今朝(4/21)アイン・ランドという女性哲学者の存在を知った。コミュニティのグループチャットで面白い質問がひとつ投げかけられて、なぜか惹きつけられたのだ。グループチャットの投稿は、ほとんどまともに読んでいないのに。質問は、これ。
質問
Philosophical Question: Ayn Randers Objectivist Ethics
Let’s say a person has the opportunity to steal from the store and has a 0 % chance of being caught/punished. Is it better to steal or not according to Ayn Rand’s rational ethics?
哲学的質問:アイン・ランド客観主義倫理
人が店から盗む機会があり、捕らえられたり罰せられる可能性が0%であるとしましょう。アイン・ランドの合理的な倫理に従って盗むか、盗まないほうがいいですか?
私の個人的な意見
この質問を読んで、2つの疑問が浮かんだ。アイン・ランドってだれ?その人は罰せられることがないなら、盗みもOKって言ってるの?まず、この疑問を解消しないと先に進めない。
でも、とりあえず、直感で答えるなら、私は「盗まない」。理由は簡単で、そのあと、長く罪悪感に苦しめられることを知っているから。もう時効だと思うので正直に告白するが、小学生のころ、友人と一緒に一回だけ万引きをしたことがある。誰にも咎められなかったが、あれから40年以上経っても覚えている。つまり、私が盗まないのは、そういう理由だ。
アイン・ランドって誰?
Wikipediaって、素晴らしい。検索したら、すぐに詳細が出てきた。ちゃんと日本語版もある。アイン・ランド(1905–1982)は女性の哲学者なのだ。ロシア系のアメリカ人で、作家として高く評価され、政治的な影響力もあったらしく、アメリカではかなり有名らしい。彼女の小説も日本語訳されている。(電子書籍は今のところないようだ)
年代的には、ちょうどジャン=ポール・サルトル(1905-1980)と同じなのだが、どうして彼女の名前は哲学史に出てこないのだろう。不思議。
客観主義の解釈
罰せられなければ盗みもOKと、本当にランドは言っているのか?
彼女が創出した思想体系は、オブジェクティビズム(客観主義)と呼ばれ、その中心的主張は、この6つらしい。(Wikipediaから引用)
- 現実は意識から独立して存在している。
- 人類は感覚を通じて現実と直接接触する。
- 人は概念形成と帰納的論理を通じて客観的な知識を獲得できる。
- 人が生きる適切かつ道徳的な目的は、自分自身の幸福の追求である(「合理的利己」)。
- この道徳にかなう唯一の社会体制は、個人の権利を最大限に尊重する社会体制であり、具体的には自由放任資本主義である。
- 人間生活における芸術の役割は、人間の形而上学的観念を、現実の選択的な再現によって芸術作品という物理的形式に変換することにより、人が理解し感情的に反応できるようすることである。
これを読む限りでは、4と5を拡大して解釈をすると、「盗みもOK」って勘違いする人が出てきそうだなとは思う。こういう思考実験を思いつく人って、ものすごく創造的で面白い。
日本アイン・ランド協会のサイトをざっと拾い読みした感じでは、ランドは快楽主義や刹那主義を批判しているらしい。つまり、自分が幸せなら、何をしても良いということではないのだと思うよ。ふつうに考えればね。
ランドの本をまだ一冊も読んでいないので、何とも言えないんだけど、ここまで調べた範囲だと、歴史上の哲学者たちと比較して、どこが新しくて特別なのか、まだよく分からない。実存主義と基本的には同じことを言っているような。。。
ただ資本主義とリバタリアニズムを強力に推し進めたい人びとにとっては、彼女の言葉はカリスマ的な魅力を持っていたし、現在もアメリカでは強い影響力を持っているらしいことは東洋経済に掲載された記事を読んで分かった。
また時間を作って、彼女の思想を他の哲学者と比較してみたいと思う。
**2020年3月16日にフィリピン政府からアナウンスがあって、マニラは3月17日(火)から4月12日(日)までEnhanced Community Quarantine (ECQ)を実施中だったが、4月7日(火)に4月30日(木)まで延長が決定。
マニラのECQあけまで、のこり9日。