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NYTの記事 1000年企業の家訓

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8. Trial&Error
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12/3(木)にWeblio英会話レッスンで、面白い記事を読んだので備忘記録を残しておきます。

12/2付NYTの記事を読解(テーマ:日本の長寿企業)

この日は12/2付けのニューヨークタイムズから ”This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises”(この日本の店は1020歳。危機を生き残る術を知っている)という記事を音読して要約し意見を述べる練習をしました。

なぜ1000年続いたのか

日本に長寿企業が多い秘訣を、京都の今宮神社名物、一和(一文字屋和輔)の炙り餅茶屋さんなどから学ぶという内容でした。千年以上営業を続ける秘訣は、最大利益の追求ではありません。

京都の今宮神社は疫病治癒を祈願して1001年(長保3)に神殿が作られており、一和の創業は1000年(長保2年)とほぼ同時期です。一和25代目女将の長谷川奈生(はせがわなおみ)さんが家訓を語ります。

Now, more than a millennium later, a new disease has devastated the economy in the ancient capital, as its once reliable stream of tourists has evaporated. But Ms. Hasegawa is not concerned about her enterprise’s finances.

創業から千年以上経った今、通常の観光客が途絶え、新しい疫病コロナが古都京都の経済を荒廃させている。 しかし女将(25代目女将の長谷川奈生さん)は自分の会社の財政を心配してはいない。

12/2付ニューヨークタイムズ ”This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises”.

To survive for a millennium, Ms. Hasegawa said, a business cannot just chase profits. It has to have a higher purpose. In the case of Ichiwa, that was a religious calling: serving the shrine’s pilgrims. 一和の女将は、単に利益を追求するだけで、千年生き残ることはできないという。 より高い目的がなければならないのだ。 一和の場合、それは神社の巡礼者に仕えるという宗教的な意義だった。

12/2付ニューヨークタイムズ ”This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises”.

家訓を守る

日本の長寿企業のほとんどは、一和のような家族経営の中小企業ですが、記事では、任天堂やキッコーマンなどの大企業も存在することが1行だけ触れられていました。そして家訓に従って、企業経営を存続させてきたことが、長寿の秘訣のように書かれています。

Those kinds of core values, known as “kakun,” or family precepts, have guided many companies’ business decisions through the generations. They look after their employees, support the community and strive to make a product that inspires pride. 日本で「家訓」と呼ばれるコアバリューは、世代を超えて多くの企業のビジネス上の意思決定を導いてきた。こうした企業は、従業員を大切にし、地域社会を支援し、誇りを持てる製品を作るよう努めている。

12/2付ニューヨークタイムズ ”This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises”.

For Ichiwa, that means doing one thing and doing it well — a very Japanese approach to business. 
一和にとっては、哲学者ソクラテスが言ったように、少量をうまくやる方が、大量にまずくやるよりもよい、ということだろう。—これは非常に日本的なビジネスのアプローチだ。

12/2付ニューヨークタイムズ ”This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises”.

最初は、doing one thing and doing it well の意味が良く分からなかったのですが、おそらくソクラテスの格言を意図しているのかな、と思いました。もしかしたら、スティーブ・ジョブズにも似たような格言があるのかもしれませんけど、ソクラテスのほうが先ですもんね。

でも、古代ギリシャの格言を持ってこられると、日本的って言われても「ん?」ってなりますけど。

“…each individual can only do one thing well. He can’t do lots of things. If he tries, he will be jack of all trades, and master of none.” ― Socrates, The Republic 少量をうまくやる方が、大量にまずくやるよりもよい。- ソクラテス -

Goodreads  Socrates > Quotes > Quotable Quote

どのように後継者を育てるか

もちろん、良いことばかりではなく、後継者不足や、伝統文化が廃れつつあることなどから、変化の波にのまれて消滅してしまう企業もあります。それでも、家業を続けることに誇りをもっている人々は、職人魂やプライドがあるんだろうな、って思いました。

But Ms. Hasegawa, 60, admits she sometimes feels the pressure of the shop’s history. Even though the business doesn’t provide much of a living, everyone in the family from a young age “was warned that as long as one of us was still alive, we needed to carry on,” she said. One reason “we keep going,” she added, is “because we all hate the idea of being the one to let it go.” しかし女将は、歴史の圧力を時々感じることを認めている。商売は儲からないが、幼い頃から家族全員が「私たちのうちの誰か一人でも生きているうちは、店をたたむことは許されない」と言い聞かされてきたと言う。「私たちが店を続けている理由の1つは、手放すという考えを嫌うからだ」と付け加えた。

12/2付ニューヨークタイムズ ”This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises”.

このNYTの記事を読んで、もっと一和について詳しく知りたくなってネット検索したら、女将さんのインタビューも見つけました。1000年の伝統を守っていこうとする気迫がすごい。ソクラテスの格言も、心にとめておきます。

単語帳

devastate 荒廃する
evaporate 蒸発する
percept ルール、きまり

参照

今宮神社:京都市北区紫野(むらさきの)今宮町に鎮座。大己貴命(おおなむちのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)、稲田姫命(いなだひめのみこと)を祀(まつ)る。一条(いちじょう)天皇の時代に疫病が流行したため994年(正暦5)船岡山(ふなおかやま)で御霊会(ごりょうえ)を行った。しかし再度蔓延(まんえん)したため1001年(長保3)紫野に神殿をつくって疫神を勧請(かんじょう)して御霊会を行ったのが創建で、のちに今宮と称するようになった。なお、摂社の疫神社に素盞嗚尊(すさのおのみこと)を祀る。旧府社。例祭は10月9日。特殊神事の「やすらい祭」は春の花が散るころ疫神が分散して人を悩ますのを鎮めるための祭りで、4月の第2日曜日に行われる。線彫四面仏石は重要文化財。

“今宮神社”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-12-04)

京都市北区紫野今宮町に鎮座。旧府社。大国主命・事代主(ことしろぬし)命・稲田姫(いなだひめ)命の三柱を祭神とする。社伝によると、正暦五年(九九四)、国中に疫病が流行したので、朝廷は木工寮修理職に命じ、疫神のために神輿を造らしめ、船岡山に安置して御霊会を修したに始まるという。長保三年(一〇〇一)また天下疫癘猖獗を極め、都民の倒れるもの相つぎ、人心大いに動揺したので再び疫神を紫野に祭り、病害を防ごうとした。東山の祇園社が疫神であるため、それに対して祇園の今宮の意をとって今宮と称した。その後悪疫のあるごとに上下官民の崇信を集め、常に奉幣や神馬寄進が行われた。紫野一帯の産土神ともなって庶民の信仰篤きものがあった。

“いまみやじんじゃ【今宮神社】”, 国史大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-12-04)

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ふらふら京都散歩さんのブログ「一和」今宮神社名物 あぶり餅は千年の味わい。←読むとさらに食べに行きたくなる!

リクナビNEXTジャーナル【京都のプライド】創業千年、日本最古の茶店女将「ほんまもんのおもてなしは、利害関係なし」

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