うまくいかないことに悩んでいる、という人の話を聴くのが苦手だった。過去の経験から考えると、自分にはうまくアドバイスもできないし、かえって相手を傷つけたり、困惑させるようなことを言ってしまう可能性が高かったから。でも、久しぶりに悩んでいる人の話を間近で聞いてみると、自分の視点が以前とは少し違っていることに気づけた。「なにかアドバイスをしよう」「役に立つことを言おう」という妙な気負いを捨てれば、自分自身にとっても学ぶところが多いのだ。というのも、相手の状況を客観的に分析できるから。自分が困っていることや、解決したいのことだと、そうはいかない。
今回お話がきけたのは、資格試験の勉強をしているけれど、うまくいかない、という方のお悩みだった。その方は、もっと効率の良い学習方法があるのではないか、と勉強方法を模索しており、あれか、これか、と迷っている状況なのだという。私自身も、似たような悩みを抱えていたことがあった。
新しく何かを始めたのはよいが、本当に自分が選んだ方法に間違いはないのか、不安になってしまう。よくあることだと思う。
どうやって、その問題を解決するか。
「不安」「恐怖」「あせり」のような「負の感情」に長い時間わずらわされると、正常な判断能力が低下してしまう。それは避けなければならない。けれども、資格試験の学習などの場合はタイムリミットがあるし、学習方法の効率化を求めて試行錯誤する時間はできるだけないほうがよい。
まず、やることを決めたら、例えば月~金まで頑張って継続し、土日に成果を検証するしくみを作ってはどうだろうか。OKなら継続し、NGなら土日で作戦を練り直し、月曜から新しいプランにチャレンジする。この繰り返しを行うには、ある程度の時間のゆとりが必要だろうが、自分にとって本当に必要で有効な方法は自分で試してみるしか分かりようがない。
誰かが良いと薦めても、それは、その人にとって「最良」かもしれないが、自分に必ずしも合うとは限らない。近道を探そうとして、かえって遠回りをするようなことになっていないか、自分を俯瞰してみることは本当に重要だと思った。
もっと楽したい、と思ってしまいがちだけれど、身体を鍛えることや、新しい知識を身につけること、経験値を上げることに関しては、まずたっぷりと自分で汗をかく必要がある気がする。
要領よく、効率よく、誰かのメソッドを真似して成果を出せる人もいるかもしれない。けれども、そういう人も、そのメソッドを作れる人と同じく少数派なのではないか。大多数の人たちは、もっと泥臭い努力を、努力していると思わずに黙々と継続しているのだと思うし、私自身も分類すれば、そのようなタイプだろう。
ここで1点注意が必要なのは、自分が継続していることに満足せず、批判的で客観的な視点を失わないことになる。そう考えると、一番の問題解決策は、自分が置かれている状況を俯瞰できる視点を手に入れることなのかもしれない。
近道を探して遠回り
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