不愉快だった。

「俘虜記」(新潮文庫) 大岡 昇平  (著) 1.捉まるまで

これは、マラリアにかかり、ノドが渇いて死にそうな状態の著者が幻聴を聞いた場面です。
死にかけている時に、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」が思い浮かぶって、どんだけドストエフスキーを読み込んでいるんだろう?って驚愕しました。
私は、カラマーゾフの兄弟も少しずつ再読しているところですが、死にそうな時に、この物語のキャラクターが思い浮かぶなんて、ちょっと想像できないなぁ。
っていうか、大岡さんと同じ経験をしたとしても、それをこんな風に文章にすること自体が私には無理ですけどね。

今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。

参加者(2名)

  1. もんざ (主催者) 「俘虜記」(新潮文庫) 大岡 昇平  (著)
  2. にしやまさん「大学の常識は、世間の非常識」 (祥伝社新書) 塚崎公義  (著)

参考

俘虜記(ふりょき)大岡昇平の長編小説。1948年《文学界》に発表された短編《俘虜記》(合本《俘虜記》収録時に〈捉まるまで〉と改題)をはじめとして,51年まで各誌に分載。52年創元社より合本《俘虜記》として刊行。作者は,45年1月フィリピンのミンドロ島でアメリカ軍の攻撃を受け,病兵としてひとり山中に取り残され,意識を失って捕虜となり,約1年間収容所生活を送った。この合本《俘虜記》はその体験の記録である。兵士および俘虜としての自己の行動と意識について厳密な考察が加えられると同時に,俘虜たちの生態と人間性とが活写され,収容所の生活が占領下の日本の社会を暗示するように描き出されている。死に直面した作者がしだいに健康を回復していく過程も魅力的である。

“俘虜記”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-08-14)

大岡昇平おおおかしょうへい1909-88(明治42-昭和63)
作家,評論家。東京生れ。京大フランス文学科卒。成城高校在学中に小林秀雄,中原中也,河上徹太郎らと知り合った。戦前は会社員生活をしながら《文学界》などに批評を書き,またスタンダール研究に力を注ぐ。1944年一兵士として応召出征,45年1月フィリピン戦線でアメリカ軍の捕虜となった。48年この経験を書いた短編《俘虜記(ふりよき)》(合本《俘虜記》では《捉(つか)まるまで》と改題)で文壇に登場,次いで禁欲的な恋愛小説《武蔵野夫人》(1950),敗軍下の戦場での神と人肉食の問題を取りあげた《野火》(1951)を発表,戦後文学を代表する作家の一人となった。

“大岡昇平”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-08-14)より前半部分のみ抽出

フィリピン,ルソン島の南西に横たわる大きな島。面積9818km2はフィリピン群島中第7位。行政的には二つの州に分かれ,人口56万(1975)。島の中央部を北北西から南南東方向に急峻な脊梁山脈が走り,ハルコン山(2586m),バコ山(2489m)などの高い火山がそびえる。西海岸では雨が多く乾季と雨季の交替がみられるが,東海岸では明瞭な乾季がない。北東部に開ける沿岸平野にはタガログ地方からの,南西部の平野部にはビサヤ地方からの移住者が住みつき,内陸部はマンギャン族などが占拠する。南西岸のサン・ホセ町に1911年フィリピンで最初の分蜜糖工場が建てられた。島名はスペイン語で金鉱を意味するミナ・デ・オロに由来するといわれるが,現在ではそれらしき鉱山は見当たらない。

“ミンドロ[島]”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-08-14)

旧日本軍の兵営、艦船内に設けられた売店で、「軍隊内務令」の物品販売所がこれにあたる。士官、兵に時間を限定して、酒類、甘味品などの飲食物、手拭 (てぬぐい) 、歯ブラシ、ちり紙などの日用品を安価で販売した。酒や汁粉、うどんなどは酒保内でのみ飲食が許可され、新聞・雑誌の閲覧、囲碁・将棋などの娯楽設備もあった。なお、酒保とは中国語で酒屋の店員の意。アメリカ軍ではPX(post exchangeの略)、自衛隊では売店という。

“酒保”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-08-14)

共有予定の本

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一等兵として太平洋戦争に従軍した著者の体験に基づく連作小説。フィリピン・ミンドロ島への米軍上陸から復員までの約一年間を描く。なぜ自分は米兵を殺さなかったかという感情を異常なほどに平静かつ精密に分析した「捉まるまで」と、俘虜収容所を戦後日本の縮図と見た文明批評の続編からなる。孤独という真空状態での人間のエゴティスムを明晰な文体で凝視し、戦争小説とは一線を画する。

<内容:アマゾン商品説明より>   「俘虜記」(新潮文庫) 大岡 昇平  (著)
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変わらない大学への問題提起…。元大学教授の著者は言う。
“一国一城の主”である教授は自由で、天国のような職場だった。
しかし、大学の実態にはさまざまな違和感を拭えず、「大学の常識は、世間の非常識」だと感じ続けていた、と。
どうしたら日本の大学は良くなるのだろうか。
銀行員から大学教授に転身した著者だからこそ提起できた改革案を披露する。
いわく――文系の大学教授を研究者と教育者に分け、大学は企業人養成に専念すべき。
また、企業は3・4年次ではなく1年次に内定を出せばいい――。
巻末には、騒がしい教室が静かになる魔法の言葉など講義の工夫や人気講義を収録。
変わらなかった日本の大学が変わるきっかけとなるか。

<内容:アマゾン商品説明より>  「大学の常識は、世間の非常識」 (祥伝社新書) 塚崎公義  (著)
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