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取るに足らないものを記録する

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ふとした気づき
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親近感でグイグイ惹きつけられたウェブサイトがあったので、なぜ魅力を感じたのか、備忘記録を残しておきます。

ディテールを丁寧に描く

英語学習の調べものをしていたところ、しるくさんという方のブログにたどり着き、その方のツイートから、ライフジャーナル・マガジン「雛形」を知りました。たどり着いたページは、映画「あのこは貴族」の岨手監督の対談でした。監督も含めて3人の女性が、この映画の内容に基づいて語り合っているのですが、私がうまく言語化できていなかったことを表現してくださっている部分が多く、それが心に響いたようです。

岨手監督:そうなんです。だから、他人から見たら取るに足りない人生かもしれないけど、彼女たちのディティールを丁寧に描くことで、観た人が「これは私だ」と思えるキャラクターにしてあげたかったという思いは強いです。

「“いつでも別れられる”ってすごく大事。自尊心を見失わず、生きたい場所で生きていく。
映画『あのこは貴族』監督と語る私たち。」ライフジャーナル・マガジン「雛形」

取るに足りない人生を丁寧に描く、というところにも、私の中で共鳴するものがありました。私は、自分の両親にインタビューをして彼らのライフストーリーを知りたいと長年考えているにも関わらず、行動できていません。その理由のひとつとして「取るに足りない人生」を深く知りたいと考える理由が説明できないからだと気づきました。

ムダな時間はあって良い

岨手監督:恋愛も仕事も勉強も、生活のなかで費やしている時間すべてにおいて、価値がないといけないかのような圧がありますよね。もう少し無駄な時間があってもいいはずなのに。

「“いつでも別れられる”ってすごく大事。自尊心を見失わず、生きたい場所で生きていく。
映画『あのこは貴族』監督と語る私たち。」ライフジャーナル・マガジン「雛形」

これも、さきほどの「取るに足らない人生」と繋がってくる話です。「価値」っていったい何でしょうね。資本民主主義社会が国民に認める「価値」と、個人が内面的に認める「価値」は、表面的な言葉としては同じだけれども、一致しないでしょう。

生活していると消費者として求められる価値を広告やメディアや、周囲の人々によって、知らず知らずのうちに染まっていくから、「価値がないといけない、という圧力」は、日本独特のものなのかもしれません。調べてみたいところです。

依存せずに立つこと

岨手監督:あれは、私が個人的に大事にしている格言なんです。恋愛でも何でも、いつでも別れられるってすごく大事なことですよね。冷静な判断ができるっていうことも含まれていますから。どこで生きていても、なにかに依存せずに立っていられるが理想の姿ですよね。経済的にも、精神的にも。

「“いつでも別れられる”ってすごく大事。自尊心を見失わず、生きたい場所で生きていく。
映画『あのこは貴族』監督と語る私たち。」ライフジャーナル・マガジン「雛形」

この引用部分を含む対話の部分も、とても興味深いところでした。ほかの対談者が、いつまで、ここにいるか分からないから、冷蔵庫の買い替えができない、ダイニングテーブルが買えない、と具体的な事例を出されていた部分にも、共感しました。自分が自由でいることに最大の価値を見いだす人は、こういう考え方になってくるのかもしれません。

参考

シスターフッドという言葉の意味が良く分からなかったので調べてみました。この映画の内容に関することで使われる場合は、4番目の意味になるのかな。

1 姉[妹]であること,姉妹関係.
2 同僚の女性グループ;(特に)修道尼のグループ.
3 (社交,慈善など共通の目的を持った)婦人団体.
4 女性間の友愛的関係[親交].
5 ((通例 the sisterhood)) 女権拡張運動に加わる女性の集団[連帯]. (また síster・shìp)

“sister・hood”, 小学館 ランダムハウス英和大辞典, JapanKnowledge, , (参照 2021-03-05)

価値とは,〈主体の欲求をみたす,客体の性能〉である。(中略)すなわち価値とは〈のぞましきもの〉ではなく,〈のぞましさ〉(その程度)である。

“価値”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, , (参照 2021-03-05)

「“いつでも別れられる”ってすごく大事。自尊心を見失わず、生きたい場所で生きていく。
映画『あのこは貴族』監督と語る私たち。」ライフジャーナル・マガジン「雛形」

「あのこは貴族」 (集英社文庫) 山内マリコ (著)

「82年生まれ、キム・ジヨン」by チョ・ナムジュ (著), 斎藤真理子 (翻訳)

「臨死!! 江古田ちゃん」 (アフタヌーンコミックス)by 瀧波ユカリ (著)

「ライフストーリー・インタビュー―質的研究入門」by 桜井 厚 (著), 小林 多寿子 (著)

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