今月の読書会で、私は「失敗の本質」を参加者と共有したいので読み進めています。今回は、沖縄戦について共有します。
1章 失敗の事例研究—6つの事例
1 ノモンハン事件—作戦目的があいまい
2 ミッドウェー作戦—不測の事態に瞬時に有効かつ適切な判断ができず
3 ガダルカナル作戦—情報の貧困
4 インパール作戦—しなくてもよかった作戦
5 レイテ海戦—自己認識の失敗
6 沖縄戦—認識のズレと意思の不統一 ←ここ
2章 失敗の本質—6つの失敗に共通する組織的な欠陥(日本軍と米軍を比較)
3章 失敗の教訓—現代の組織に活かす
3ヶ月で死者16万5千人
沖縄戦は1944年4月1~6月26日の約3ヶ月で、日本軍約6万5千人、日本側住民約10万人、米軍1万2,281人が死亡しています。3ヶ月で16万5千人が死ぬって、つまり1日で1,800人が死ぬってことです。
例えるならば、宮崎県都城市や、千葉県浦安市の市民が3ヶ月で全員死亡するイメージになるでしょう。出典:日本の市の人口順位 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
沖縄戦
以下は沖縄戦についての百科事典の記述です。
3か月余の戦闘で日本軍将兵(県出身者を除く)6万5908人、米軍将兵1万2281人、県出身軍人・軍属2万8228人の戦死者が出た。また、一般県民9万4000人(推定)が犠牲となった(以上県援護課資料による)。県民のなかには集団自決や日本軍による虐殺の例、軍命により強制移住させられマラリアにかかり死亡した例、あるいは一家全滅した例などさまざまな戦死例があり、実数は今日に至るまで判明していない。戦闘員よりも一般住民の戦死者が多いという事実に沖縄戦の特徴がよく表れている。
“沖縄戦”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, (参照 2021-03-20)
中央と現地の連携不足
なぜ沖縄戦で日本軍が負けたのか、という分析では2つの原因が指摘されています。ひとつめは、中央本部(大本営)と現地部隊の意思疎通ができていなかったこと、ふたつめは、現地部隊が、上層司令部と連携せず、独断で方針を決定したことです。
大本営をはじめとする上級司令部と現地第32軍との間には、根本的な作戦用兵思想の乖離が存在し、これは作戦準備段階において調整されることなく、米軍の沖縄上陸直後において作戦遂行上重大なそごを来たすという問題を引き起こした。これは沖縄作戦のねらいが、本土決戦準備のための戦略持久にあるのか、航空決戦に寄与する攻勢作戦にあるのか、という根本的な作戦目的にかかわる問題であった
「失敗の本質」戸部 良一 ほか (著) ダイアモンド社 1章 失敗の事例研究 6.沖縄戦
この本は、各ケースで執筆担当者が違うので、文章の組み立てなどで、読みやすいもの、そうでないものがあります。個人的に沖縄戦のパートは、ほかのケースに比べると、少し文章が読みづらく感じました。
用語が文学的すぎて煽情的な気がして違和感を覚えたんですよね。なんでかな、と思って執筆者をまえがき部分で確認したら、担当の杉之尾さんは戦史専攻なんですね。個人的な感情が文章に現れて、冷静さが欠けている感じられたことが、違和感の原因かもしれません。
組織論専攻とか、政治外交史専攻の方々が執筆した文章は、事実を淡々と述べられており、アナリシスも論理の組み立てが明確で読みやすかったので、それと比較してしまいました。
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
参加者(4名)
- もんざ (主催者)「失敗の本質」戸部 良一 ほか (著) ダイアモンド社
- maruさん「クララとお日さま」カズオ イシグロ (著), 土屋 政雄 (翻訳)
- にしやまさん「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」馬渕治好(著)金融財政事情研究会(刊)
- 小林さん「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」グレッグ・マキューン(著)かんき出版