青山ブックセンターで好きな能楽師さんのイベントに参加して、ますます彼が好きになったもんざです。
以前、渋谷区の中央図書館で非常勤職員として2年間働いていたことがあるので、原宿や表参道は少しだけ土地勘があります。でも、なんだか私にはオシャレすぎて落ち着かない気持ちになるのです。
そんなわけで、青山ブックセンターに行ったのも実は初めてなのでした。お気に入りの能楽師、安田登さんのトークイベントがなければ、たぶん行くことはなかったでしょう。
2014年11月の六本木アートカレッジで、安田さんは、いとうせいこうさんと対談されており、その時にすっかり安田登さんのファンになりました。
今回は、平川克美さんの「21世紀の楕円幻想論」を記念して出版社のミシマ社さんが企画したトークイベントでした。平川さんが対談したい相手として安田さんを指名され実現したそうです。
「21世紀の楕円幻想論 その日暮らしの哲学」平川克美 (著)
結論からいうと、終始笑いが絶えないトークセッションで、良い意味で想像を裏切られました。
何が面白いといって、平川さんの言語センスと、安田さんの話題選びのセンスと間ですね。
安田さんは62歳、平川さんは67歳ですが、良い意味でお二人ともアウトロー人生を満喫していらっしゃって、その生き様を飄々と語り合う様子を見ている観客が価値観を揺さぶられる1時間半でした。
さて、課題です。
「金銭のストレスを抱える喫煙者は、禁煙の試みをやり通す確率が低い。貧しい人たちは最終的に肥満にもなる。正しい食事は相当な自制努力なのだ」(課題図書「欠乏の行動経済学」P.207)
欠乏は自制心を失わせる。
誰も、これには反対できないだろうと思いますか?
安田登さんは、貯金を持たない主義だと語り、クラウドファンディングも好きではないと言います。
なぜなら、「お金を借りたくない。ただ、もらいたいだけ。なんのお返しも見返りもなく」これがポリシーだからです。
文字にすると、過激に見えますが、明確な課題意識を持ち、それを日常生活で実践されている姿は清々しく感じられました。
等価交換経済とは異なる価値基準をもつ人の場合は、課題図書の事例は当てはまらない可能性があるかもしれません。
安田さんを平川さんは「とんでもない教養人なのに、ごろつきみたい」と例えて観客を笑わせます。彼らは、アーティストだから、一般の人とは違うのだ、という見方もできます。
しかし、今回、安田さんと平川さんの対談をきき、真似はできないけれど、個人的には非常に心惹かれる思想だと感じました。
【曖昧さを許容し訳の分からないものに心を引き裂かれてみると、そこから、新しい視野が開けることもある】
このような発言が私の中では最も印象に残っています。
結局のところ、どのような状態を欠乏と見なし、改善が必要だと考えるかは、その人の価値観次第なんだろうなぁ。
今日も読んでくださってありがとうございます。
また明日もよろしくお願いいたします。