次回のABD読書会は、ハラリの「21LESSONS」です。私の担当パートは8章(宗教)、15章(無知)、17章(ポストトゥルース)なので、この3つについて、内容のまとめと感想を記録しておきます。まず、今回は15章(無知)について整理しました。(8章(宗教)はこちらに書きました)
「21Lessons 21世紀の人類のための21の思考」ユヴァル・ノア・ハラリ (著)
個人の無知
第15章では、三種類の無知について事例が紹介されています。個人の無知では、実際のところ、詳しいことは分かっていなくても、社会で共有されているニュースなどの情報にちょっと触れているだけで、なんとなく分かった気になって、意見をしてしまう現代人の様子が皮肉られています。
1.個人の無知・・・共有の知識で知ったつもり
2.集団思考による無知・・・みんなと同じが安心安全
3.権力の目隠し効果による無知・・・周囲が真実を語らなくなる
もちろん、私たちは全てを知ることはできません。でも、どのような状態が無知と呼ばれるのか、認識しておくことは、とても大切なことですよね。
Consequently, some people who know next to nothing about meteorology or biology nevertheless propose policies regarding climate change and genetically modified crops, while others hold extremely strong views about what should be done in Iraq or Ukraine without being able to locate these countries on a map. 気象学や生物学についてほとんど何も知らないにもかかわらず、気候変動や遺伝子組み換え作物に関する政策を提案していたり、イラクやウクライナを地図で見つけることもできないのに、何をすべきか非常に強く意見を言うする人もいる
第15章 無知 「21Lessons 21世紀の人類のための21の思考」ユヴァル・ノア・ハラリ (著)
集団思考の罠
日本人は、自由資本主義・民主主義の社会で生きています。個人が合理的な判断をできると考えて作りあげられた社会です。でも、実際のところ、人間はそれほど合理的な生物ではありません。
著者は、「ライフ・オブ・ブライアン」(Monty Python’s life of brian)というコメディ映画の場面を切り取って、大衆がどのように集団思考になるのか、分かりやすく読者にイメージさせています。この場面は、ブライアンがキリストに間違われてしまい、群衆から賛美され困っているところ。この映画、見たくなっちゃいました。
Brian: Please, please, please listen! I’ve got one or two things to say. ブライアン:どうかお願いだから、聞いて! 1つか2つ言わなきゃいけないんだ。
Monty Python’s life of brian 1979年イギリスのコメディ映画
The Crowd: Tell us! Tell us both of them! 群集:教えてください!両方教えてください!
Brian: Look, you’ve got it all wrong! You don’t NEED to follow ME, You don’t NEED to follow ANYBODY! You’ve got to think for your selves! You’re ALL individuals! ブライアン(彼を賛美する群衆に向かって):ほら!それが違うんだ。俺を追っかける必要なんてないし、ほかのだれかを追っかける必要もない!君たちはそれぞれ自分達のためにやればいい! 君たちはみんな個人個人なんだ。
The Crowd: Yes! We’re all individuals! 群衆(みんなで一斉に):そうです!我々は個人個人です!
Brian: You’re all different! ブライアン:君たちはみんなそれぞれ違う人間なんだ!
The Crowd: Yes, we ARE all different! 群集:我々はそれぞれ違う人間です!
Man in crowd: I’m not… 群衆の中の一人:いや、わしは…。
The Crowd: Sch! 群集:シーーーッ!
コメディ界のビートルズと言われたモンティ・パイソンが(日本でいうとドリフターズみたいなかんじかな?)聖書テーマに作ったコメディ映画で、そうとう物議をかもして上映禁止になった地域や国も多かったそうですが、興行的には大成功だったようです。
Monty Python was parodying the counterculture orthodoxy of the 1960s, but the point may be true of the belief in rational individualism in general. Modern democracies are full of crowds shouting in unison, “Yes, the voter knows best! Yes, the customer is always right!” モンティ・パイソンは1960年代のカウンターカルチャーの正統性をパロディ化していたが、その点は、一般に合理的な個人主義の信念にも当てはまるかもしれない。現代の民主主義は、「はい、有権者は最もよく知っています!はい、顧客は常に正しいです!」と一斉に叫んでいる群衆でいっぱいだ。
第15章 無知 「21Lessons 21世紀の人類のための21の思考」ユヴァル・ノア・ハラリ (著)
権力の罠
何年か前に、著者はイスラエル首相ネタニヤフ氏の晩餐会に招待されたことがあるそうです。友人は止めておけ、と彼にアドバイスしたそうですが、何かきっと重大な話が聴けるに違いないと思いから参加したものの、実際はひどくがっかりする結果になりました。
30人ほどの参加者は、首相のご機嫌取りに終始していたからでした。でも、これは首相が悪いわけではなく、権力が持つブラックホールのような力で、指導的な立場になる人は誰でも同じ問題を抱えることになるのです。
The problem of groupthink and individual ignorance besets not just ordinary voters and customers but also presidents and CEOs.集団思考と個人の無知の問題は、普通の有権者や顧客だけでなく、大統領やCEOも悩ませる。
第15章 無知 「21Lessons 21世紀の人類のための21の思考」ユヴァル・ノア・ハラリ (著)
ますます複雑化する社会で、私たちの無知は避けようがありません。
注意:英語版を読んでいるため、ここに書いた日本語訳はGoogle翻訳を私が手直ししたものです。日本語版の内容とは異なります。ご注意ください。