レストランとエレベーターで話しかけられて幸福になったもんざです。ウォルディンガー教授「幸福な人生のひみつ」の続きです。動画を観た翌日の話です。
よくランチに行くベトナム料理屋で、となりに座っていた年配の女性に話しかけられました。
「私もバインミー(ベトナム風サンドイッチ)を注文したのよ。それと同じ」
とても嬉しそうにニコニコしながら、お会計が終わって席を立った時に言われました。
オフィスのエレベーター内で前に立っていたお兄さんから話しかけられました。
「何階のボタンを押しました?3人しか乗ってないのに4つのフロアに止まることになってるでしょ?」ちょっとおどけたように、楽しそうに聞き取りをして不要な階のボタンを二度押ししてキャンセルしてました。
「バインミー、美味しいですもんね!」
「すごい!ありがとう!」
私の反応はこんな感じ。ウォルディンガー先生は、こうした日常のちょっとしたコミュニケーションが私たちを幸福にするのだ、と結論づけていましたが、ほんとうにそうだなぁと、自分の体験からも思いました。
■The secret to a happy life — lessons from 8 decades of research (Posted Jan 2023)
進捗報告
さて、私が今月みなさんと共有したいのは、こちらです。「生物と無生物のあいだ」 (講談社現代新書) 福岡 伸一 (著) 今回は第5章「サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ」から。
ここでは任意の遺伝子を試験管の中で自在に複製する技術からPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を起こす新技術を発明してノーベル賞を獲得した真実の自由人キャリー・マリノスが紹介されています。
その前段階として語られる、研究者が恐れる病「死んだ鳥症候群」の話にドキリとさせられました。
私たちは世界の誰よりも実験の結果を早く知りたいがため、幾晩でも寝ずに仕事をすることをまったく厭うことがない。経験を積めば積むほど仕事に長けてくる。何をどうすればうまくことが運ぶのかがわかるようになり、どこに力を入れればよいのか、どのように優先順位をつければよいのかが見えてくる
(第5章「サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ」)「生物と無生物のあいだ」 (講談社現代新書) 福岡 伸一 (著)
こうして、どんどん仕事ができるようになった先に待っているのが、死んだ鳥症候群=研究への情熱が燃え尽きている状態なのだそうです。
福岡さんは古い大学の教授室はどこも死んだ鳥の匂いがする、と辛辣な言葉を吐いています。
しかしやがて、最も長けてくるのは、いかに仕事を精力的に行っているかを世間に示すすべである。仕事は円熟期を迎える。皆が称賛を惜しまない。鳥は実に優雅に羽ばたいているように見える。しかしそのとき、鳥はすでに死んでいるのだ
(第5章「サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ」)「生物と無生物のあいだ」 (講談社現代新書) 福岡 伸一 (著)
研究者に限らず、ずっと同じ仕事をやっていると、そういうふうになってくるのは避けがたいですよね。自分が死んだ鳥になっていることに葛藤するか、諦念するか、これも選択ですね。
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
参加者(6名)
- もんざ「生物と無生物のあいだ」 (講談社現代新書) 福岡 伸一 (著)
- さんぽ屋さん「限りある時間の使い方」オリバー・バークマン (著), 高橋璃子 (翻訳)かんき出版
- にしやまさん「別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した」佐々木 閑 (著)
- maru(まる)さん「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」山本文緒 (著)新潮社
- りんさん(選書中)
- せいみやさん「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」 (集英社)河野啓 (著)
共有予定の本
生命とは、実は流れゆく分子の淀みにすぎない!?「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!
<内容:アマゾン商品説明より> 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) 福岡 伸一 (著)
本書は古今の哲学、心理学、スピリチュアル思想を駆使し、ウィットに富んだ語り口で、時間と時間管理を実践的に、そして深く問い直す。
「すべてのことを終わらせる」という強迫観念を捨て、自分の有限性を受け入れたうえで、そこから有意義な人生を築く方法を紹介する。
本書を読めば時間に対する見方が変わり、さらには生き方が変わるだろう。
<内容:アマゾン商品説明より>「限りある時間の使い方」オリバー・バークマン (著), 高橋璃子 (翻訳)かんき出版
同じ仏教なのに、どうして教えが違うのですか?
<内容:アマゾン商品説明より>「別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した」佐々木 閑 (著)
“自己鍛錬”を目的に興ったはずの「釈迦の仏教」は、いつ、どこで、なぜ、どのようにして、“衆生救済”を目的とする大乗仏教へと変わっていったのか――。原始仏教の第一人者とその研究室を訪れた一人の社会人学生の対話から大乗仏教の本質に迫る、類を見ない仏教概説書。
お別れの言葉は、言っても言っても言い足りない――。急逝した作家の闘病記。
<内容:アマゾン商品説明より>「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」山本文緒 (著)新潮社
これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。
2020年 第18回 開高健ノンフィクション賞受賞作。2021年 Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞、ノミネート。
両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多(くりき のぶかず)氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。
彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか?
<内容:アマゾン商品説明より>栗城史多のエベレスト劇場」 (集英社)河野啓 (著)
最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか?
滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか。
謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かす。