今月の読書会で、私は「失敗の本質」を参加者と共有したいので読み進めています。今回は、インパール作戦について共有します。
1章 失敗の事例研究—6つの事例
1 ノモンハン事件—作戦目的があいまい
2 ミッドウェー作戦—不測の事態に瞬時に有効かつ適切な判断ができず
3 ガダルカナル作戦—情報の貧困
4 インパール作戦—しなくてもよかった作戦 ←ここ
5 レイテ海戦—自己認識の失敗
6 沖縄戦—認識のズレと意思の不統一
2章 失敗の本質—6つの失敗に共通する組織的な欠陥(日本軍と米軍を比較)
3章 失敗の教訓—現代の組織に活かす
4か月で死者3万
インパール作戦は1944年3月8日の作戦開始から7月4日の撤退までの4か月で、参加した約10万人のうち、戦死者約3万、戦傷および戦病者約2万、残存兵力約5万のうち半分以上も病人になるという悲惨な結果を残しています。
4か月で3万人が死ぬって、つまり1日250人が死ぬってことです。日本で人口3万の都市は新潟県胎内市や、長野県東御市くらいをイメージしてください。それくらいのサイズの市民が4か月で全員死んじゃうレベルってことです。参考:日本の市の人口順位(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
インパール作戦
以下はインパール作戦についての百科事典の記述です。
1944年〈 昭和19 甲申〉
“インパール作戦”, 誰でも読める 日本史年表, JapanKnowledge, , (参照 2021-03-18)
1・7 大本営、インパール 作戦(アッサム 州進攻)を 認可(3 月8 日、インド 国民軍とともに 作戦開始)。
1944年〈 昭和19 甲申〉
7・4 大本営、インパール 作戦 中止を 命令、 日本軍撤退へ。
太平洋戦争の末期、日本軍により実施された東インドのインパールに対する進攻作戦(ウ号作戦と呼称)。同方面を根拠地とするイギリス・インド軍のビルマ(現ミャンマー)進攻作戦を未然に防止し、あわせてチャンドラ・ボースの自由インド仮政府支援のため、インド領内における足場を確保することを目的として計画され、1944年(昭和19)1月、大本営の認可するところとなった。同作戦を担当した第一五軍(司令官牟田口廉也 (むたぐちれんや) 中将)は、同年3月に行動を開始し、4月にはインパール付近の地点にまで進出したが、航空兵力の支援を受けたイギリス・インド軍の強力な反撃と補給の途絶とによって、しだいに守勢に回り、7月には退却命令が下され、飢えと病気により多数の将兵を失った悲惨な退却戦が開始される(死傷者数7万2000人)。日本軍の戦闘能力を過信し補給を無視して計画・実施されたこの作戦は、日本軍の作戦指導の硬直性を暴露し、その失敗によりビルマ防衛計画を崩壊に導いた。
“インパール作戦”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, (参照 2021-03-18)
[1897~1945]インドの民族主義者。国民会議派の指導者の一人。第二次大戦開始とともに、ドイツ・日本などとの協力による反英・独立闘争を企図し、インド国民軍を組織して日本軍に協力したが失敗。飛行機事故で死亡。チャンドラ=ボース。
“ボース【Subhāsh Chandra Bose】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, , (参照 2021-03-18)
人情が合理性を歪めた
読みながら「えええ?責任の感じ方がおかしいよ?方向性が間違ってるよ!」と眉毛を吊り上げて、ツッコミを入れながら、本を読んでました。情報収集と、現状分析、冷静な判断、明確なゴールへの目的意識と、目的を達成するためのチームワーク、どれも欠けているという恐ろしい状況です。
でも、こういうことって、悲しいことに現実には普通に存在することなんですよね。
では、なぜこのような杜撰な作戦計画がそのまま上級司令部の承認を得、実施に移されたのか。(中略)鵯越(ひよどりごえ)作戦計画が上級司令部の同意と許可を得ていくプロセスに示された、「人情」という名の人間関係重視、組織内融和の優先であろう。(中略)組織内の潤滑油たるべきはずの要素が、むしろそれ自身の逆機能を発現させ、組織の合理性・効率性を歪める結果となってしまったのである
「失敗の本質」戸部 良一 ほか (著) ダイアモンド社 1章 失敗の事例研究 4.インパール作戦
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
参加者(4名)
- もんざ (主催者)「失敗の本質」戸部 良一 ほか (著) ダイアモンド社
- maruさん「一杯の紅茶の世界史」磯淵猛 (著) 文春新書
- にしやまさん「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」馬渕治好(著)金融財政事情研究会(刊)
- 小林さん「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」グレッグ・マキューン(著)かんき出版