今月の読書会で私はドストエフスキーの「地下室の手記」をご紹介する予定で準備しています。今回は読者を翻弄するような地下室男さんの語りを少し共有しますね。
自分でも自分が信じられないひと
ふむふむ、なるほど、それで?と話を真面目に聞いていたら、実は全部うそだよーー、みたいなことを言う人なんですよ、地下室男さんって。
諸君、誓ってもいいが、今書き散らかしたことのうち、なに一つ、一語たりとも、俺は信じていないんだ!いや、そうじゃない、俺はたぶん信じてもいるのだが、同時に、なぜだかわからないが、自分がどうも下手な嘘をついているのではないかと、疑っているのだ。
I 地下室 「地下室の手記」 (光文社古典新訳文庫) ドストエフスキー (著), 安岡 治子 (翻訳)
こういうのが多い。だからつかみどころがなくって、何が本当で、何が嘘だか分からなくなってきます。でも、ときどき、ハッとするようなことも言ったりするんですよね。だから、カラマーゾフの兄弟に書かれていた言葉も思い出したりして。100%の善人がいないように、100%の悪人もいないってこと。でもさぁ、地下室男さんはちょっと感じ悪すぎるよね。
人間とはたいていの場合、それがどんな悪党でも、わたしたちが一概にこうと決めつけるよりはるかに素朴で純真である。わたしたち自身からしてそうではないか
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) ドストエフスキー (著), 亀山 郁夫 (翻訳)
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
参考
ひきこもり回想録『地下室の手記』
ドスト作品中の貨幣価値考察 (ブログ:アンテクと駅長)
・親戚の遺産 6000p=600万円
・豪華な食事代 7p=7000円
・馬車代 50k=500円
・運命の5ルーブル=5000円
参加者(2名)と共有予定の本
世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。後の5大長編へとつながる重要作品であり、著者の思想が反映された主人公の苦悩をリアルに描いた決定訳!
<内容:アマゾン商品説明より> 「地下室の手記」 (光文社古典新訳文庫) ドストエフスキー (著), 安岡 治子 (翻訳)
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