第114回ZOOMで読書会で、私はクンデラの「存在の耐えられない軽さ」を紹介する予定です。今回は第五部「心と体」から気になったところを共有します。
第五部 「軽さと重さ」
第五部では外科医トマスの病院での葛藤が描かれます。彼は非常に腕の良い有名な外科医です。
かつてチェコの共産主義を批判する記事を書いたことがあり、その内容を撤回するという文書に署名することを上司に促されました。彼が署名しなければ病院が困ったことになる、と暗に示され、苦しんだトマスは自分の良心に従って、病院を辞めます。
そして開業医として働くのですが、そこでも似たような問題が持ち上がります。結局、彼は医者という地位が問題を引き寄せると気づくのでした。
医師の肩書きを捨て、窓ふき清掃員として働き始めたトマスは、さらに自由になり様々な女性と性交渉を持つようになります。この段階で妻テレザとはすっかり疎遠になっていたものの、こうした過程において、トマスはやがて自分がテレザの幸福を最重要視していることを自覚します。
その意味で、著者は、トマスの肉体の軽さが、テレザの心の重さに染まっていったことを描きたかったのでしょう。
今日も読んでくださってありがとうございます。
次回は第六部「グランドマーチ」について、気になったところを共有しますね。
もくじ
第一部 軽さと重さ
第二部 心と体
第三部 誤解された言葉
第四部 心と体
第五部 軽さと重さ←いまここ
第六部 グランドマーチ
第七部 カレーニンの笑顔
読書会の参加予定(4名)
- もんざ (主催者) 「存在の耐えられない軽さ」ミラン・クンデラ (著) (集英社文庫) ”The Unbearable Lightness of Being” Milan Kundera (著)
- じょあんなさん「国盗り物語」司馬遼太郎(著) 新潮文庫
- にしやまさん『私とは何か—「個人」から「分人」へ』平野啓一郎(著)講談社
- 兼松さん「流浪の月」凪良 ゆう (著) 東京創元社
共有予定の本
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存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)
苦悩する恋人たち。不思議な三角関係。男は、ひとりの男に特別な感情を抱いた。鮮烈でエロチック…。プラハの悲劇的政治状況下での男と女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。フィリップ・カウフマン監督、主人公トマシュにダニエル・デイ...
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The Unbearable Lightness of Being: 'A dark and brilliant achievement' (Ian McEwan) (English Edition)
The Unbearable Lightness of Being: 'A dark and brilliant achievement' (Ian McEwan) (English Edition)
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国盗り物語(一~四) 合本版(新潮文庫)
世は戦国の初頭。松波庄九郎は妙覚寺で「知恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取り、精力的かつ緻密な踏査によって、美濃ノ国を〈国盗り〉の拠点と定めた! 戦国の革命児斎藤道三が、一介の牢人から美濃国守...
Amazon.co.jp: 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 電子書籍: 平野啓一郎: Kindleストア
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流浪の月
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は...