昆虫展である作品の記憶が蘇って鳥肌になったもんざです。
朝6時からZoomで古事記の読書会に参加したあと、9時から国立科学博物館に昆虫展を見に行きました。
開館時間の9時に行ったら、行列に40人くらい入館待ちのひとたちがいて、入館までずいぶんと待つことを覚悟したのですが、おそらく20分も待たなかったはずです。
それでも入館したら、すでに大勢の人が観覧している状態で、展示の最初のほうは、ちょっと慌ただしかったから、もう少し人の流れを考慮した展示配置の工夫があると良かったかもしれません。
とはいえ、それは些細なことで、内容にはとても満足しました。
特に好感を持ったのは解説文の語りかけるような内容です。「研究者も答えは知らないから、その点について自由に考えてみてくれ」というような率直で真摯な問いの投げかけは、ストンと心に落ちるものでした。
「死んでる昆虫ばかりじゃないか!生きているのじゃないとイヤだ!」とお母さんに文句を言っている10歳くらいの男の子がいましたが、「なるほど。本当の昆虫好きとはそういう思考をするものなの?」と共感できないけれども、考えさせられました。
私は、多種多様の昆虫標本を見て解説を読み、独特な生態を記録されたビデオを見ながら、単純に面白がっていたのです。整然と並べられた昆虫標本の部屋に入って、ある小説のイメージが浮かんでくるまでは。
逃亡派 (EXLIBRIS)オルガ トカルチュク (著), 小椋 彩 (翻訳)
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4月にポーランド旅行をしたあと、作者がポーランド人であるという理由でこの短篇集を読みました。
この中に標本に関する短編が収録されているのです。
それは娘が父の遺体を埋葬させて欲しいと国王に懇願する手紙の形式で、何度か繰り返し登場します。
国王は自分の忠実な臣下だった男が死亡すると、その亡骸を標本にして彼の王宮博物館のコレクションに加えたのでした。それは彼が黒人だという理由からです。
こんな物語を思い出して、この昆虫が人間だったら、と想像して鳥肌になったのでした。
すぐに妄想を打ち消しましたが、このような空想を言語化して他人と共有する力を持つのもホモ・サピエンスの特徴ですよね。
さて、課題です。
第3章「狩猟採集民の豊かな暮らし」は、歴史資料に基づいて人類の祖先の日常生活を想像してみるという内容です。
現代社会と3万年前の社会を比較してみる著者の視点は斬新です。私たち現代人のライフスタイルが必ずしも、狩猟採集民と比較して優れているわけではない、という点に気づかされます。
私は、国立科学博物館で企画展だけでなく、常設展も見たのですが、地球誕生の45億年前からの歴史や600万年前に人類の祖先が誕生してからの進化の変遷なども学ぶことができました。
「サピエンス全史」の理解を深めるための知識も得られます。
地下2階が「地球環境の変動と生物の進化」というテーマの展示なのですが、そこで「人類の進化」の歴史を様々な資料を見ながら辿ることができます。
第3章で事例として紹介されていた、スンギルで発見された豪華な装飾を施された2体の子どもの墓を見ることができます。2章の図録写真の「ライオン人間」の象牙彫り(3万2千年前)も展示されていました。(レプリカかもしれませんが)
興味がある方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
今日も読んでくださってありがとうございます。
また明日もよろしくお願いします。