第115回読書会では、こちらの本を共有する予定です。今回は、第二部「世界=帝国」第二章「世界貨幣」から面白いと思ったところを共有します。
第二部では、国家の起源とか、貨幣の起源が語られています。私が面白いなと思ったのは、著者がアリストテレスやマルクスの持論を引用して、貨幣の特徴を説明しているところです。
世界が構造的に変換していく過程においては、劇的に大きな飛躍が必要なのです。
その飛躍のひとつが、商品が貨幣と交換されるようになったこと、でした。
ただの紙切れを「信用」すること、それは「信用世界」の始まりで、これが転換点のひとつなんです。
「黄金欲」や「到富衝動」はけっして物(使用価値)に対する必要や欲望からくるのではない。守銭奴は、皮肉なことに、物質的に無欲なのである。ちょうど「天国に宝を積む」ために、この世において無欲な信仰者のように。(中略)ただ、貨幣の力がそれを蓄積しようとする倒錯的なドライブをもたらすということが重要なのである
(第二部「世界=帝国」第二章「世界貨幣」「世界史の構造」 (岩波現代文庫) 柄谷 行人 (著))
現在、コロナによって世界的に失業者が増加し、実体経済が不透明さを増すなかで、株式や暗号通貨などの投資市場は沸騰しています。なぜだろう、と不思議だったのですが、蓄積欲求と資本増殖の欲求が表面化しているのかもな、と思考が繋がって面白かったです。
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
世界史の構造のもくじ
序説 交換様式論
第一部 ミニ経済システム
1-序論 氏族社会への移行
1-第一章 定住革命
1-第二章 贈与と呪術
第二部 世界=帝国
2-序論 国家の起源
2-第一章 国家
2-第二章 世界貨幣 ←いまここ
2-第三章 世界帝国
2-第四章 不偏宗教
第三部 近代世界システム
3-序論 世界=帝国と世界=経済
3-第一章 近代国家
3-第二章 産業資本
3-第三章 ネーション
3-第四章 アソシエーショニズム
第四部 現在と未来
4-第一章 世界資本主義の段階と反復
4-第二章 世界共和国へ
参加者(2名)
- もんざ (主催者) 「世界史の構造」 (岩波現代文庫) 柄谷 行人 (著)
- にしやまさん 「定年前、しなくていい5つのこと」大江英樹(著)光文社