マニラでも、マスクを着用する人が目に見えて増えていることに気づくもんざです。
ひとりひとりに確認したわけじゃないんで実際のところは分かりませんが、おそらく予防のためでしょう。ニコラス・クリスタキスの「つながり」という本で、不安も幸福も伝染する、という事例が紹介されているのですが、まさに、マスクをしている人がどんどん増えている状況は、本当は目に見えない不安というものが人々に伝染していく過程を可視化できているみたいだな、って考えていました。
不安を煽られるようなニュースが次々に流されると、人びとの行動も神経質な感じになってきて、ほかの人がやっていることを、自分の頭で考えずに真似し始めたり、出所のはっきりしない噂話を安易に信じたりし始めるのかもしれません。
情報源がテレビや新聞しかなかった頃に比べると、一般庶民が気軽にいつでもインターネットで簡単に情報が入手できる現代では、良い情報も悪い情報もあっという間に広がってしまいますよね。やはり楽しい情報よりはセンセーショナルで刺激的で恐怖を煽る情報ほど、生存本能をダイレクトに刺激するため伝播力も上がりますね。
ちなみに、Miniwatts Marketing Groupのサイトによると、フィリピンのインターネットの普及率は72.1%(2019年6月)、日本は93.5%(2018年12月)だったのですが、きっと情報の伝播速度ってインターネットの普及度にも関連してたりしますよね。
さて、課題です。
わたしは、こちらを読んでいます。
■免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス) Kindle版宮坂昌之 (著)
「イギリスで行われた調査では、インフルエンザに関する限り、マスク着用だけでは予防効果はほとんどないか、きわめて低いという調査結果が出ています。(中略)インフルエンザウイルスの直径は0.1マイクロメートルぐらい、一方、通常のマスクの網目は10マイクロメートル以上だからです。つまり、マスクの網目はウイルスの100倍以上も大きいのです。(中略)私の目からいると、もしマスクに効果があるとすれば、くしゃみの飛散をある程度防げるので、他人に対してウイルスをまき散らす機会が減る、つまり、他人に風邪をうつしにくくなる、というぐらいのものだと思います。他人からもらうのを防ぐ意味は低いでしょう。」
免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス) Kindle版宮坂昌之 (著) (第1章 病原体の侵入・拡散を防ぐからだのしくみ)
ちなみにスギ花粉のサイズは30-40マイクロメートルなので、マスクで空中に漂う花粉の吸入を防ぐことは可能です。
ここのところ私が感じるのは、マスクはプラシーボ(偽薬)みたいな役割があるんじゃないかなってことです。
まったく何の対策もしないと不安でストレスがたまるけれど、とりあえずマスクをしているという行為が、いくらか心を落ち着けるのかもしれません。
だって、ものすごく分かりやすいですからね。パッと見て、口や鼻からの吸入を防いでいますよ、ってハッキリ分かりますから。
経済学者のカーネマンが言っていたように、いったん立ち止まってよく考えてみる、という努力や訓練をしない限り、ほとんどの人間は分かりやすいシンプルなことを、すぅっと自然に受け入れちゃうんです。
あるお医者さんが、自分の母親が眠れないと彼に訴えるたびに、睡眠薬だと偽って無害なプラシーボを渡していたのですが、お母さんは、睡眠薬だと信じていたので、これを飲むと良く眠れるのよ、と言っていたそうです。これって罪なことでしょうか。
品薄なことに付け込んでマスクの値段を吊り上げる輩は、どうかと思いますが、マスクをつけて精神の安定がえられて、病気になったらどうしよう!というストレスが少しでも和らぐ人がいるなら、まぁ、マスクにひどい副作用はなさそうだし、それもありかな、って私は考えています。
ただ、やはりウイルス防止の科学的エビデンスは得られていないんだぞ、って事実の社会的認知度は上がってほしいです。
フェイクニュースやエビデンスが得られていないものを安易に受け入れる人たちが大勢いる社会で生きていくのは、こわいと思いません?
中世の魔女狩りみたいなのが横行する社会って最悪じゃないですか。。。
今日も読んでくださってありがとうございます。
また明日もよろしくお願いします。