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2月ABD読書会「反脆弱性」第7章 干渉しすぎるな

本よみました
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2021年2月と3月のABD読書会の課題本は、タレブの「反脆弱性」です。2月は上巻、3月は下巻に取り組むことになりました。

今月2月の私の担当パートは、「第7章 浅はかな干渉 ── 医原病」「第8章 予測は現代性の生みの子 ── ブラック・スワンの世界へ」「第16章 無秩序の教訓」の3つ。とりあえず、担当パートについては、自分のブログに備忘記録を残していきます。

今回は、「第7章 浅はかな干渉 ── 医原病」について、面白かったところをメモしておきます。

英語版を読んでいるため、引用文の和訳はGoogle翻訳を利用しています

第7章 浅はかな干渉

この章は、19世紀後半まで医者に診てもらった方が死ぬ確率が高かった、という歴史的な事実を事例として取り上げながら、過干渉による弊害を説明しています。

tonsillectomies 扁桃腺摘出手術 ←多くの子どもたちに不要な手術を受けさせた
bloodletting 瀉血 ←ジョージ・ワシントンの死を早めた

当時、病院や医師の体制の問題点を指摘した産科医ゼンメルワイス(Ignaz Semmelweis)の意見が受け入れられることは、ありませんでした。改善に失敗し評価を得られなかった彼は精神を病み、失意のうちに亡くなります。

ゼンメルワイスの教訓から、反脆弱性を叩く場合、逆効果になる可能性があることを覚えておけ、とタレブは読者に警告しています。例えば、ハッカーの存在は、更にシステムを強化させることにつながっているし、アイン・ランドの脅迫的な批評によって、批判された書籍の売上は増加しました。

While we now have a word for causing harm while trying to help, we don’t have a designation for the opposite situation, that of someone who ends up helping while trying to cause harm. Just remember that attacking the antifragile will backfire.For instance, hackers make systems stronger. Or as in the case of Ayn Rand, obsessive and intense critics help a book spread.

Antifragile: Things That Gain from Disorder (Incerto Book 3) (English Edition) Kindle版 Nassim Nicholas Taleb (著)

何を改善したいのか

タレブの文章が面白いのは、例え話にユーモアがあるからです。この章では、とつぜん、猫と熊が登場してくるので、思わず笑ってしまいました。

過干渉と、思い込みの事例として、この猫の例えは分かりやすかったです。本当は自然治癒が一番いいんだけど、もしそれが難しいんだったら、次に最適な手段は何かを考えるべきだ、ってことです。

問題を解決しようとして、慌てて何かを始めるまえに、なにがいったい問題になっているのかを突き止めて明確にしておかないと本質を見誤ってしまいます。

People with an engineering-oriented mind will tend to look at everything around as an engineering problem. This is a very good thing in engineering, but when dealing with cats, it is a much better idea to hire veterinarians than circuits engineers—or even better, let your animal heal by itself. エンジニアリング志向の精神を持つ人々は、周りのすべてをエンジニアリングの問題と見なす傾向があります。これはエンジニアリングでは非常に良いことですが、猫を扱うときは、回路エンジニアよりも獣医を雇うことをお勧めします。さらに良いのは、動物を自然に治癒させることです。

Antifragile: Things That Gain from Disorder (Incerto Book 3) (English Edition) Kindle版 Nassim Nicholas Taleb (著)

みきわめが重要

すべての介入がダメなのではなく、なんでもかんでも、浅はかに介入しすぎる点について思慮が欠けているから警告しているのだ、とタレブは言います。ここでは、自分の原稿に余計な手を入れすぎる編集者や、本質的な影響を理解せずに経済政策を行う政治家などを滅多切りにしています。

Ingenuous interventionism is very pervasive across professions…As we will see, interventionism depletes mental and economic resources; it is rarely available when it is needed the most. 独創的な介入主義は、職業全体に非常に浸透しています。(中略)介入主義は精神的および経済的資源を枯渇させます。 最も必要なときに利用できることはめったにありません。

Antifragile: Things That Gain from Disorder (Incerto Book 3) (English Edition) Kindle版 Nassim Nicholas Taleb (著)

 I am just warning against naive intervention and lack of awareness and acceptance of harm done by it. 私は、浅はかな介入と、それによって行われる害に対する認識と受容の欠如に対して警告しているだけです。

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体系的な手引きを作っておけ

結局のところ、どのシステムに、どのくらい介入すべきかの判断は、時と場合によるため、体系的なプロトコルを作成しておくことが重要らしいです。それも簡単じゃないだろうけど。。。

 What should we control? As a rule, intervening to limit size (of companies, airports, or sources of pollution), concentration, and speed are beneficial in reducing Black Swan risks. 何を制御する必要がありますか?原則として、(企業、空港、または汚染源の)サイズ、集中度、および速度を制限するために介入することは、ブラックスワンのリスクを減らすのに有益です。

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 Let me simplify my take on intervention. To me it is mostly about having a systematic protocol to determine when to intervene and when to leave systems alone.介入に対する私の見方を簡単にいいます。それは主に、いつ介入するか、いつシステムをそのままにしておくかを決定するための体系的なプロトコルを持つことです。

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過剰な情報収集は有害

中盤は、メディア批判が中心になっています。私たちは、それでなくても余計なことをやりたくなってしまうのに、メディアで大量の情報に毎日晒され続けると、判断力が低下するよ、とのこと。医者の話はブラックユーモアが効いていますが、余計なことをやりすぎると失敗するという、ちょっと皮肉な例えですね。

   Here again, as with news received at too high a frequency, too much information becomes harmful—daily news and sugar confuse our system in the same manner. ここでも、高頻度で受信されるニュースと同様に、情報が多すぎると有害になります。毎日のニュースと砂糖が同じようにシステムを混乱させます。

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  If you want to accelerate someone’s death, give him a personal doctor. I don’t mean provide him with a bad doctor: just pay for him to choose his own. Any doctor will do. 誰かの死を加速させたい場合は、その人にかかりつけの医師を与えてください。私は彼に悪い医者を提供するという意味ではありません。彼が自分で選ぶためにお金を払うだけです。どんな医者でもかまいません。

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後半から内容が難しくなります

この章の前半部分は比較的、読みやすいのですが、中盤から後半にかけて、内容が難しくなります。

というのも使用される事例を理解するために、世界史とフランス、アメリカ、北欧諸国などの経済の知識が必要になるからです。

私は残念ながら、個別の事例についてあまり内容をしっかり理解できていません。

とはいえ、結論部分は何となく分かった気になっています。「分かった気になって、余計なことをしすぎるな!」ってこと。言うは易く行うは難し。あ、あと先延ばしの勧めもあったんだけど、その部分は、まだ理解不足なので、理解できたら別途メモします。

  No matter how many dollars are spent on research, predicting revolutions is not the same as counting cards; humans will never be able to turn politics and economics into the tractable randomness of blackjack. 研究にいくらお金が費やされても、革命を予測することはカードを数えることと同じではありません。人間は、政治と経済をブラックジャックの扱いやすいランダム性に変えることは決してできません。

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参考

ハンガリーの産科医。ブダ(ブダペスト)で生まれる。ペスト大学とウィーン大学で学び、1844年卒業。1849年までウィーン一般病院産科助手を務めた。1847年に産褥熱 (さんじょくねつ) の原因と予防についての発見をした。産褥熱は、腐敗した有機物が子宮から吸収されることでおこり、診察者の指や器械などによって運ばれる腐敗物質を、産婦に持ち込まなければ予防できるという説である。細菌や消毒法が知られていなかった当時、きわめて優れた着想であった。しかし、この説は反対され、圧迫を受けて1850年ウィーンを去ってペストへ帰り、聖ロフス病院に勤め、1855年、大学の産科学教官となった。1861年には『産褥熱の病因、概念、予防』を出版したが認められず、やがて精神障害となり、ウィーンの精神科病院で死去した。全世界の追慕者により、ブダペストの公園にその記念像が立てられ、100年後の1965年、旧宅に記念医学史博物館がつくられた。

“ゼンメルワイス”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, (参照 2021-02-17)

アイン・ランドについては、以前すこしだけ調べて、このブログにまとめていました。

関連情報

  1. まぐれ (Fooled by Randomness) 2001 邦訳kindleなし
  2. ブラックスワン (The Black Swan) 2007-2010 邦訳kindleなし
  3. The Bed of Procrustes 2010 邦訳kindleなし
  4. 反脆弱性 (Antifragile) 2012 邦訳kindleあり
  5. 身銭を切れ(Skin In the Game)2018 邦訳kindleあり

タレブのホームページ

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