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(要約)物理学者カルロ・ロヴェッリへの7つの質問

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読書会(勉強会)
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11月20日(土)ABD読書会の課題本 「時間は存在しない」カルロ・ロヴェッリ (著), 冨永 星 (翻訳) NHK出版を読んでいます。(ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)という読書形式について詳しく知りたい方はこちら)今回は、Wiredに掲載されていたカルロ・ロヴェッリのインタビューを読んだので、それを要約してみました。自分の理解を深めるために、かなり端折ったので、気になる人は元の記事を読まれたほうが良いですよ。(質問の答えになってないかもな~と思うところもあるので)

“時間”の再解釈:天才カルロ・ロヴェッリが指南する“クオンタムネイティヴ”へのマインドセット

Q1:人間は新たな世界観を獲得できるか

Q1:人間は新たな世界観を獲得できるか(量子の世界を正しく想像力の源に使えば)
A1:量子論は人間が自然を理解する方法に大きな変革をもたらすことは確実。
それは人間に根本的な再考を迫るが、人類はそれが何をもたらすか明確に分かっていない。そのため量子論のもつメッセージが一般に届きにくい

Q2:2020年代に期待されるブレークスルーは?

Q2:2020年代に期待されるブレークスルーは?
A2:今後のブレークスルーは分からない。しかし量子重力理論は、以下の2つの役割を果たすだろう。

量子重力理論の2つの役割
  1. 時間や空間の役割を塗り替える
  2. 世界をひもとき、未来を形作る

Q3:究極的に人間は時間や空間の制約から自由になることを求めるのか

Q3:究極的に人間は時間や空間の制約から自由になることを求めるのか?
A3:人間の本質=時間や空間の制約から自由になろうとする(少なくとも思考の中では)

Q4:リアリティが複数ある時代の生き方

Q4:リアリティが複数ある時代の生き方
A4:リアリティが複数あるのは当然であり素晴らしいこと→一人ひとり見方が異なる

Q5:独りよがりではない「未来」を考える方法

Q5:独りよがりではない「未来」を考える方法とは?
A5:最重要なFutures Literacyは2つ(未来に必要とされる基礎となる力ってこと?)

Futures Literacy
  1. 幅広い文化を構成するあらゆる要素を集約し、整然とさせる能力
  2. 単一の視点で先走らない力

Q6:難問「意識とは何か」にアプローチするには?

Q6:難問「意識とは何か」にアプローチするには?(時間を生み出すのが人間の意識だとすると)
A6:神経科学的な方法。量子論はあまり関係ない。
人間が間違った方法で定式化しようとしていることに気づけば、意識の問題は理解できる

Q7:人間は人間中心主義を超えられるか

Q7:人間は人間中心主義を超えられるか
A7:すでに人間中心主義から抜け出していることを願う。かつて信じていたことが間違っていたことに気づき始めたところ。人類は小さな事象のひとつ(宇宙レベルで考えると)

人類が勘違いしてきたこと
  • 地球が世界の中心
  • 人間は他の動物とは大きく異なる
  • 生命は特別なもの

このあたりの科学的な理解って、現代においても特定の宗教とは真っ向から対立しそうですよね。

ロヴェッリの意見

ロヴェッリの意見で印象的だったのは、柔軟性かなぁ。時間に対する考え方は、普通に生活するなかでは、これまで通りの理解でOKだけど、「本当は違うんだ」ってことを頭のどこかに入れておく必要はあるって話。月や太陽が動いているように見えるけど、本当は私達の住んでいる地球が動いているってことを理解できたように。

  • 人間の本質=時間や空間の制約から自由になろうとする(少なくとも思考の中では)
  • 実在性(=客観的な物事の在り方)を理解するべき(従来のような空間や時間の仮定をとりさって)
  • 日常生活では従来の理解でOK→でも近似値に過ぎないことを知っておくことが重要
  • リアリティが複数あるのは当然であり素晴らしいこと→一人ひとり見方が異なる

メモ

Q&Aの中で整理しきれなかった情報など。先入観にとらわれていることを理解するのは、ほんとに重要なんだろうけど、なかなか難しい。だって無自覚なんだもの。

  • ロヴェッリの唱える理論→ループ量子重力理論(時間や空間の存在の絶対性自体を問う)
  • ループ量子重力理論→基礎方程式に時間がまったく存在しない
  • 超ひも理論→超対称性の発見に至っていない
  • 量子力学と一般相対性理論→信頼できる(ミクロな時間や空間の離散的なふるまい方を説明できるから)
  • 人間は時間的視点で生きる生物
  • 人間のマインドは時間の中で生じる現象
  • 時間の間隔が無い場合は思考も存在しない
  • 人間の視点が人為的で先入観に囚われていることを理解する→現実は、直感より複雑

参考

量子力学と一般相対性理論を統一的な枠組みで表すことを目指す理論。空間はそれ以上分割できない1立方プランク長(10-99立方センチメートル)程度の最小単位からなり、時間の進み方も滑らかではなく1プランク時間(10-43秒)程度で離散的であるとする。超弦理論とならび、量子重力理論の候補として知られる。

“ループりょうしじゅうりょく‐りろん【ループ量子重力理論】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-11-17)

四つの基本的力の統一理論と時空の量子論(quantum theory of space-time)を建設する一つの試み。従来の場の理論では時空を大きさのないゼロ次元の点の集合と考えるが、超ひも理論では点が一次元の自由度をもつ「ひも」に広げられる。プランクエネルギー(Plank energy 1028eV〈電子ボルト〉)では、プランク長さ(Planck’s length 10-35m)スケールの多重連結の複雑なトポロジーをもつ空間にみえ、低エネルギーの現象ではその存在に気づかずに、時空は連続体にみえる。「超」は超対称性(→「大統一理論」)の意味で、ひもの摂動的変動のモードが素粒子場を表す。非摂動的な考察の進展で、現在はひもとブレーン(面)の共存する時空論が定着。二つの面(Dブレーン D-brane)に端点をもつひもの振動モードとして素粒子場が表される。一般相対論を量子化するループ理論(loop theory)の試みもある。

“超ひも理論[物理]”, 情報・知識 imidas 2018, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-11-17)

光と原子の現象を通して1927年頃に確立した物理学の一般法則で、古典力学と異なる新理論である。量子とは、作用(action)という量がプランク定数(Planck constant h=6.63×10-34J・s)の最小単位にデジタル化されている意味。また重要な新概念はシュレーディンガーの方程式を満たす状態関数(state function 波動関数ともいう)とその重ね合わせの原理(superposition principle)であり、物理的実在の観念を革新する。状態の重ね合わせによる干渉効果はフラーレンC60やジョセフソン効果などの半巨視的現象についても最近の実験で検証されている。

“量子力学[物理]”, 情報・知識 imidas 2018, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-11-17)

一般に素粒子は、ボソンとフェルミオンという二つのカテゴリーに分類されるが、超対称性とは、ボソンとフェルミオンを入れ替えても理論の形が変わらない、という性質。現在の標準理論は超対称にはなっていない。しかし現在知られている素粒子のほかにも、未発見の重い新ボソンと新フェルミオンの粒子群があるとすれば、全体として超対称な大統一理論をつくることができる。超対称大統一理論には理論的にも観測上でもいくつかの魅力があるのだが、検証のためにそれらの新ボソンや新フェルミオンを発見するには、巨大加速器による実験が必要である。これらの未発見の粒子を超対称性粒子、あるいはスージー粒子と呼ぶ。→ボース粒子/フェルミ粒子、→大統一理論

“超対称性(スージー/SUSY)【2019】[物理学【2019】]”, 現代用語の基礎知識, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-11-17)

「時間は存在しない」のもくじ

第一部 時間の崩壊
    第一章 所変われば時間も変わる
    第二章 時間には方向がない
    第三章 「現在」の終わり
    第四章 時間と事物は切り離せない
    第五章 時間の最小単位

第二部 時間のない世界
    第六章 この世界は、物ではなく出来事でできている
    第七章 語法がうまく合っていない
    第八章 関係としての力学

第三部 時間の源へ
    第九章 時とは無知なり
    第一〇章 視点
    第一一章 特殊性から生じるもの
    第一二章 マドレーヌの香り
    第一三章 時の起源

眠りの姉 ← これカルロさんのあとがきみたい。非常に痺れる内容。好きすぎる。
日本語版解説  吉田伸夫
訳者あとがき 冨永 星
原注

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