ようやくダンテの「神曲 天国篇」を読み終わりました。地獄篇、煉獄篇、天国篇を通して全部読んだ感想は、単純だけど、ダンテってやっぱりすごいなってこと。確かに、これは数百年に渡って各国で読み継がれるだけの価値はあるし、この先もその価値が減じることはないでしょう。
負の力と愛の力
宮廷詩人としての地位を政変によって失い、祖国フィレンツェを追放し、生涯帰国できなかったダンテですが、その失望と恨みのパワーを、この作品に全力投入しているんですね。
それに加えて、満たされることがなかった初恋の人への愛情も、この作品を書き上げるパワーになっていたことは間違いがないでしょう。
私達がダンテから学ぶことができるのは、怒りや絶望など負のエネルギーを、生きる力に変えることができる、ということです。彼は、壮大な物語を紡ぎあげ、空想世界を尊敬する人と旅して学び、死んでしまった愛する人と再会する自分を描きました。
現実世界では、不運に苦しんだダンテですが、その経験はムダではなかったのです。誰もがダンテのような作品を残せるわけではありません。しかし文章を書く力をつけることは、逆境から学び、それをプラスの方向へ向ける力を養うことに繋がるのではないでしょうか。
つらく、悲しく、どうしようもない気分のとき、誰にも話せないようなことでも、書くことによって、心は癒されると私は信じています。