さて、今月、私がみなさんと共有したいのは、こちらです。 「帝国主義論」 (光文社古典新訳文庫) Kindle版 レーニン (著), 角田 安正 (翻訳)
今回は、第七章「資本主義の特殊な段階としての帝国主義」から、レーニンが、ドイツ社会民主党の理論家カウツキーを批判しまくっているところを選びました。
ついでに言っておくと、超帝国主義に関するカウツキーの内容空疎な駄弁は、本質的に誤った見方を煽っている。(中略)このような現実を、「平和的な」超帝国主義を云々するカウツキーの馬鹿馬鹿しい夢物語とつき合わせてみるがよい。カウツキーの言っていることは、困惑した小市民が苛烈な現実から身を隠そうとくわだてる反動的な試みである。それ以外の何物でもない
第七章「資本主義の特殊な段階としての帝国主義」「帝国主義論」 (光文社古典新訳文庫) Kindle版 レーニン (著), 角田 安正 (翻訳)
なぜ、レーニンは、ドイツのカウツキー主義をけちょんけちょんにしているのか?
当時、ドイツを含む西ヨーロッパで社会主義の革命が成功することが、後進国ロシアの革命成就の必須条件だとレーニンは考えていました。
ところがWWIが勃発したのに、戦争に反対していたドイツ社会民主党は、反政府蜂起をせず、あっさりと軍事予算に賛成。
このときから、レーニンは、カウツキー個人およびカウツキー主義を裏切者として攻撃し始めます。
国外の重要な盟友を失ったので、ロシアは新たな革命論理が必要になったわけ。
これが、レーニンが「帝国主義論」を執筆した理由でもあります。
もしも、このカウツキーの見解を黙認したら、それは、革命の客観的条件が整っていないことを認めちゃうことに。
だから、レーニンは、これでもか!とばかりにカウツキーを批判しまくり、自分の正しさを証明しようと躍起になっていました。
このあたりの裏事情は訳者の角田さんが詳しく解説してくださっているので、なんとか理解できました。
書かれている内容の裏が、こんなふうに読み取れるのは面白いですね。
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
もくじ
序文
フランス語版およびドイツ語版の序文
序章
第一章 生産の集中化と独占の出現
第二章 銀行とその新しい役割
第三章 金融資本と金融寡占制
第四章 資本輸出
第五章 世界の分割 独占団体相互間で
第六章 世界の分割 列強の間で
第七章 資本主義の特殊な段階としての帝国主義 ←今回はココ
第八章 資本主義に見られる寄生と腐敗
第九章 帝国主義批判
第十章 帝国主義の歴史的位置
解説 角田安正 ←今回はココ
年譜
訳者あとがき
参考
カウツキー【Karl Johann Kautsky】
“カウツキー【Karl Johann Kautsky】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, (参照 2022-10-23)
[1854~1938]ドイツの社会主義者。社会民主党の「エルフルト綱領」を起草。マルクス主義理論を受け継いで修正主義者を批判したが、第一次大戦参戦支持などで徐々に中間派に移行し、ロシア革命に際してはこれを批判。ナチス政権後、亡命。著「農業問題」「エルフルト綱領解説」など。
レーニン【Vladimir Il’ich Lenin】
“レーニン【Vladimir Il’ich Lenin】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, (参照 2022-10-16)
[1870~1924]ロシアの革命家・政治家。学生時代から革命運動に参加、流刑・亡命生活を経て、1917年、二月革命後帰国。ボリシェビキを率いて十月革命を成功させ、史上初の社会主義政権を樹立。人民委員会議長としてソビエト連邦の建設を指導した。また、マルクス主義を理論的に発展させ、その後の国際的革命運動に大きな影響を与えた。著「帝国主義論」「国家と革命」など。
マルクス‐しゅぎ【マルクス主義】
“マルクス‐しゅぎ【マルクス主義】, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, (参照 2022-10-16)
マルクスおよびエンゲルスによって確立された思想体系。弁証法的唯物論・史的唯物論・マルクス経済学・階級闘争論・社会主義の理論などからなる。資本主義の発展法則を解明して、生産力と生産関係の矛盾から社会主義へ移行するのは必然的な結果であるとし、その社会変革は労働者階級によって実現されると説く。マルキシズム。→科学的社会主義
“かがくてき‐しゃかいしゅぎ【科学的社会主義】歴史・社会構造の科学的分析に基づいて、社会主義社会への移行は歴史的必然であると主張する、マルクス・エンゲルスの社会主義思想。→空想的社会主義
“かがくてき‐しゃかいしゅぎ【科学的社会主義】, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, (参照 2022-10-16)
“くうそうてき‐しゃかいしゅぎ【空想的社会主義】《ドイツ utopischer Sozialismus》オーエン・サン=シモン・フーリエらの社会主義に、エンゲルスが与えた名称。科学的社会主義としてのマルクス主義に対するもので、資本主義のはらむ矛盾を直観的に指摘し未来社会の理想像を描いたが、歴史法則の科学的把握が足りず、その実現の方法を欠いた。ユートピア社会主義。→科学的社会主義
“くうそうてき‐しゃかいしゅぎ【空想的社会主義】, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, (参照 2022-10-16)
ホブソンは,富の再配分をくふうすれば帝国主義を回避できると考えたが,ホブソンの資本輸出論とR.ヒルファディングの〈金融資本〉概念を採用したV.I.レーニンは《帝国主義論》(1916)において,帝国主義を資本主義経済の到達した最高の発展段階(独占段階)であるとし,社会主義に道を譲るほかないものと主張した。レーニンによれば,帝国主義の特徴は商品生産が少数の巨大独占企業に集中化され,あわせて銀行の集中も進行する点にあり,これは資本主義経済の生産の無政府性を薄めてその組織化を導くかにみえるが,この組織化傾向は一時的なものにとどまり,帝国主義列強は世界市場の再分割を武力に訴えて強行せざるをえず,これが資本主義経済の崩壊の必然性を示しているというのである。
“帝国主義論”, 世界大百科事典, JapanKnowledge (参照 2022-10-16)より、レーニンに関する部分を一部抜粋
帝国主義 imperialism 英語、impérialisme フランス語、Imperialismus ドイツ語
“帝国主義”, 日本大百科全書(ニッポニカ),JapanKnowledge (参照 2022-10-16)より一部抜粋
帝国主義ということばはきわめて多義的に用いられる。広義かつ一般的には、その語源がローマ皇帝の支配する皇帝国家(インペリウムimperium)に由来することからも明らかなように、政治的、経済的、軍事的、さらには文化的な権力・権威をもってする他民族の領土や国家への侵略と支配、を意味する。近代では19世紀初めナポレオンによる皇帝国家実現の企てに関連して用いられ、ついで1870年代後半イギリスの植民地帝国の拡大強化をめぐる論争のなかで、領土膨張主義ないし植民地主義をさす政治上の用語として普及した。しかし、その後、20世紀への転換期を挟んで帝国主義は、近代資本主義の自由競争段階から独占と金融資本が支配的となる独占段階への移行転化を背景に、列強資本主義諸国による世界市場支配と植民地獲得をめぐる経済上の対立と紛争に関連して用いられるのが一般的な傾向となった。
参加予定(2名)
- もんざ 「帝国主義論」 (光文社古典新訳文庫) Kindle版 レーニン (著), 角田 安正 (翻訳)
- にしやまさん「ファンに愛され、売れ続ける秘訣」和田 裕美 (著), 佐藤 尚之 (監修) かんき出版
共有予定の本
自由主義から集中、独占へ、そして世界再分割としての列強間戦争の勃発――急速な発達を遂げ、帝国主義という新しい段階に到達した資本主義の実態を、産業界、金融界の動向から徹底的に分析。20世紀初頭の世界情勢を正確に描くことで、結果として今日のグローバル経済の矛盾、資本主義に忍び寄る危機を浮き彫りにした、レーニンの代表的論文。変貌を続ける資本主義をいまいちど理解するための必読書
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