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「貨幣発行自由化論」第20章 ボーダーをとっぱらう

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今回は、ハイエクの「貨幣発行自由化論」の第20章「個別の通貨圏を形成すべきか?」から、気になったところのメモと学習ノートを残しておきます。

「貨幣発行自由化論  改訂版――競争通貨の理論と実行に関する分析 」フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) (著), 村井 章子 (翻訳)

この章では、第19章でも話題になった一国一通貨制について、そういう枠を取っ払って考えよう!という視点が語られています。結論は、通貨管理を行わないことが誠実な文明国の証になる、ってこと。

各国に通貨があることの問題点

ハイエクは、国ごとに通貨を管理していることが、国際秩序と安定を乱す原因のひとつになっている、と考えているようです。私も、その考えには賛成だな。

国ごとに通貨を管理運営する体制は、他の多くの国家的な制度や権力の強化につながっている。たとえば国際問題において各国の代表が交渉権を持つことなどがそうだ。その結果、国ごとのちがいが一段と強調されることになる

第20章「個別の通貨圏を形成すべきか?」「貨幣発行自由化論  改訂版――競争通貨の理論と実行に関する分析 」
フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) (著), 村井 章子 (翻訳)

この部分を現代の事象に引き寄せて考えてみます。
私は、日経新聞オンラインに掲載されている「経済チャートでみる新型コロナショック」の各種チャートが非常に分かりやすくて気に入っています。この各国通貨の騰落度のチャートを見ながら、ハイエクの言葉を思い出してました。

一国の通貨を固定レートで他国の通貨と交換可能にするだけの制度よりも、通貨の国境をすっかり取り払ってしまうことを支持するようになった

第20章「個別の通貨圏を形成すべきか?」「貨幣発行自由化論  改訂版――競争通貨の理論と実行に関する分析 」
フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) (著), 村井 章子 (翻訳)

一国一通貨制は、世界規模のパンデミックなどの非常事態が生じたときも、うまく機能しないんだな、ってことが良くわかりました。

世界全体がひとつの国のように繋がってしまっている現代社会で、経済的に安定していない国や政情不安が国が多くなればなるほど、世界全体のリスクが高まります。

たとえばブラジル。経済がうまく回ってないから、ボルソナロ大統領が経済最優先って宣言して、アマゾンの森林をどんどん開拓してる。その結果、環境破壊が進んでCO2排出量が増え、地球温暖化が加速して、地球規模で自然災害が増加するっていう悪夢ですよ。

Brazil’s Amazon: Deforestation ‘surges to 12-year high’

21世紀から先の未来は、ますます自分の国さえよければいいや、って言っていられない時代になっていくと思うんですけど、そのあたりの対策とか議論って、これからの部分ですよね。

次の第21章「政府財政と支出への影響」では、なぜ政府に貨幣発行権を独占させちゃいけないのか、歴史上の出来事と現状分析から考えられるデメリットが語られています。


貨幣発行自由化論  改訂版ーー競争通貨の理論と実行に関する分析 [ フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek) ]

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