9. 読書会(勉強会)カウントダウンコラム

軽さと重さ 肩書きを捨てるトマス

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9. 読書会(勉強会)
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第114回ZOOMで読書会で、私はクンデラの「存在の耐えられない軽さ」を紹介する予定です。今回は第五部「心と体」から気になったところを共有します。

第五部 「軽さと重さ」

第五部では外科医トマスの病院での葛藤が描かれます。彼は非常に腕の良い有名な外科医です。

かつてチェコの共産主義を批判する記事を書いたことがあり、その内容を撤回するという文書に署名することを上司に促されました。彼が署名しなければ病院が困ったことになる、と暗に示され、苦しんだトマスは自分の良心に従って、病院を辞めます。

そして開業医として働くのですが、そこでも似たような問題が持ち上がります。結局、彼は医者という地位が問題を引き寄せると気づくのでした。

医師の肩書きを捨て、窓ふき清掃員として働き始めたトマスは、さらに自由になり様々な女性と性交渉を持つようになります。この段階で妻テレザとはすっかり疎遠になっていたものの、こうした過程において、トマスはやがて自分がテレザの幸福を最重要視していることを自覚します。

その意味で、著者は、トマスの肉体の軽さが、テレザの心の重さに染まっていったことを描きたかったのでしょう。

今日も読んでくださってありがとうございます。

次回は第六部「グランドマーチ」について、気になったところを共有しますね。

もくじ

第一部 軽さと重さ
第二部 心と体 
第三部 誤解された言葉 
第四部 心と体 
第五部 軽さと重さ←いまここ
第六部 グランドマーチ
第七部 カレーニンの笑顔

参考:spark notesの読書ガイド

読書会の参加予定(4名)

  1. もんざ (主催者) 「存在の耐えられない軽さ」ミラン・クンデラ  (著) (集英社文庫)  ”The Unbearable Lightness of Being” Milan Kundera (著) 
  2. じょあんなさん「国盗り物語」司馬遼太郎(著) 新潮文庫
  3. にしやまさん『私とは何か—「個人」から「分人」へ』平野啓一郎(著)講談社
  4. 兼松さん「流浪の月」凪良 ゆう  (著) 東京創元社 

共有予定の本

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)
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The Unbearable Lightness of Being: 'A dark and brilliant achievement' (Ian McEwan) (English Edition)
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国盗り物語(一~四) 合本版(新潮文庫)
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