Trial&Error

優先順位が分からなくなる問題

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香港のデモが2ヶ月続いている。
6月に中国政府が条例の改正案を発表したことから、香港市民の抗議が始まった。

この出来事から日本人の抱える問題点に気づくことができた。
それは優先順位が分からなくなる、という問題だ。
なぜ、そうなってしまうのか。少し考えてみたい。

この条例を認めたら、香港の自治が危ういと感じた大多数の市民が平和的に始めた抗議デモが、警察との衝突で暴力的になり、航空会社(キャセイパシフィック)が中国本土への運行を止められる事態となった。

はじめのころ、何が起こっているのか全く分かっていなかった私も、ニュースを読み、香港の歴史を知って、ようやく、根本原因はエスニシティの問題だと分かった。

1997年にイギリスから中国に返還されたが、一国二制度が敷かれており、香港の人々は「中国人」ではなく「香港人」としてのエスニシティを持っている。

エスニシティとは、個人が集団に帰属している意識や歴史を共有する意識を表す言葉で、この定義を頭に入れておくことで、現代、世界各地で起こっている様々な出来事が理解しやすくなるキーワード。

私は2018年に佐藤優さんの講義を受けて、初めてこの言葉を知ったのだけれど、先生の佐藤さんはもちろんだが、同じ講義を受けている方たちの知識量にびっくりして、どれほど自分が無知なのかと、恥ずかしくなった。

8月12日に香港国際空港で全便が欠航したことで、当日その場にいた人たちがインタビューを受けたり、アメリカやカナダからも、どちらも中国政府は香港の自治権と言論と表現の自由を保証するべき、と公式のコメントが出ている。

日本の政府は、河野外務大臣が個人的にツイッターで意見の述べただけに留まっているようで、中国との外交に配慮しているのだ、という声も読んだ。

なんだか私には違和感がある。

8月12日に空港にいた日本人がインタビューされて答えた内容にある人が「ああ、日本人だなと思った」とtweetされており、私も共感したのだ。 「大勢に迷惑をかけてまでするっていうのはどうかと思う」と。

Yachiさんも違和感を感じてテレビを見ながら思わずtweetしてしまったのだろう。
香港に住む人たちは、自分たちの自治権が奪われる危険性を感じているのだ。
政府の批判をしたら、あっという間に逮捕される社会になるかもしれないという恐れがあるからだ。

そしてYachiさんのツイートに共感している人たちが増えていることからも、日本人がこのような思考に陥りがちであることを知っているから、「いいね」ボタンを押し、リツイートするのだと思う。

私たち日本人は「他人に迷惑をかけることは、許されない」という原則に思考が縛られすぎているのだ。

だから、困難な状況に直面したときに、優先順位を間違えることがある。
こんなことをしたら他の人に迷惑がかかるのではないか、と考えるあまり、本当に守るべき大事なことが分からなくなってしまう。

このことは、自殺や過労死、低賃金労働など、日本が抱える様々な社会問題とも根っこで繋がる気がした。

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