今月みなさんと共有したいのは、こちらです。「紳士協定―私のイギリス物語―」佐藤 優 (著)(新潮文庫)
悩みを打ち明けるグレン少年と著者の対話を見ていて、最近読んでいるカウンセリング関連の本と繋がる部分も感じました。
つまり、人の困難は過去のどのような要因によってできたか、という原因究明タイプの考え方よりも、悩むことは、その人がよりよく、あるいはより自分に合った生き方をしようとする営みで、一緒に考えていくなかで具体的な方向性が見えてくると考えるのだ。
「僕のフォーカシング・カウンセリング」池見陽著
池見氏は著名なカウンセラーとのことですが、相談者の問題を解決するのは、相談者自身でしかない、と言います。カウンセラーは相談者と心を通わせ、鏡のように相手を映して、相手が自分で方向性をつかむ手助けをするだけ。
でも、これって友人や家族、職場の人間関係でも、基本的に同じかなと。ただ話を聴いてもらうだけで自分の脳内が整理されてスッキリすることも多いです。反対に「相手の話に、相手の立場になって、アドバイスしないで聴く」ってほうが難しい。つい、余計なことを言っちゃうんですよねぇ。。。
「紳士協定」では、グレン少年が「ミスター・サトウはどう思う?」と意見を聞いたら、佐藤さんが語り出す場面がいくつかあるのです。
「ミスター・サトウ、僕はどうしたらいいと思う?」「何について?」「恋愛についても、大学進学についても」「その2つの問題は分けて考えなくてはならない。まず恋愛については、僕には何の意見もない。それはグレンとガールフレンドが2人で決めればいい話だし、決めなくてはならない話だからだ。冷たいようだけれど、これは自分たちで決めるしかない問題だ」
「紳士協定―私のイギリス物語―」佐藤 優 (著)(新潮文庫)
お互いに対等で相手を尊重している会話ですよね。関係性と対話の方法がロールモデルになるなぁと思ったりしました。
参加者(4名)
- もんざ「紳士協定―私のイギリス物語―」佐藤 優 (著)(新潮文庫)
- じょあんなさん「The Death of Mrs. West away」by Ruth Ware
- maruさん「マルクス・アウレーリウス 自省録」 (岩波文庫) 神谷 美恵子 (著)
- りんさん「選書中」
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
共有予定の本
1986年、入省二年目の私はイギリスにいた。語学研修に追われる単調な日々の小さな楽しみは、ステイ先で出会った12歳のグレンとの語らいだった。ロンドン書店巡り、フィッシュ&チップス初体験。小さな冒険を重ね、恋の痛みや将来への不安を語りあった私たちは、ある協定を結んだ……。聡明な少年を苛む英国階級社会の孤独と、若き外交官の職業倫理獲得までの過程を描く告解の記。
<内容:アマゾン商品説明より> 「紳士協定―私のイギリス物語―」佐藤 優 (著)(新潮文庫)
On a day that begins like any other, Hal receives a mysterious letter bequeathing her a substantial inheritance. She realizes very quickly that the letter was sent to the wrong person—but also that the cold-reading skills she’s honed as a tarot card reader might help her claim the money.
Soon, Hal finds herself at the funeral of the deceased…where it dawns on her that there is something very, very wrong about this strange situation and the inheritance at the center of it.
<内容:アマゾン商品説明より> 「The Death of Mrs. West away」by Ruth Ware
あたかも一万年も生きるかのように行動するな.生きているうちに,許されている間に,善き人たれ──ローマ皇帝でストア派の哲人マルクス・アウレーリウス(121-180).多端な公務に東奔西走しつつ,透徹した目で自らを内省した記録は,古来,数知れぬ人々の心の糧となってきた.神谷美恵子の清冽な訳文に,新たな補注を加えた.(改版)
<内容:アマゾン商品説明より> 「マルクス・アウレーリウス 自省録」 (岩波文庫) 神谷 美恵子 (著)