今月の読書会で、どの本を共有しようかな、と考えていて最終的に選んだのは、この本でした。
「人口減少時代の土地問題」 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ (中公新書) 吉原祥子 (著)
都市部に住んでいる人々には想像もできないでしょうが、過疎地や農村部は高齢化が進み、相続されない土地や家屋が年々増加する一方です。私自身も、北陸の田舎に住む両親の家や土地は、時期が来れば相続放棄するつもり。そんなわけで、この本の内容は他人事ではないな、と感じています。この問題を解決に導く道があるのでしょうか。
読書会までに、読んだ内容を整理して自分の意見をまとめていく予定です。
この本のもくじ
全4章に分かれており、①問題の発生原因、②全国的な問題となった理由、③他国との制度比較、④3つの解決策の提示、といった内容で分かりやすくまとめられています。黄色の下線部分は、個人的に気になったところ。第4章はもっとも重要な部分だと思います。
第1章 「誰の土地かわからない」――なぜいま土地問題なのか
1 空き家問題の根源――森林・農村から都市へ
2 なぜ管理を、権利を放置するのか
3 法の死角――あいまいな管轄、面倒な手続き
4 下落する土地の価値――少子・高齢化、相続の増加
第2章 日本全土への拡大――全国888自治体への調査は何を語るか
1 死亡者課税による“回避”――災害とは無関係の現実
2 相続未登記、相続放棄の増加――土地に対する意識の変化
3 行政の解決断念――費用対効果が見込めない
第3章 なぜ「所有者不明化」が起きるのか
1 地籍調査、不動産登記制度の限界
2 強い所有権と「土地神話」の呪縛――人口増時代の“遺物”
3 先進諸外国から遅れた現実――仏、独、韓国、台湾との比較
第4章 解決の糸口はあるのか――人口減少時代の土地のあり方
1 相続時の拡大を防げるか――難しい法改正と義務化
2 土地希望者を探せるか――管理・権利の放置対策
3 「過少利用」の見直しを――新しい土地継承のあり方
どうして、この問題が発生したのか理由は良く分かったのですが、この本で示されている解決策では、まだまだ不十分だと感じました。
結局のところ、土地や家屋の所有者に対して課税するというしくみから抜本的な見直しが必要なのでしょう。地価は一律ではないし、この本で具体的な事例が挙げられているように、費用対効果が見込めない土地や家屋を相続する手続きをする人はいないはず。
この問題は、地方行政の疲弊とも深くつながっています。人口減少問題ってホントに根深いですね。