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旧約聖書に登場する双子の兄弟エサウとヤコブ

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現在、ダンテの「神曲 天国篇」を読んでいます。天国篇の第八歌は、ダンテが疑問に思っていることをハンガリア王カルロに答えてもらう場面。ダンテの質問は、親が優秀なのに、なぜ出来の悪い子が生まれてしまうのかということ。この質問に対する回答の事例として旧約聖書に登場する双子の兄弟エサウとヤコブの名前が出てきます。兄エサウは弟ヤコブに騙されて、長男としての相続権を奪われてしまうんです。

彼はまたダンテの質問に答えて、なぜ立派な親から不肖の子供が生まれ出るかについて詳しい説明を行なう。

ダンテ・アリギエーリ. 神曲 天国篇 (河出文庫) (Kindle Location 1086). 河出書房新社. Kindle Edition. (第八歌)

なぜ甘い種から苦い実が出るのか、その疑問があなたのお話を聞くうちに生じました」(92-93行)

天球は回転しつつ、正確に仕事を営み、人間という蝋に型を捺すが、ひとりひとりが生まれる家に区別はつけていない。それでエサウとヤコブとは体内にいるうちからすでに違っていた。(127-130行)

ダンテ・アリギエーリ. 神曲 天国篇 (河出文庫) (Kindle Location 1086). 河出書房新社. Kindle Edition. (第八歌)

人間の創造には、神の意志がたしかに働いているけれど、どの家に生まれるか、とかは決められてないから、双子であっても、全く異なっている可能性があるため、立派な親からであっても、イマイチしゃっきりしない子どもが生まれちゃったりすることだってあるよ、ってことらしい。

14世紀のイタリアでは、そういう考え方が主流だったってことなのかな。

ヤコブがズルい?エサウが間抜けすぎ?

エサウとヤコブの物語は、非常に面白いのです。親子と兄弟で嘘とだまし合いが繰り広げられ、ツッコミどころも満載です。旧約聖書を読みましたが(オンラインで誰でも無料で読めます。私は英語でも日本語でも読めるココを使うことが多いです)

でも、旧約聖書を読むだけだと、ヤコブが超ずる賢くてイヤなやつなのに、美味しいところを全部持って行ってるふうに読めてしまいます。実際わたしもヤコブはイヤなやつだな、と思っていました。

でも、さとなおさんのnoteも読み、エサウとヤコブをテーマに描かれた西洋絵画を見ていたら、新しい可能性にも気づかされました。さとなおさんの解釈では、ヤコブがずる賢いというよりも、エサウが間抜けすぎる点が問題なのかもしれない、と書かれています。

確かに、そういうふうに考えると、旧約聖書を読んでいて、あまりにも不自然だな、と思ってモヤモヤしていた色々なパズルのピースがぴったりと合わさっていくんですよね。

ジェイチーニョ(Jeitinho)

それでふと思い出したのが、ポルトガル語のジェイチーニョ(Jeitinho)でした。日本人にとっては、正直であることや誠実であることが一番の美徳とされます。しかし文化が異なれば、価値観も変わります。ブラジルでは、日本人的な感覚からすると、ずる賢いと思ってしまうようなことも、スマートだと受けとめられる文化があると聞き、驚いたことがあったのでした。

Jeitinho (Portuguese pronunciation: [ʒejˈtʃĩɲu], literally “little way”) is a Portuguese word to describe a method of finding a way to accomplish something by circumventing or bending the rules or transgressing social conventions. The concept is a deeply ingrained part of Brazilian culture. ジェイチーニョ(ポルトガル語の発音:[ʒejˈtʃĩɲu]、文字通り「小さな道」)は、規則を回避または曲げたり、社会的慣習を破ったりすることによって何かを達成する方法を見つける方法を表すポルトガル語です。このコンセプトは、ブラジル文化に深く根付いています。

Jeitinho From Wikipedia, the free encyclopedia

課題を解決するための狡猾さは、知性の現れであり、その知性を用いて状況を好転させられる力を持つことは、称賛に値すると考えられるんですよね。

そういう点から考えると、ヤコブは生まれる前から神様に運命を託されていて、ジェイチーニョな力を発揮して、権力を勝ちとったと言えるのかもしれません。

イサクは、妻に子供ができなかったので、妻のために主に祈った。その祈りは主に聞き入れられ、妻リベカは身ごもった。 22
ところが、胎内で子供たちが押し合うので、リベカは、「これでは、わたしはどうなるのでしょう」と言って、主の御心を尋ねるために出かけた。 23
主は彼女に言われた。
二つの国民があなたの胎内に宿っており
二つの民があなたの腹の内で分かれ争っている。一つの民が他の民より強くなり
兄が弟に仕えるようになる
。」

創世記25 新共同訳
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